32話
夢小説設定
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轟くんもここに飛ばされてきたようで、私の前に出ると即行で個性を使う。
「散らして殺す…か。
言っちゃ悪いが、あんたらどう見ても"個性持て余した輩"以上には見受けられねぇよ。」
「こいつ…移動してきた途端に…。
本当にガキかよ…。」
轟くんが辺り一面を凍らせて、"敵"の動きを止めたのだ。
「なぁこのままじゃあんたらじわじわと身体が壊死して行くわけなんだが、俺もヒーロー志望、そんなひでぇことはなるべく避けたい。」
「ひぇ~!
ここまでしておきながら言う言葉ですか!?」
ウィスパーが"敵"を脅している轟くんに畏怖する。
ジバニャンもあいつヤバいニャン。と冷や汗を掻く。
『皆大丈夫かな…。』
「こいつら毛が生えたくらいの実力しかねぇから平気だろ。だが相澤先生の所が心配だ。
俺は相澤先生の下へ行く。お前はどうする?」
『私も行くよ!今はジバニャンしかいないけど…それでも何か出来る事はあるはず!』
「任せろニャン!!」
「私は!?私もいますよー!」
よし行こう!と建物内の地図は分からないが戻ろうとする。
しかし轟くん目掛けて黒い何かが飛んできた。
『轟くんっ!!』
私は轟くんを押し倒して回避した。
「っ。
…何だ?」
轟くんがいた場所を見ると抉られた地面があった。
『何あれっ。』
轟くんの個性の氷は未だに溶けていないので沢山の"敵"が捕まっている。
しかし"敵"の周りに黒い人型の何かが十数体いた。
「霊和ちゃん!アレは怪魔ニャン!」
怪魔と呼ばれたモノは黒い靄を放ちながら赤い目を光らせる。
『怪魔?』
「おい、何かいるのか?」
轟くんには見えないみたいだ。
ごめんね。と謝り、返事を聞かずに轟くんの手を握る。
驚いて手を引かれたが、アレを見せる為絶対に離さないよう強く握る。
『あの黒いのが攻撃してきたの。』
「怪魔は悲しみや憎しみなどの負の感情が具現化した妖怪です!」
「あいつら倒さニャいと、どんどん周りの人間まで悪い奴になるニャン!」
『そんな…!』
「俺に任せろ。」
轟くんは怪魔に向かって下から氷を作る。
何人かは捕まえたが飛んで避ける怪魔もいた。
それならばと氷を上へとやるが逃げられてしまう。
『轟くんジバニャン凍らせないでね!
ジバニャン百烈肉球お願い!』
「行くニャンよー!」
挟み撃ちで怪魔に挑む作戦だ。
「意外と無茶な事言うの、な!」
轟くんの氷が襲い、逃げた先にはジバニャンがいる。
刹那にジバニャンの拳が大量に当った。
『やった!』
「だがこれじゃ時間掛かるぞ!」
此方に襲ってくる怪魔は轟くんの個性で凍らせて難を凌いでいるが、此方に近付こうとしない怪魔に四苦八苦する。
「怪魔にも僅かながらに思考があるみたいですね…。
此処ではなく違う人間に取り憑こうとするかもしれませんよ。なんとしても此処で食い止めなくてはなりませんね!」
どうすれば…。
私に何か出来る事はないかと辺りを見回していると、戦闘から離れた場所に此方を不安そうに見つめる妖怪がいた。
『ねぇ!君じめりんぼうだよね!?』
涙型の身体にムンクの叫びにいる人のような顔をしたじめりんぼうに聞こえるように、大きな声を出して話し掛ける。
じめりんぼうは戸惑いながらも此方に近付いてきてくれた。
「なに~?ボクの家なのにいきなりドンパチやられて迷惑なんだけど~。」
土砂ゾーンのような湿った場所を好むじめりんぼうは此処を住み処にしているようだ。
『ゴメンね。
あそこにいる怪魔達を倒してほしいの。』
「ボクそんな力ないし無理だよ~…。」
確かじめりんぼうの取り憑きは"湿気で肌がふやける"だったはずだ。妖術もそこまで威力はない。
『私に考えがあるの。
轟くんに手伝って貰えば勝てるはず。』
「?」
攻撃を止めない轟くんが一瞬此方を見てくる。
『轟くんの個性は半冷半燃だったよね?
炎を出してほしいの。』
「っ……。」
視線を怪魔に戻し眉をひそめる轟くん。
暫し閉ざしていた口を開いたがそれは謝罪だった。
「わりぃ。左は攻撃に使えねぇ…。」
何か理由があるのか、今までのヒーロー基礎学でも基本氷を使い、その氷を溶かす為だけに炎を使っていたのを見ている。
『攻撃には使えなくても氷を溶かす事は出来るよね?
沢山水蒸気を出してほしいの!』
「…そんくらいなら。」
繋いでいた手を離し、轟くんは"敵"や怪魔を捕まえている氷は避けて、無駄になった氷を溶かしていく。
一瞬で氷から蒸気へとなり、辺りは霧のようになった。
だがそれはじめりんぼうによって体内に取り込まれ、じめりんぼう1体が2体、2体が4体へと細胞分裂のように増えていく。
そして霧となった水蒸気は、増えたじめりんぼうにより吸い込まれる。
その繰り返しがたった数秒間に行われ、数えきれないほどのじめりんぼうで埋め尽くされた。