30話
夢小説設定
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お昼になり、いっくんとお茶子ちゃん、飯田くんと一緒に食堂に向かった。
クックヒーローのランチラッシュの料理は美味しいと評判。
券売機で券を買って、カウンターで出して受け取る形になっている。
券売機でボタンを押そうとしたのだが、ウィスパーに止められた。
「あーた、昨日もサンドイッチ食べたでしょう…。」
「今日はパンはダメだよ。
和食定食でいいよね。」
サンドイッチを押そうとしたのに、フゥ2が定食のボタンを押した。
実はヒーローになると決めてから、フゥ2は食に厳しくなった。
私はパンが好きなのだが、栄養的にお米を積極的に採るように言われている。
2日連続で食べさせてくれることは絶対にない。
そういえばそうだった…。と落ち込みながら和食定食と書かれた券と、もう一枚の券を持ってカウンターに向かう。
料理が運ばれてきて、既に座って待っていたいっくんの隣に座る。
「えっと…それも食べるの?」
いっくんが私のお盆に乗っている物を指差す。
『私じゃなくてジバニャン達がね。
昨日食べたいって言ったから、お母さんからお小遣い貰ったの。』
ジバニャン達は長いスプーンを持って、ジャンボチョコレートパフェの前を陣取る。
私達も食べ始めた。
「うわー、気が付くとパフェが消えてるね…。」
「スプーンは見えないし、掬ってるのも見えないから消えてるように見えるんだ。
僕達は慣れちゃったけど、初めて見ると異様だよね。」
私から見たら普通に食べているのだが、見えない人にはパフェが消えていくようになっているのか…。
話はジバニャン達の事からホームルームの学級委員決めになっていた。
「いざ委員長やるとなると務まるか不安だよ…。」
「ツトマル。」
『そうだよ!いっくん頑張れ!』
飯田君もカレーライスを口にしながら大丈夫さ。と勇気付ける。
「緑谷くんのここぞという時の胆力や判断力は“多”をけん引する。
だから君に投票したのだ。」
飯田くんに1票も入っていなかったのは、いっくんに入れていたからだったんだ。
学級委員やりたかったはずなのにいい子だなー。
お茶子ちゃんが、何故いっくんに入れたのか聞く。
「“やりたい”と相応しいか否かは別の話…。
僕は僕の正しいと思う判断をしたまでだ。」
飯田くんはいっくんが学級委員に相応しいと思ったみたいだ。
「「"僕"…!!」」
『?』
いっくんとお茶子ちゃんが目を見開く。
「ちょっと思ってたけど飯田くんて坊っちゃん!?」
飯田くんは気まずそうに目を反らす。
「そう言われるのが嫌で一人称を変えてたんだが…。
俺の家は代々ヒーロー一家なんだ。
俺はその次男だよ。」
「「 ええーー凄ーー!!! 」」
『ヒーロー!
凄いねー。』
拍手をしながら飯田くんを見る。
飯田くんは照れながらも教えてくれた。
「ターボヒーロー、インゲニウムは知っているかい?」
「もちろんだよ!!
東京の事務所に65人もの相棒(サイドキック)を雇ってる大人気ヒーローじゃないか!!」
いっくんは自作のヒーロー辞書からインゲニウムの名を探す。
いっくんのヒーローオタクな部分全開でインゲニウムについて教えてくれた。
ウウーーーーーーーー!!!!
話をしながら食べていると、けたたましいサイレンの音が鳴り響いた。
「警報!?」
<<セキュリティ3が突破されました。>>
『3って何だろ?』
謎に思っていると、辺りは騒然とし、ほとんどの生徒が困惑していた。
<<生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難して下さい。>>
飯田くんが近くにいた三年生に何があったのか質問する。
「校舎内に誰か侵入してきたってことだよ!
三年間でこんなの初めてだ!!
君らも早く!!」
三年生に急かされ、食べていた途中だが食堂を出ようとした。
だが、食堂には学校のほとんどの生徒がいるのだ。
一気に食堂から外に繋がる廊下へ行こうと人が犇(ヒシ)めき合う。
「いたっ!!急に何!!?」
「さすが最高峰!!危機への対応が迅速だ!!」
「迅速過ぎてパニックに…!」
『ジバニャンどこー!?』
人がひっちゃかめっちゃかになり、いっくん達からどんどん離されてしまう。
それどころかジバニャンも、フゥ2やウィスパーさえも見えない。
身長の低い私はどんどん押されて、人の波に流されてしまう。