22話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私の朝は早い。
まだ日が昇り始める前、ベッドから起きて身仕度を始める。
私のためにお母さんも早起きして朝食を作ってくれるので、食べながら何となくテレビを見るのが習慣だ。
朝ごはんはお米が良いと言われているけど、今日の私はパンを食べている。
妖怪は食べなくても生きていけるが、ウィスパーも隣でご飯を食べている。フゥ2とジバニャンはまだお休み中。
テレビを見ていたウィスパーが呆れたような声を出す。
「また"敵"の特集ですね~。最近活発化してきてませんか?」
『そうなんだよね。ウィスパー達のお陰で一時期減ったと思ったんだけどなぁ。』
私が"敵"退治を始めて数ヶ月、"敵"の中でも恐怖されていたのか"敵"活動の回数が減った時期もあった。
しかし慣れてしまったのかまた元の回数に戻ってきたばかりか、それ以上に増えてしまったのだ。
「うわ、あのドロドロした"敵"何ですか。人質を取るだなんて卑怯じゃないですか!」
「これ近所で起きたそうよ。危ないわね~。」
お弁当をテーブルの上に置いたお母さんがテレビを見て呟く。
『そうだったの?
昨日は色々あったからなぁ…。』
根津が妖怪ではなく動物の突然変異だったとか、雄英の特待生になってくれとか、お説教を2時間とか大変だった。
ソファーに座っていたのにお尻が痛くなってしまった。
お説教がなければ救助に行けたのかな?と思ったが自分が悪いので仕方がない。
「おや…?」
『どうしたのウィスパー?』
ウィスパーは席を離れてテレビの前に行く。
「この顔、どこかで見たことあるような…。」
『?』
テレビを見ると、ドロドロした"敵"が人質を取っているのだが、人質の顔が無修正のまま映っていた。
その顔を見て私も急いでテレビの前に駆け寄った。
『かっちゃん…!?』
紛れもなく、幼馴染みである爆豪勝己本人であった。
私は急いで朝食を食べてかっちゃんの家に行った。
"敵"に捕まり怪我はないか心配だった。
インターホンを鳴らしかっちゃんが出てくるのを待つ。
玄関の扉が開くと、いつも通り気だるそうに出てくるかっちゃん。
「おい、朝っぱらにチャイム鳴らすな。ババァが起きる。」
『かっちゃん"敵"に捕まったってニュースで見たの!どこも怪我ない!?大丈夫なの!?』
かっちゃんの頭から足まで見て背中も確認する。
「服捲んな!!
それから怪我もねーし、あんなん何ともねーよ!」
盛大に舌打ちをして乱れた服を直す。
「いいか?これ以上昨日の話はすんな!」
"敵"に捕まったことが原因なのかイライラが治まらないようで、いつもより荒々しく先に行ってしまった。
急いでかっちゃんのあとを追ってランニングを始める。
「それにしてもあーた、昨日は何故通りに?あそこはショッピング街じゃないですか。」
『あ、そう言えば…。
かっちゃん何であそこにいたの?』
「話すんなっつっただろカスがァ!!」
いっくんと合流するまで質問攻めしたのだが、結局ことごとく回避されて真相は掴めなかった。
─────
いっくんとも合流してランニングをした後、公園のトイレでランニングシャツから制服に着替えて学校に向かっている時だった。
「──明日から一緒にランニング出来ないんだ…。」
沈んだ声でいっくんは言った。
「何て言うのかな?師匠みたいな人が、僕に稽古をつけてくれることになったんだ。」
『お師匠さんが出来たの!?わあぁ!!』
師匠という言葉の響きに感動して思わず拍手をしてしまう。
「うん。
学校以外のほとんどの時間を取られちゃうから、本当は凄く、すっごく嫌なんだけど、泣く泣く一緒には走れなくなるんだ。」
「2回言いましたね。」
『そっかぁ…。少し寂しいなぁ。』
もう何年も一緒に走ってきたので寂しく思うが、これもいっくんの為だ。
「へっ。ザマァ。」
「…かっちゃんこそ二人きりだからって霊和ちゃん苛めないでよ。」
「てめぇには関係ねーだろぉ。」
どうしてだかいっくんとかっちゃんの間に火花が散った気がした。
H30.04.23