2話
夢小説設定
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かっちゃんこと爆豪勝己に"爆破"という個性が見つかり、いっくんこと緑谷出久が"無個性"ということが解って暫くした頃だった。
今でもかっちゃんといっくんと私で遊ぶ事は多かったが、かっちゃんがいっくんに対しての態度が少し変わったように思う。と、言っても私の前では何も変わらず遊んでくれる。
「何円持ってきた?」
『お風呂のお掃除したらお母さんに50円貰ったよ。』
「僕も50円。」
「へへん!俺は100円玉貰ってきたぜ!」
私といっくんがすごーい!と言葉を合わせるとかっちゃんが鼻の下を指で擦りながら笑う。
今日は駄菓子屋でお菓子を買いに商店街に来ている。
「ヒーローチョコあるかな?」
「オールマイトのカードは俺のもんだからな!」
『今日はグミ食べたい気分なの。ブドウ味と、リンゴ味食べたいなぁ。』
首から下げられたポーチを握ると、穴の空いたコインの形が感じられる。
「おい、あれ見ろよ!」
かっちゃんが何かに気付いたのか駆け足で先に行ってしまう。私といっくんも走ってかっちゃんが止まった所に行くと、電気屋の前に飾ってあるテレビを観ていた。テレビはヒーロー特集という番組をしていて、平和の象徴といわれるオールマイトが出ていた。
「オールマイトだ!かっけー!!」
「わあぁ!」
男の子二人は目をキラキラさせて画面を見入っていた。
『ホントだ~』
「オレもいつかオールマイトみたいなヒーローになるんだ!」
かっちゃんが拳を前に出し、オールマイトの真似をする。
かっちゃんはヒーローになりたいのか…男の子だもんね。
『かっちゃんは強いからヒーローになれるよ!』
「ホントか!?じゃ、じゃあ…」
少し言い淀んだ後手を握られた。
「オレがヒーローになったらずっと隣で護ってやっからな!」
かっちゃんの目は真剣だった。でも私は幼すぎた。かっちゃんの言葉の意味が解っていなかったのだ。
『ありがとう!護ってね。』
しっかり理解していればこんなプロポーズ紛いの告白にOKなんて出していなかった。
私がかっちゃんと話していると、かっちゃんが握っている手とは逆の手を握られる。
「ぼ、ボクもヒーローになって霊和ちゃんを護るよ!」
『へへっ!いっくんもありがとう!』
「ああ!?モブは黙ってろ!!」
「モブ!?
霊和ちゃんを護るのはボクなんだからかっちゃんが黙ってて!」
「無個性のクズにゃ無理だ!」
「無個性だって霊和ちゃんを護るもん!かっちゃんなんかに霊和ちゃんはやれない!!」
『っっ…!…いたい!』
両腕を引っ張られて腕がとれそうだよ!
というか妖怪が取り憑いてる!
『君のせいでしょ!?』
桃色の四角い妖怪がいっくんとかっちゃんに取り憑いていた。
「この子の事応援してあげたんだよ?
…あれ、ボクの事見えるの?」
『見えてるよ。いいから取り憑くの止めて!腕が痛いよ~!』
「おい霊和!クソ四角と喋んじゃねー!」
「かっちゃんなんかほおってボクと遊ぼうよ。」
「妖怪が見えるんだ。凄いなぁ…。ボクは焼きもちをやくことしか出来ないのにずるいなぁ。」
『うえぇぇん!どうすればいいのー!?』
その後、泣いている私と、私を取り合う二人を見た周りの大人が助けてくれた。
大人からはモテモテだね~。とはやされたが妖怪の仕業だと知っている私には嫌味にしか聞こえなかった。
数年後自称執事妖怪に聞いた処、桃色の四角い妖怪は"やきモチ"という妖怪で、人を焼きもち妬きにさせる妖怪だった。
何時から取り憑いていたのかは分からないが是非とも最初っからであってほしいと切実に願ってしまった。