34話
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時は過ぎ放課後になった。
「何ごとだあ!?」
いつもなら静かなはずの廊下が何やらザワザワと騒がしく、入り口に近いお茶子ちゃんが扉を開ける。
すると廊下に普通科など他の科の生徒が大量に詰め寄って大渋滞になっていた。
「出れねーじゃん!
何しに来たんだよ。」
「敵情視察だろザコ。」
峰田くんの呟きにかっちゃんはドアの前まで歩く。
「敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭の前に見ときてぇんだろ。
意味ねェからどけ、モブ共。」
かっちゃん口悪いよ…。
かっちゃんは鋭い目で教室の前を遮っている生徒達を睨んで、誰かに人の事とりあえずモブって言うのやめなよと注意されていた。
だけどかっちゃんに悪びれた様子は一切ない。
そんな中、目の下に濃い隈がある一人の生徒が人混みを掻き分けてかっちゃんの前へ出て来る。
「どんなもんかと見に来たが、ずいぶん偉そうだなぁ。
ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」
「ああ!?」
見下して威圧感を放つかっちゃんに臆する事無くその生徒は続けた。
「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ。
普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴、けっこういるんだ。
知ってた?
体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。
その逆もまた然りらしいよ…。」
最後に1-Aの教室をぐるりと目で見回すと力強く言い放つ。
「敵情視察?
少なくとも普通科(俺)は、調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり。」
普通科の生徒とかっちゃんがガンを飛ばし合う。
「霊和ちゃん、アレ止めなくていいんですか?」
『ん~…。
向こうは敵情視察に来て、かっちゃんはそれを遮って皆を庇ってるだけだからいいんじゃないかな。』
「え!?そうだったの!?」
『ん?違うの?』
私以外の近くにいた人は全員、ケンカ売ってるだけだろ。と思っていたそうだ。
更に生徒の集団から這い出て叫ぶ者が出てくる。
「隣のB組のモンだけどよぅ!!
"敵"と戦ったつうから話聞こうと思ってたんだがよぅ!!
エラく調子づいちゃってんなオイ!!」
叫び続けるB組の男子生徒に、同じクラスらしい女子に連れ去られた。
帰り際に本番で恥ずかしい事んなっぞ!!と言った事で一斉にA組中の視線がかっちゃんの背中に集まる。
当の本人は群がる生徒を押し退けてサッサと帰ろうとしている。
「待てコラ。どうしてくれんだ!
おめーのせいでヘイト集まりまくってんじゃねえか!!」
「関係ねぇよ。」
「はぁーーーー!?」
「上に上がりゃ、関係ねぇ。」
一言そう言って教室を出て行くかっちゃんにA組の殆どが驚いて目を丸くする。
確かにかっちゃんの言った通りだよね。
だけど無駄に敵を増やすのは自殺行為になることもある。
『あ、早くかっちゃん追い掛けなくちゃ。』
「そうだね~。」
せっせとカバンに必要な物をし舞い込む。
百ちゃんが振り向いて話し掛けてくる。
「妖見さんはもうお帰りですか?」
『うん。
皆はまだ帰らないのかな?』
「私は帰りますが、芦戸さんと麗日さんと娃吹さんは演習場で特訓するみたいですわ。」
『皆で特訓!楽しそうだね。』
体育祭の為に演習場が開放されている。
百ちゃんは両手の人差し指をもじもじさせて、恐ろ恐ろに問い掛けてきた。
「あの、今度都合の良い日で構わないので私とも特訓してくださりませんか?」
『うん。私でよければ構わないよ。
かっちゃんに連絡すれば今日でもいいし。』
「いいいいえ!!
妖見さんと爆豪さんにお手数掛けるのも悪いので明日にしましょー!!」
『そう?
わかった、明日特訓しようね!』
じゃあね!と手を振って教室を出て、かっちゃんのもとへと急いだ。
私がいなくなった教室では百ちゃんが顔を赤くしながら入り口を見つめていた。
「ヤオモモ恋する乙女みたいな顔してんね。」
「そそそんな事ありませんわ!
恋だなんてそんな対した事ではなく尊敬しているのです!」
「うんうん。ヤオモモ可愛いー。」
「その顔はなんなんですか?!」
百ちゃんは暫く響香ちゃんに遊ばれたそうだ。
H30.07.16