26話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
更衣室に行くと既に何人か着替えていた。
フゥ2達を廊下に待たせてロッカーに荷物を置いて着替えると、私と同じ身長くらいの女の子に声を掛けられた。
「貴女入試の時にギミックを倒していた子よね?離れていた所から見たのだけれど凄かったわ。」
蝶々結びになった長い髪を揺らして質問してくる。
『ありがとう。皆が居てくれたから倒せたの!』
「皆?
私娃吹梅雨。梅雨ちゃんと呼んでほしいわ。」
『私は妖見霊和。
梅雨ちゃんよろしくね!』
せっかちそうな相澤先生を待たせないように急いで着替えてグラウンドに向かった。
グラウンドに出て知らされたことは想像もしていなかったことだった。
「個性把握テスト!?」
ほぼクラス全員が叫び驚く。入学初日だがヒーローになるならそんな悠長な行事をする時間はないらしい。
「雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側もまた然り。
お前たちも中学の頃からやってるだろ?
個性使用禁止の体力テスト。」
そういってスマホの画面を見せる相澤先生。
そこには8つの一般的な体力テストの項目があった。
「国はいまだ画一的な記録を取って平均を作り続けている。合理的じゃない。
ま、文部科学省の怠慢だな。
実技入試成績のトップは爆豪だったな。
中学のときソフトボール投げ何mだった?」
かっちゃんが1位だったんだ。やっぱかっちゃんは凄いなぁ。
聞かれたかっちゃんは警戒気味に67m。と答えてみせる。
「じゃあ個性使ってやってみろ。」
指定の場所に立ったかっちゃん。
「円からでなけりゃ何してもいい。思いっきりな。」
「んじゃあまあ……。」
かっちゃんは軽く腕を伸ばす運動をする。
「死ねェェ!!」
変な掛け声を出してかっちゃんはボールに爆風をのせて投げた。
するとボールは高く高く飛んでいって見えなくなった。
「まずは自分の最大限を知る。それがヒーローの筋を訂正する合理的手段。」
相澤先生がスマホの画面を私達に見せるとなんと"705m"という数字。
その現実離れした結果に面白そう。という言葉が誰かから溢れた。
「面白そう、か。」
相澤先生は何か考える。
「ヒーローになるための3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい。
……よし、8種目トータル成績最下位のものは見込みなしと判断し、除籍処分としよう。」
それは余りにも衝撃な発言だった。
皆が驚く中、私は所持しているメダルを確かめた。
何をするのか分からなかったため、フゥ2とジバニャン、ばくそく、ちからモチ、ふぶき姫、キズナースのメダルしか持っていない。
というか個性把握テストに個性ではない妖怪達を使っていいのだろうか?
疑問に思ったので、移動中の相澤先生に駆け寄って聞いてみる。
『先生、あの私の個性は知ってますよね…?
それで友達のお手伝いは有りでしょうか。』
「問題ない。校長からもそうお達しだ。」
それと校長が今日の放課後お茶をしようと言っていたぞ。と教えてくれた。
睨まれたりしたから恐い人だと思っていたが、教えてくれたし優しそうだと思った。
まず始めに50m走。
出席番号順に二人ずつ走って行くので、私は最後で一人になる。
飯田くんは足にジェット機があって速かった。
かっちゃんは爆風で飛んで、最早走っていなかった。
私の番になる前にばくそくを喚んで取り憑いてもらう。
合図で足を踏み出すと、皆が驚いているのが聞こえた。
「3秒79。」
『よし!』
ばくそくとハイタッチして、取り憑くのを止めてもらう。
────
握力を測定して次に立ち幅跳び。
ちょっとズルいような気もするが、ウィスパーに上げてもらって端まで行こうと言う作戦だ。
線の前に立ち、ジャンプのタイミングで持ち上げてもらう。
それで砂場の端まで行き、着地すれば拍手された。
