1話
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4歳の夏、私は仲良しの男の子二人と自然が一杯な公園で遊んでいた。
「次は霊和が鬼だからな!」
『うん!』
「じゃあ20数えてね。」
男の子二人は私の周りから離れていく。目を瞑りながらい~ち、に~と大きな声で数える。
20と言い目を開け、周りを見渡す。二人はバラバラに逃げたようで1人しか姿が見えない。広い公園の中の何処かにはいるはずだと思いながら慌てて逃げようとしている男の子を追いかける。
『まてー!』
「わわわわっ!?
霊和ちゃん速いよー!」
二人の距離はすぐに縮まり、タッチ!と言って男の子の肩に触れる。
「うぅ~…すぐ捕まっちゃったぁ…」
『えへへ~。あと1人は何処にいるのかなぁ…』
男の子の手を握りながら辺りを見回すが目当ての子供はいない。公園内をうろうろするがいるのは子連れの親子やランニングをしている若い男の人、私達と同様に遊びに来ている子供達、日向ぼっこしている犬とその飼い主など。
「どこに行っちゃったんだろ?」
『かくれんぼじゃないのにぃ…!』
思わず地団駄を踏んでしまう。
沢山の木が植えられている中を進むと、背後から声を掛けられる。振り向くとスケートシューズを履いた犬が氷の上を滑っていた。
「君の探してる男の子ならあの木の上にいるよ~。あ、言っちゃった!」
『ホント!?ありがとう!』
犬に言われた方向を見上げると探してた男の子が木の幹の上にしゃがんでいた。
『み~っけ!』
「げっ!何でここがわかったんだよ!?」
『内緒だもん。』
「さてはまた変なヤツの仕業じゃねーだろうな!」
男の子は木から飛び降り、霊和の手を握ると辺りを見回す。霊和に木の上に男の子がいると言った犬を見付けるとテメェか!と怒鳴り付ける。
「おーこわ。」
「今日こそは見付かんねーまま勝ってやろうと思ってたんに邪魔しやがって!!」
「ま、まあまあ落ち着いて。また鬼ごっこすればいいんだし」
「うるせぇ!俺はこの鬼ごっこで勝つ気だったんだ!」
先に捕まった男の子が咎めるがキレている男の子は止まらない。
「鬼ごっこしてたんですね~。でも自分から捕まりに行ってよかったのですかね~?もしかして女の子を触りたかったとか~?」
犬は男の子に恐怖しながらも煽っていく。
先程から違和感なくされていく会話だが、実はこの犬は口すべらしという妖怪であった。
妖怪は普段人には見えないが、人と寄り添いながら生活している。イタズラ好きな妖怪は人に取り憑き遊んでいるが人が嫌いな訳ではない。むしろ人が好きな妖怪も多くいて人と関わりたいがためにイタズラをする妖怪も多い。
今目の前にいる口すべらしも自分の姿が見える私たちが珍しいのか絡んできている。
「…っうあ゙!?」
男の子はようやっと犬が言った言葉を理解出来たのか、勢いよく私の手を離した。
この世界には"個性"と呼ばれる超人能力があり、私の個性,"霊視"は人成らざるモノが見える能力である。他人は"こういうモノ"は普段見えないが、私の素肌と相手の素肌が触れた時のみ相手にも見える。
この個性は私が生まれた時から発動していた。私を初めて抱いたお母さんが誰もいないはずの場所にピンク色のどら焼きがいると大騒ぎになった。
「これもテメェのサクリャクってのか!?」
『え?』
「かっちゃんが握って来たんでしょ!?」
「ちげーよ!!こいつのサクリャクに乗ってやっただけだ!勘違いしてんじゃねー!!」
サクリャクってのがよくわからなかったけど、私のせいでかっちゃんが負けちゃったのなら謝らなければならない。私は小さい脳みそを働かせながらもそう思った。
『わ、私そんなつもりじゃなかったけどごめんね…。』
「かっちゃんが霊和ちゃん泣かせた!」
「泣かせてねーよ!」
そういいながらもかっちゃんと呼ばれた男の子,爆豪勝己は私の手を握ってきた。
「べ、別に霊和に怒ってるわけじゃねーからな。クソ犬にムカついてるだけだ。」
かっちゃんは口すべらしを睨み付ける。口すべらしは顔を青くさせる。
「いやー、お話してくれてありがとー。これ、メダル上げるから。じゃあねっ!あーあ、怖かった。」
口すべらしはかっちゃんとは別の男の子,緑谷出久にメダルと言われた物を渡し消えてしまった。
メダルには口すべらしの絵と黄色の枠に口すべらしと書かれていた。
『わぁ!お友だちになっちゃった!』
「ワンちゃんのお友だち出来たね!」
緑谷もとい、いっくんからメダルを受け取る。
妖怪が渡すメダルは妖怪メダルといい、友達となった証らしい。何に使うかはよくわかっていないが出会って仲良くなった妖怪から貰った妖怪メダルは大切にしている。
「おい!もう一回鬼ごっこするぞ!」
『じゃあ次はいっくんが鬼だね。』
「うん!20数えるよ!」
私達はお母さんが迎えに来るまで遊びほうけた。
ちなみに先に捕まるのは私かいっくんでかっちゃんが勝利を納めた。
H29.09.29