15話
夢小説設定
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小学6年生になり桜が散りかけている頃に、フゥ2達と出会ったさくらニュータウンに来ていた。
と言ってもフゥ2の家にとかではなく、この街にあるパン屋さん目当てだ。
100年以上続くこのパン屋さんは幻とまで言われている大人気のメロンパンが売られている。フゥ2に教えてもらい、是非とも食べてみたいと即決してここまで来たのだ。
休日を使い朝早くから電車に乗り、パン屋さんの前で並んでいる。
「流石老舗のお店ですね。もうこんなに行列が出来てますよ。」
「ここのパンは美味しいからね~。オレも昔はよく並んだなぁ。」
「ニャ~、眠いニャン…。」
『ジバニャン抱っこしてあげる。』
「ありがとニャン!」
飛び込んできたジバニャンをキャッチする。
私の半分以上の大きさのジバニャンだが、幽霊だからなのか全く重たくない。
─────────
10分くらい並んで無事メロンパンは買えた。
『美味しそう!』
「オレん家行こう!そこで食べよう。」
フゥ2の家に行くことになり、メロンパンと他のパンが入った袋を腕に下げながら足を動かした。
小川沿いに沿って歩いていると、前から小さな女の子が辺りを見回しながら歩いてきた。いかにも何か探しているような動きだったので声を掛けた。
『ねぇ、何か探してるの?』
女の子は私の方を向いて、ウィスパー達を見た。
「あ、フゥ2。てことはこの子が噂の子なのね。」
この子も噂を知っていたようだ。フゥ2達を知っているから妖怪なのだろう。
格好が青い色の和服でマントのフードをかぶっている。
「それが髪飾りを何処かに落としちゃったみたいで…。」
『この辺りにあるの?』
「いつ落としちゃったのかわからないの。河原にいた時は確かあったはずよ。」
河原から20分ほど行ったところで気付いて、河原に戻るところだったのだとか。
「…霊和ちゃんまさか、」
『うん!一緒に探すよ!』
「やっぱり!」
「いつもの事ニャン。」
「ホント!?助かるわ!この格好じゃ飛べないし大変だったのよね~。」
『??』
フゥ2に聞くと、この子はゆきおんなという名前で髪飾りを付けると姿が変わるらしい。
『ゆきおんなってウィスパーの好きな古典妖怪?』
「違いますよ~。こんなちんちくりん、古典妖怪先輩と比べたら月とすっぽんです。」
「……」
「ウィスパー!ウィスパー!お願いだから黙って!」
ゆきおんなだからか冷気が溢れる。春なのに身体が震えてしまう。
『それじゃ、分かれて探そ。』
「オレっち霊和ちゃんとがいいニャン!」
「私だって霊和ちゃんとがいいでうぃす!」
前にもこんなことあったなぁと思いながらじゃんけんにしようと提案する。
「私がこの子と探すわ。アナタ達は川の方を探してちょうだい。」
「はぁー!?そこはじゃんけんで「いいわね…?」うぃす…。」
強引だったような気がするが、取り敢えず分け方は決まった。
フゥ2達は川へ、私達は髪飾りがなくなっていたのに気付いたエクセントツリーという所までの道のりを探す事になった。
「私貴女と話したいと思っていたの!」
『え、私と?』
ゆきおんなは人間が好きで、昔からずっと人間界で暮らしてきた。だが妖怪ウォッチが禁止になり、人間と交流出来なくなっていたので私という存在を知り是非会ってみたいと思っていたのだ。
しかし私の所在はぬらりひょんによって隠されているらしい。
『そうだったんだ。』
「あの人って昔から頭固いのよ!」
プンスカと可愛い怒り方をするゆきおんな。
「あ、私のメダル渡しておくわね。」
ゆきおんなはメダルを私に渡してくる。
『ありがと!
…ん?ふぶき姫って書いてあるよ?』
メダルを見ると名前にはふぶき姫と書いてあり、イラストもゆきおんなではなく綺麗な女性だ。
「私の本当の姿はそっちなの。」
先程髪飾りを付けると姿が変わると教えてもらったのを思い出した。
『妖怪は進化するってフゥ2から聞いてたけど、こんな風に変わるんだね。』
思わずゆきおんなとメダルのイラストを交互に見てしまう。
「他にもいるわよ。貴女の騎士(ナイト)達もね。」
ないと?と疑問に思っていると、見覚えのある池が見えた。
『ここ、長い鬼がいたとこだ…。』
「長い鬼?」
フゥ2達に会う前に来た博物館の前にある池だった。
博物館に大きい恐竜の骨があったな~とゆきおんなに話していた時だった。
──ドオォォォンンッッ
後方から爆発音がした。
『え!?』
逃げ惑う人々。
爆発音と共に煙が充満し炎も見える。
「上を見て!」
『"敵"だ!』
飛ぶ個性を持っている"敵"が上空を滑空しながら黒い物を落とす。
黒い物は地面に着くと大きな爆発をした。
『爆弾…!』
「それも大量に持ってるわね。
うー、私がこんな姿じゃなければ凍らせてあげたのに…っ!」
次々に爆弾が池周辺に落とされる。
池の上でボートを漕いでいた人達は爆風でボートから落とされ、遊具で遊んでいた子供は泣き騒ぐ。
辺りは黒い煙幕に覆われ、遠くを見る事が出来なくなった。
「今の私にはどうすることも出来ないわ…。
ここは人間のヒーローに任せて逃げましょ!」
ゆきおんなは髪飾り無しでは能力をコントロール出来ない。
『でもどっちに…!?
そ、そうだ!こういう時はジバニャンを喚べってフゥ2に言われてたの!』
何か困った事があってウィスパーしかいない時はジバニャンを先に喚べとフゥ2から教わっていた。(フゥ2ではないのは対した能力は持っていないからだと言われた)
それでもダメな場合にフゥ2を喚ぶ事になっている。
私はズボンのポケットからジバニャンのメダルを取り出そうとする。
だが焦ってジバニャンのメダルがどれだかわからない。
キズナメコじゃなくて、ホノボーノじゃなくて、とメダルを一枚一枚確かめる。
『あ、あったこれだ!』
ジバニャンのメダルが見付かり他のメダルをポケットに入れる。
「霊和ちゃん危ない!」
ゆきおんなの声に気付いたら真上から爆弾が落ちてきていた。
身体が動かなく、目を瞑ることしか出来なかった。
しかし身体に傷を負う事はなかった。
冷たい空気が流れ、いつまでも爆発しないので目をそっと開ける。
『ええぇ!?』
辺り一辺が凍っていたのだ。
池も木も地面までもが凍っている。
しかも上を見ると爆弾と思わしき物までが凍っていた。
「あぁ!やっちゃったわ…。」
『これ、ゆきおんながやったの?』
「本当は爆弾だけ凍らせるつもりだったのよ…。」
強大な力を持っているがコントロール出来ないのでこんな事がよくあるのだとか。
早く髪飾りが見付かってほしいと切実に願った。