ボール投げはちからモチで、持久走はばくそくで、他は自力で測定を終えた。
ボール投げでいっくんがまた怪我をしたので後で保健室に行くそうだ。
「じゃあパパッと結果発表。
トータルは単純に、各種目の合計を計算した数だ。
口頭で説明すんのは時間の無駄なんで、一括開示する。」
相澤先生がスマホ片手にそういい、そこから成績が投影される。
私は6位だった。
もう少し上に行きたかったが仕方ない。もっとトレーニングしなければ。
いろいろ思うところはあるけど、それどころじゃないと慌てて視線を動かす。
21位、最下位の位置には"緑谷出久"という名前があった。
『そんな…。』
あんなに頑張ってきたいっくんだったが、個性の問題からかボール投げ以外自力で挑んでいたので最下位となってしまったのだ。
いっくんは酷く落胆している様子だった。
「ちなみに除籍は嘘な。」
唖然と数名の生徒が目を丸くする。
そんな私たちに楽しげな笑みで歯を見せて笑う相澤先生。
「キミらの個性を最大限引き出す合理的虚偽。」
「「「はぁぁぁぁ!?」」」
沢山の叫び声が響く。
私の前の席の女の子、八百万百ちゃんが腕を組む。
「あんなの嘘に決まってるじゃない。
ちょっと考えれば分かりますわ。」
『わからなかったよ…。』
ずぅーんとしているとフゥ2が慰めてくれた。
解散ということになり、私は梅雨ちゃんと更衣室に向かう。
「やっぱり霊和ちゃんて凄いのね。」
『梅雨ちゃんも凄かったよー。
四足で走ってたけど個性って動物なの?』
「えぇ。蛙っぽい事ならだいたいは出来るわ。」
舌も長く伸ばせるらしい。
私達の会話が聞こえていたのか茶髪の女の子も話に入ってくる。
「蛙って万能だね!
私の個性は物を浮かすだけだから使いどころが限られちゃうんだ~。」
「あら貴女だってボール投げで∞なんて凄いわ。」
茶髪の女の子は麗日お茶子ちゃん。私よりも少し大きいくらいでほわほわな雰囲気の可愛い子だ。
お茶子ちゃんは私の方を向いて質問してくる。
「霊和ちゃんの個性は何なん?
増強系っぽかったよね。」
『ううん。私は見る事しか出来ないから、個性は使ってないよ。』
友達の力を借りてたの。と言うと二人は首を傾げる。
立ち止まると二人も立ち止まってくれたので、二人に向かって両手を出す。
『手を握ってくれるかな?
私の友達を紹介したいの。』
梅雨ちゃんとお茶子ちゃんは目を合わせておどおどしながらも手を握ってくれた。
最初は意味がわからず疑問に思っていたみたいだが、私が目線でウィスパーの方を見ると二人は驚愕した。
「え、な、え、ええぇぇえ!?」
「っ驚いたわ…。さっきまで何もいなかったはずなのに白いのが居るわ。」
他にもネコと水色がいると驚かれる。
「いや~、久しぶりに驚かれましたね~。
なんと言う爽快感!
もっと驚きの顔を見せていただきたいです!」
「アハハ…。俺は余り慣れないなぁ。」
驚かせるために見せたんじゃないんだからね。と注意して三人を紹介する。
「この子達が見える事が個性なのね。」
『他にも沢山友達いるんだ!』
お茶子ちゃんとはずっと手を繋いで、梅雨ちゃんとは手を離したり繋いだりしながら足を進める。
梅雨ちゃんは手を繋ぐと見えて、手を離すと見えなくなるのに興味深々だ。
「不思議ね…。」
「だねー。
この猫ちゃん微妙に可愛いね。」
「微妙って何ニャン!
オレっちは最高に可愛いニャン!」
プンスカと可愛く怒るジバニャン。
先に教室戻ってるニャン。と一人で先に行ってしまった。
「私は?私は可愛いですよね?
こんな可愛らしいつぶらな瞳。口角の上がったぷっくりとした唇。ツルもちの白い肌。
可愛くないはずがありません!」
「自信過剰すぎ…。」
ウィスパーがお茶子ちゃんに迫っているのをフゥ2は呆れて見ている。
更衣室に着いたし、お茶子ちゃんがうーん。と回答に困っていたのでウィスパーとフゥ2を廊下に残して更衣室に入る。
『普段は私の周りに何かいるな~くらいの気持ちでいてくれればいいからね。』
苦笑いで二人に言うと梅雨ちゃんは頷き、お茶子ちゃんは頑張る!と謎の決意をしていた。