20話
夢小説設定
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~No side~
暗い夜道を歩く爆豪の後ろについてくるフゥ2がいた。
「マジで付いてくんのかよ。」
「勝手にね~。」
「チッ。」
舌打ちするが爆豪はフゥ2の事は嫌いではなかった。
それどころか多少、否、ミジンコ程だがフゥ2の事を尊敬していた。
プライドがエベレスト級な彼にとって、怒りもせずに見捨てずもしない、怖がったり媚びを売ることもしない。
霊和と緑谷の次に爆豪と真っ向から接してくれたのだ。
だからと言って決して声に出すことはしない。プライドが許さないのだ。
不気味に明るく光る街灯の下を歩く。
街灯から離れれば影が長くなるのを見ながら口を開く。
「…アイツはいつもあんなのが見えてんだな。」
「あと幽霊もだね。オレは幽霊とか怖いし見えなくて良かったなって思うけど、霊和ちゃんに触れて見ちゃった時はビックリするな~。」
幽霊と言っても見た目は様々なのだ。
普通の人間と見た目が変わらない時はいいのだが、血まみれになっていたり、身体の一部が潰れている時もある。
「正直あの子がここまで純粋に生きてこれたことに不思議に思うよ。
オレなら気が狂いそう。」
勿論悪霊の類いもいる。
生きている人間より欲望に忠実なのだ。
誰かを呪いたい、自分のモノにしたい、殺したい、そういう念が幽霊から発せられている。
「幽霊もだがてめーら変なのの方が霊和に悪影響及ぼしそうだがな。」
「えーそうかな~。」
ひゅーひゅーと下手くそな口笛を吹いて誤魔化そうとする。
「誤魔化し方下手くそだな死ね!」
「もう死んでるよー。」
爆豪の周りを飛んであからさまに煽るフゥ2。
思わず個性を使ったのはご愛嬌だ。
爆豪の家に着き、爆豪はフゥ2にお礼とは思えないお礼をする。
「もう少し素直になれば霊和ちゃんを落とせるかもしれないのに。」
「うるせぇぇ!!」
爆豪は乱暴に妖怪ウォッチを外す。
「帰れ!もう一生来んじゃねぇ!」
妖怪ウォッチを外してしまったので、もうフゥ2の姿は見えない。
だが、妖怪ウォッチが一人でに動いたのでフゥ2が持ったのだろう。
「うん。あと一仕事したら帰るよ。」
妖怪ウォッチが完全に手から離れたのを見届けて爆豪は背を向けた。
「…じゃ。」
ポツリと、本当に小さな声だったが挨拶が聞こえた。
「…うん。また明日、ランニング頑張ろうね。」
フゥ2は顔を歪ませた。
「ほんと、ごめん。
ホントはしたくない。
でも上からの命令には逆らえないんだ。」
妖怪にならなきゃよかった。
その時は本当に妖怪になったことを後悔した。
だがフゥ2は意を決した。
「わすれん帽、あとは任せたよ。」
フワフワと帽子が浮かんできて、家に入ろうとする爆豪の頭に乗った。
H30.04.17