28.5話
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~フゥ2side~
戦闘訓練での出久と勝己の戦いは凄まじかった。
勝ったのは出久だったが、大怪我をしたのも出久だった。
俺は霊和ちゃんに頼まれて、保健室に運ばれる出久に付いて行った。
保健室にはおばあさんが一人。
おばあさんはリカバリー・ガールと呼ばれる治癒の個性を持つヒーローで、雄英の保健の先生として怪我した生徒の治療をしている。
ベッドに乗せられた出久にリカバリーガールが個性発動するためにキスをしていた。
女性と言えども老人のキスは見たくなかったよ…。
リカバリーガールの個性は怪我を負った人間の体力で治癒をするらしい。
なので疲弊した出久は深く眠っている。
霊和ちゃんに頼まれたが出久が寝てる顔を見る趣味はないから、ゲームをしながら出久が起きるのを待っていた。
暫くすると授業が終わったのだろう、廊下が騒がしくなってくる。
失礼します。と誰かが入ってきたので気晴らしに見てみようと思っていると、その人物はカーテンを開けて出久の顔を見てくる。
猫背だしガリガリに痩せていてミイラみたいだった。金色の長い髪も栄養が足りないのか艶がない。
出久の知り合いなのだろうか?
「この子の治療は?」
「とりあえずやっといたがねぇ、この子に無茶させすぎだよ!
個性だって万能じゃないんだ。いつか取り返しがつかなくなるよ。」
「すみません…。」
リカバリーガールは気の強いお母さんみたいだ。
ミイラみたいな男は頭を下げて、出久の傍の椅子に座る。
「しかしまぁ、こんななよなよしたオールマイトが教師なんてねぇ…。
初授業は成功したのかい?」
「カンペ見ながらでしたがなんとか授業を無事終わらせる事が出来ました。
しかし、緑谷少年に怪我をさせてしまった事は反省しなければなりませんね…。」
あー、うん?
どゆこと?
このミイラみたいな男が何でオールマイトの代弁みたいな事をしてるのかわからない。
いや、認めたくないだけで理解出来てしまった俺怖い…。
ようするにこのミイラみたいな男はオールマイトで、オールマイトがこのミイラみたいな男?
…………。
うわぁぁぁ!!
俺知っちゃいけないこと知っちゃったよ!
誰か!誰かいない!?
俺だけじゃ手におえないよっ!
はっ!
ネタバレリーナだ!
ネタバレリーナがいたよー!
ネタバレを起こす妖怪、ネタバレリーナがリカバリーガールの隣にいた。
「オールマイトは"敵"にやられてこんなに衰弱しちゃったリーナ。
オールマイトの個性"ワン・フォー・オール"は受け継がれる個性でもあり、その個性は緑谷出久が継承したリーナ。」
「出久もオールマイトも知らないところでネタバレしないでよ!!」
「普段見るマッチョなオールマイトは力んでるだけリーナ。」
「わーわー!!」
耳の穴を塞いで聞こえないようにする。
こういうのは段を追って知る事に意味があり、いきなり全て話されても困るから!
しかしネタバレリーナによりいらない情報を事細かに聞かされた。
オールマイトのスリーサイズなんて興味ない!!
ネタバレリーナが去った時には出久が起きて保健室を出ようとしていた。
俺は慌てて出久を追い掛ける。
出久は落ち着かない態度で教室に行くと、ちょうど霊和ちゃんが出てくるところだった。
『もう怪我治ったんだね。』
「うん。」
『良かった…。
フゥ2もおかえり。』
「え、あ…うん。」
保健室での出来事は霊和ちゃんに言っていいのだろうか?
でも出久が言わないってことは隠してるんだろうし、ここは黙っとくべき?
出久を見ると冷や汗をかいて目を泳がせている。
「フゥ2お願い!
保健室の事は誰にも話さないで!これは霊和ちゃんにもしないでほしい!」
やはり言ってはいけないらしい。
まぁ霊和ちゃんには悪いけど妖怪には関係ないし言わないであげるよ。
「うん、わかった。
言わないよ。」
『…言わないって。』
霊和ちゃんが俺の代わりに出久に教えてくれた。
「そう……。ありがと…。」
ホッとしたような、でも心配も含んだ顔をする出久。
おそらくすっごい焦ってるんだろうなぁ。
俺の善意で言わないであげるけど、後でなんか奢ってもらおー。
H30.05.28