21話
夢小説設定
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「面倒臭いからって俺にやらせないでください。」
「ごめんね。霊和ちゃんと二人で話し合いたくて。」
イレイザーは封筒から紙を取り出してテーブルに置く。
「君にボクの学校に来て欲しい。
その為に特別待遇生として君に入って貰いたいんだ。」
『特別待遇生?』
おうむ返しをして質問する。
「特別待遇生、一般で言う特待生の事だね。
推薦枠とも違うその枠で君には入って貰おうと思っている。」
一般では特待生とは優秀な成績を修めた生徒学生が、補助金や授業料減額免除になる制度だ。
私の場合国語以外の成績は優良、体育もA判定、秘密裏にだが"敵"退治も評価されているらしい。
今回は金銭面ではなく、入試免除となりヒーロー科に入れる。
『待って。
あ、待ってください。』
話がどんどん進んでいくので一旦止める。
今まで根津には友達感覚でため口で話していたが、今は担任と校長もいるから敬語にした。
『雄英に入りたいとは言いました。
でも特待生とか、入試免除とかいりません。
私は自分の力で入ります。』
「な、何言ってるんだ!あの雄英に入れるんだぞ!
お前も雄英に入りたいならこの話は蹴るべきじゃないだろう!」
担任は私の肩を掴む。
『特待生の話は有り難いです。
でも、ヒーロー科に入りたい人は他にも沢山いるんです。その人達は今物凄く努力をしているはずです。
なのに私だけ何の努力もせず、試験も受けず入る気はありません。』
「霊和ちゃんだってヒーローになりたいと言った3年前から休まず努力しているじゃありませんか!」
「そうニャン!特待生になっちゃえばいいニャン。」
ウィスパーとジバニャンも勧めるがそれではダメなのだ。
私も努力はしてきた。だが一緒にやってきたかっちゃんやいっくんはどうなる?
二人は努力して入試をするのに私だけ呑気にお茶でも啜ってろというのか。
『ごめんなさい。承ける気はありません。』
根津に頭を下げる。
「いや、そういってくれると思っていたよ。」
『「へ/ニャ?」』
「…うぃす?」
「ボクが出会ってきた中で君ほどヒーローに向いている人物は少ない。
だから君が断ることは想定していたんだ。」
最初から断ると分かっていたみたいだ。ならどうして提案したのだろう?
「ボクの本当の提案は、君には特待生として入ってもらうけど入試を受けてもらう。
ボクは君ではなく"妖怪"がした"敵"のことしかわかっていない。君自身の実力は入試で教えてほしい。」
『…それは入試の結果次第では私も落ちる可能性があるんですか?』
「そうだね。ボク個人としては結果関係なく入ってほしいのだけど、他の教師が賛同してくれないんだよ。」
隣にいる人物とかね。と肩を上げて溜め息をつく。
イレイザーは根津を無言で睨んで、紙を見るように言ってきた。
「これはさっき特待生としての推薦書を書いて貰った。
必要事項を書いて封筒で送ってくれればいい。
入試は一般入試だ。勉強と実技どちらも怠るなよ。」
紙を持ち上げて見ると、校長先生と担任のハンコが押されていた。
『わかりました。』
紙と封筒を貰ったので学校用鞄に入れる。
「──さて、積もる話も終わったし、ボクの個人的なお話をさせてもらっていいかな?」
根津は身体を前に倒し、私に顔を近付ける。
「ニャニャ?」
イレイザーが校長と担任を外に連れ出しているのを横目に見ながら頷く。
「君の"敵"退治には多いに助けて貰っているのが現状。
こっち(ヒーロー)側が色々言うのは憚れるが、いくら個性を使わないでの救助活動だからと言って危険な場所に自分から入って行くのはどういうことかと思うんだ。」
「これは…。」
「前回会った時、君は図書館の敷地内にいたよね?
いくら規制の範囲内ではないからといって"敵"は火を操る個性を持っていたんだよ。あそこまで火が飛んでくるかもしれないのに君はそれをものともせずいたよね。君は頭が良いと校長先生からも聞かされたけど、頭が良いならあそこが危険だと分かっていたよね?君が大怪我する可能性だって、最悪ヒーローになる可能性だってなくなっていたかもしれないんだよ。」
いつ息継ぎをしているのかも分からないくらい淡々と言われて私達は萎縮した。
根津が言った事は私も認識していたので返す言葉もない。
「それにね、君の事情もあるんだと思う。"妖怪"なんてボク達には見えないから余り言えないけど、あった人に妖怪やら人間やら言って他人を不愉快させるようではいけないよ。まぁボクは人間ではないから間違えるのも仕方ない。けど、ボクと居たからと言って最初から相澤くんまで妖怪扱いは駄目だよ。
まぁ君は妖怪と人間の区別が出来ないんだろうね。それはわかるけど、最初から人間かなと疑う事も必要だよ。妖怪の事をべらべら喋っていいのなら止めはしないけどね、君の為にも信用出来ない人物には妖怪の事は喋らないようにしようね。」
『はい、仰る通りです……。』
それからも根津のお叱りと忠告と愚痴を2時間くらいされ、帰るころには意気消沈とした私達がいた。
H30.04.22