48話
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表彰式が終わりデカニャンと別れ、いつも通りかっちゃんといっくんと帰るつもりだったのだが、かっちゃんが先に帰ってしまって二人になってしまった。
帰りにかっちゃん家のチャイムを鳴らすとかっちゃんのお母さんが出てきて、テレビを見たと言ってくれた後にかっちゃんは部屋に閉じこもってると言われた。結局かっちゃんは来てくれなかった。
仕方ないので家に帰り、次の日に携帯に電話してみたけど一回も出てくれなかった。
かっちゃんと話せないので仕方なく外でランニングしていると近所の人がテレビを見てたよー。と話し掛けてきた。
中にはどうして自分から場外へと出てしまったと責められてしまった。詳しくは教えられないので言葉を濁して逃げた。
次の日も午前中から何度も電話をした。
ウザイと思われているかもしれないけど無視されるのは嫌だ。
そして私の我慢は午後になくなった。
『かっちゃん家に行ってくる!ウィスパー行くよ!!』
片手に携帯を握り締めて片手にウィスパーの腕を掴んで家を出る。
「ああ!妖怪パッド置いてきちゃったじゃないですか~!
急にも程がありますよー霊和ちゃん。」
ウィスパーを無視してかっちゃん家に向かっていると、フゥ2も後からやってきて一緒に行くと言った。
走って数分の距離の道はすぐに着き、かっちゃん家のインターホンを鳴らす。誰も出てこないので車庫を見ると車がない。
かっちゃんも一緒に出掛けているのかもしれないと諦めそうになった時、フゥ2が教えてくれた。
「今勝己の部屋見たら居たよ。居留守使ってるとか立ち悪い。」
かっちゃんは家に居るのに出ないので、私はウィスパーに持たれてかっちゃんの部屋まで飛んだ。窓の鍵は開いていたため窓を開けると、音に反応したかっちゃんが此方に振り向いた。
「泥棒かテメェは!」
『謝ろうとしてたのに…かっちゃんずっと無視するんだもん!』
トレーニング用の機械に座って筋トレをしていたみたいでそこから立ってタオルで汗を拭く。
『どうして無視するの。』
「…してねぇ。」
『してるじゃん!』
携帯の不在記録をかっちゃんに見せる。
これで無視してないとか言わせない。
『試合の事は本当に反省してる…。かっちゃんとの試合を蔑ろにしてステージ出ちゃったのは、かっちゃんに対して失礼な行為だって自覚したよ。試合の後それでフゥ2に説教貰ったもん…。
だからかっちゃんの気のすむまで謝るから、なんだったら何でも言うこと聞くし。
だから無視は嫌…。』
大切な人から無視されるのは苦しい。
「霊和は何で変な奴らが原因だって言わねェんだ。」
『え?』
「デクの野郎から聞いた。
変なんの迷子を探して俺が吹っ飛ばされた先にその迷子がいたんだろ。そいつを庇うためにテメェがステージから出た。
ならそいつがいなけりゃ俺に勝てたかもしんねーじゃねぇか。」
いっくんが試合の時のことを説明してくれていたみたいだ。
『そんな、
勝てたかなんてわかんないよ。』
「っ!いつもそうだ!」
気に触るような言い方をしてしまったのだろうか、かっちゃんは吐き捨てるように言葉を私にぶつけてきた。
「テメェはいつも自分を過小評価して他人を付け上がらせてたんだろ!!?肝心な時まで力を出そうとしねぇで相手を翻弄させんだ!!そんな奴ら見て内心嘲笑ってんだろ!!?」
『そんな事…っ』
「言い過ぎ!」
フゥ2は近くにあったソフトボールくらいの球をかっちゃんに投げ付ける。頭に当たり痛がるかっちゃんに私は慌てて近寄ると、フゥ2は私の手を掴んでかっちゃんの手と組ませた。
「勝己は本気でそんなこと思ってるわけ!?霊和ちゃんと10年以上一緒にいてそんな事思うような人間じゃないことわかってるでしょ!!」
フゥ2は私とかっちゃんが繋がっている手から離さずに、もう片方の手でかっちゃんの胸ぐらを掴む。
拳は痛いくらいに握られている。
「霊和ちゃんは俺達妖怪がいなきゃ無個性と変わらない。だから勝己との試合の為に何時間も考えて妖怪達と作戦を練ってトレーニングだってしてた。
体育祭で出てた妖怪は全て勝己と試合する事を考えて選んだ妖怪だったんだよ。
それだけ勝己が強いって知ってるから霊和ちゃんは努力したのに、それを認めようとせずに自分の弱さを霊和ちゃんのせいにしようとするわけ?!」
「っそうじゃねぇ…。」
かっちゃんは俯いて口を閉ざす。
「説教してなんだけど、勝己の気持ちも分かるよ。
俺だって子供のころに妖怪から好きな女の子を守ろうとしてた。いつも失敗してたけど…。
でも霊和ちゃんも守る側の人間になりたいんだよ。勝己の後ろにいるんじゃない。肩を並べて歩きたいんだよ。」
フゥ2の言葉に頷く。
『私もかっちゃんと一緒にヒーローになりたいよ。
困っている人を助けたい。』
「…俺は困ってる奴を助けるとかどうでもいい。ただ大切な奴を守りてェ。
だけど、あの試合で俺にはそんな力はないって思い知らされた…。」
「あそこで霊和ちゃんが勝己くんを引き戻していなかったら、勝己くんが負けていたかもしれませんもんね。」
ウィスパー煩い。と一刀両断するフゥ2。
フゥ2はかっちゃんから手を離す。
「今のままじゃそうかもね。なんたって俺達が霊和ちゃんに付いてるんだし。
でも勝己がこんな所で止まるヤツじゃないってのも俺は知ってる。
俺達妖怪を束にしても越えるほど強くなってみなよ。それこそオールマイトを越えるようなヒーローにね。
勝己なら出来るよ。 」
かっちゃんは目を真ん丸にした後、涙を堪えるように俯いた。握られた拳の力が強くなる。
暫く沈黙していたが、ポツリと発する。
「…今度はカンブなきまでにぶっ潰す。
んで俺に守られたいって思わせてやらァ。」
顔を上げて合わされた目には闘志が宿っていた。
だけど、ヒーローになるんだから守られたいなんて思わないよ…。
「言い方……。そんなんじゃ霊和ちゃんに通じないってば~。」
「今はいいんだよ!
俺がテメェらより強くなったらもう一度言うからな。」
「ふぅん……。ま、良いか。」
俺は出久より勝己を応援してるからね。と面白そうに言うフゥ2。
なんのことだかわからず聞くが、知らなくてもいいことだと言葉を濁された。
『んと、もう無視しないってこと?』
「まぁ…。」
「無視してたことは謝りなよ。」
かっちゃんは舌打ちして悪かったと謝ってくれた。
私も試合を放棄しちゃったんだし、私からも改めて謝った。
H31.02.12