11話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
小学3年生になり、このくらいの歳になると周りとの違いに敏感になってくる。
かっちゃんもいっくんに対しての態度が以前より酷くなっているような気がする。否、気がするとかではなく確実にだ。
学校の休み時間になり、かっちゃんが一番に外に出ようとする。
「かっちゃんボクも行くから待ってて!」
「デクなんか待つかよ!」
デクとはかっちゃんが考えた無個性のいっくんの蔑称だ。
「ちょっとちょっと、酷いんじゃありません?デクって、木偶の坊としか聞こえませんよ?」
ウィスパーは自分が見えていない事を知ってはいたが、余りのかっちゃんの言い様にかっちゃんに抗議をする。
「デクならウィスパーの事を言うニャンよ。イズクはいい子ニャン。」
「おいっ!!」
ジバニャンの言葉にウィスパーがキレる。
ウィスパー達は私を守る為に外に出る時は必ず誰かしら一緒にいる。それは学校でも変わらない。授業中は静かにしている。
『かっちゃん、いっくんの事変な呼び方しちゃダメだよ。』
教室から出ようとしていたかっちゃんの腕を掴む。
「…。」
『いっくんはいっくんだよ。デクじゃないもん。』
「うっせーな…。」
顔を背けるかっちゃん。周りがハラハラして見ている。
いっくんが慌てて私とかっちゃんの間に入ってきた。
「ぼ、ボクは大丈夫だからっ!
だから二人にはケンカしてほしくないって言うかっ…。ね!霊和ちゃんも落ち着いて!」
『ダメだよ。かっちゃんがいっくんの事いっくんて言うまで許さない。』
「ガキじゃねーんだからんなこと言えるか!」
何で言えないんだろう?
私には理解出来なかった。
後ろの方でいっくんと呼べー!と野次、というかウィスパーとジバニャンが言っている。
『ガキじゃなくてもいっくんて呼ぶの!』
「こいつなんかデクで充分なんだよ!」
「あ~もう!二人とも落ち着いて!」
友達のはずのいっくんを罵る意味がわからない。そして分かってくれないかっちゃんにイライラした。
『いっくんの悪口言うかっちゃんなんて嫌い!』
「っ…!
…あぁ、そうかよっ。」
いかにも子供っぽい否定的な言葉に一瞬傷付いたような顔を見せるかっちゃん。
私の腕を振り払い教室から出て行ってしまった。
「霊和ちゃんでも子供っぽい事するんですね。」
「霊和ちゃんに嫌われていい気味ニャン。」
『だって…。』
昔は仲が良かったのに今では蔑称でいっくんを呼ぶかっちゃんが許せなかったのだ。
勢いで嫌いとまで言ってしまったことを悔やんだ。
ここにフゥ2がいたら喧嘩しなくてすんだのかな…。なんて今日に限ってフゥ2を連れて来なかったことも後悔した。
『いっくんごめんね…。』
「ボクの事は気にしなくていいよ。
でもかっちゃんの事嫌いじゃないのに嫌いなんて言ってよかったの?」
『…よくない。』
「そうだね。」
かっちゃんはクスクスと笑う。
「ボクは、ボクがかっちゃんにデクって言われるより、かっちゃんと霊和ちゃんが喧嘩してる方が嫌だな。」
『私だってかっちゃんがいっくん虐めてるのヤだ。』
「ボクは無個性だから仕方ないよ。かっちゃんや霊和ちゃんみたいに凄い個性を持ってたらよかったんだけどね!」
いっくんは笑顔だが、どこか悲しい顔をしていた。
個性持ちの私が無個性のいっくんに掛けられる言葉はなかった。
「ほら、謝ってきなよ。かっちゃんも霊和ちゃんに嫌われて堪えてるだろうしね!」
確かに友達に嫌われるのは嫌だもんね。と言うとウィスパーもジバニャンも呆れた顔をしていた。どうしてだろ。
教室を飛び出し、かっちゃんがいるはずの校庭へ走った。かっちゃんはイライラしたように友達とドッジボールをしていた。使用してはいけないはずの個性を使い、ボールの加速力を上げて投げていた。
『かっちゃん!』
賑わっている校庭の中で出来るだけ大声をあげてかっちゃんを呼ぶ。かっちゃんは少し間を置いてこちらを振り向いた。
「…なんだよ。」
『えっと、あ…と、』
気不味くてしどろもどろになりながら声を発する。謝ろうとしたが、それはかっちゃんの友達によって阻まれた。