17話
夢小説設定
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ヒーローになると夢を持ってから初めての月曜日。
かっちゃんといっくんにヒーローになりたいと一刻でも早く伝えたくて早起きをした。
かっちゃんといっくんでは学校へ行く時間も違い、何でも一番が好きなかっちゃんはクラスの中で一番に学校へ行く。
だから私もいつも以上に早くランドセルを背負って家を出た。
『今日はジバニャンがお休み?』
「ただたんにまだ寝たいって。置いてきたよ。」
「全くあの猫はだらしがないですね。この私の朝の寝起きのよさを見習ってほしいですね~。」
『ウィスパーは朝強いよね。』
浮いている二人だけなので歩幅も合わせる必要がないため、私は駆け足でかっちゃん家に急ぐ。
かっちゃん家のインターホンを押すとかっちゃんのお母さんが出た。しかしかっちゃんは既に出掛けたと言われた。
『かっちゃん早いなぁ…。』
「まさかこんな早くに出ているとは思いませんでした。」
「もしかしたら先生より早いんじゃない?」
ランドセルの肩紐を持って揺れを抑えながら走る。
学校までの道をひたすら走ったが、かっちゃんに会う事はなく学校に着いてしまった。
下駄箱で上履きに履き替えて、まだ誰もいない廊下をはや歩きで教室に向かう。
教室の扉を開けるとやっとかっちゃんを見付けた。
『かっちゃんおはよ!』
「おぉ。
…珍しい事もあんだな。」
ランドセルを自分の机の上に置いてかっちゃんの傍へ行く。
「なんか勝己くん疲れてません?」
『え?』
思わずウィスパーを見る。
「また変なのが話してんのか?」
『ウィスパーがかっちゃん疲れてるって…。
かっちゃん何かしてたの?』
「疲れてなんかねーよ!」
何もしてねーと言われたのでそれ以上は聞かなかった。
「──…つかテメーは、」
『霊和。』
テメーじゃなく名前で呼ばれたいので訂正する。
かっちゃんは顔をしかめて頬杖をつく。
「っ…霊和は何でこんな時間にいんだよ。日直でもねーのに。」
『そう!
私ね、ヒーローになりたいの!
かっちゃんといっくんに早く言いたくて早起きしちゃった!』
「ヒーローだぁ゙…?」
『うん!オールマイトみたいに人間も妖怪も守れるヒーローになるんだ!』
私が夢を思い描いていると、かっちゃんがバンッと机を叩いて立ち上がる。
「ダメだ!
霊和は俺に守られてりゃいーんだよ!!」
フゥ2達に加え、お母さんとお父さんもヒーローになることを許してくれた。なのに初めて否定されたショックは思いの外大きい。
『なんで?私も守りたいよ。』
「ガキの頃誓っただろーがよお゙!!それを無しにすんのか!?」
昔の小さい時の約束だ。
かっちゃんといっくんがヒーローになって私を守ってくれるという約束。
『そ、んな事もあったけど、もう大きいんだからかっちゃんが守る必要ないよ。』
「あ゙ぁ゙?俺よか小せぇだろ。
それにテメーは変なの見る以外個性ねーだろ!ヒーロー向きじゃねー!!」
『それはフゥ2達や友達の皆が手伝ってくれるって。
一昨日強い人のメダル貰ったから大丈夫!』
ねっ、ウィスパー。とウィスパーを見ると、かっちゃんがウィスパー向かって個性を使う。
『ウィスパー!?』
「いきなり何するんじゃー!!!痛いじゃないですか!!」
ウィスパーがタフなお陰でボロボロながらも元気そうにかっちゃんに抗議する。
かっちゃんは私の手を強引に掴みフゥ2に怒鳴る。
「テメーらがコイツを守るんじゃなかったのかよ!?守られる立場になってんじゃねー!」
フゥ2は、また爆破しそうなかっちゃんから避けて頬を掻く。
「そうなんだけどね…。
でも俺達が霊和ちゃんの道を諦めさせる事は出来ない。しちゃいけないんだよ。
妖見霊和という人間の人生は一度きりなんだ。他人が決め付けることは出来ない。」
「…っ」
かっちゃんは私の手を離すと自分の椅子に座った。
『かっちゃん…?』
「…ヒーローでも何でも好きにしろ。
だが俺の上に立つんじゃねぇ。
俺が霊和を守んのは変えねーからな。」
『……。』
かっちゃんもフゥ2の成り立ちは知っている。だから年長者の言葉の重みも知っているのだ。
フゥ2は老人になるまで生きていた。だが人生に悔いがあったから妖怪になって此処にいる。
『っありがと、かっちゃん!私もかっちゃんを守るね!』
「俺の言ってる意味分かってねーだろ゙!!?」