午後の部一番最初に行うのはレクリエーションで、第３種目に出場する生徒は自由参加となっていて今までに脱落した生徒も参加出来る。
なので脱落した生徒が最後の悪あがきに自分をアピールする場になっている。

お祭り好きな私はレクリエーションにも出るつもりで準備するために控え室に行こうとしたのだが、いっくんもかっちゃんも出ないみたいで断られた。
精神統一するために一度一人になりたいらしい。

仕方なく一人でお弁当箱の入った袋を持って控え室に行くと、三奈ちゃんと透ちゃんが私に気付いた。

「あ、居た居たー！
なかなか来ないから探しに行こうとしていたんだよー！」

『何かあったの？』

「なんかぁ、女子でチア踊んなきゃいけないらしくてさー…ヤオヨロが服作ってくれたから着替えないとなんだって。」

はい。とオレンジ色の衣装を渡される。

『随分急だね。
相澤先生忘れてたのかな？』

「そうかもねー。衣装忘れて生徒に作らせてんだもん！
あﾞあ着たくないよー。」

「私は可愛い服着れて嬉しいよ！」

衣装を見ると胸元にＵＡと書かれているのだが、スカート同様上もかなり短いような気がする。

『制服より短い…。』

「ニャー！可愛いニャン！霊和ちゃんニャら絶対似合うニャン！」

「この衣装八百万さんが作ったので露出度高いですね～。
しかし私のご主人様の霊和ちゃんに着こなせないものなど存在しませんよ！」

普段着もスカートだが膝丈くらいが多いので、短いスカートは制服しかない。
その制服よりも短いスカートを履く自信がない。

私がスカートを目の前に持ってきて悶々としていると、三奈ちゃんがスカートよりタンクトップ短い方が恥ずかしいだろ！と言ってきた。

『さっきお昼ご飯食べたからお腹出てないかな？』

手で触って確認するがよくわからないので、体操着を捲ってお腹をウィスパーに確認させる。

「大丈夫でうぃす！
霊和ちゃんの引き締まった滑らかなお腹ですよ！」

「うわぁ！霊和ちゃんのお腹細い！」

「すっご！
お昼食べたんしょ？それなのにこのお腹は羨ましいわー！」

三奈ちゃんがお腹を撫でてくるのでくすぐったくて身を捩る。

「チアのこと知らなくて食べ過ぎちゃったんだよな～。知ってたら時制したんにぃ…。」

会場に立ててある屋台の食べ物を結構買って食べたらしい。






────そして、私たちはチアガールの衣装を着て会場に出た。

<<どーしたA組！！どんなサービスだそりゃ！>>

「峰田さん上鳴さん騙しましたね！？」

『？？』

峰田くんと上鳴くんは顔を見合わせてグッドサインをする。
響香ちゃんがアホらし！と、チアのポンポンを投げ捨てる。

『えっと…どういうこと？』

「チアガールになって踊るのはあの二人の嘘だったみたいだね。」

『え！？』

騙された…と落ち込んでいると、いっくんが近付いてきた。

「峰田くんと上鳴くんは耳郎さんが叱ってるから落ち込まないで。
それに霊和ちゃんの格好似合ってるよ。可愛い。」

優しく微笑みながら頭を撫でてくれる。

『いっくん…ありがと。』

手を握る事は頻繁にしているが、頭を撫でてくれることは少ないので嬉しくていっくんの手に頭を押し付ける。
いっくんはワンちゃんみたいと笑いながらも撫でてくれた。

だが、

「いつまでくっついてんだクソデク！！」

「時間が許す限りいつまでもしてたいなー。」

「許すか！今すぐ離れやがれ！！」

かっちゃんが近付いてくるがいっくんが"ルール"と言うと足が止まった。

「さっきは僕も悪かったから何も言わなかったけど、今してきたらやり返すからね！」

「…チッ。」

かっちゃんはそれ以上何もしてこなかったけど、ずっと此方を殺気立った目で睨んでくる。

『かっちゃんどうしたの？』

「気にしなくていいよ。」

気にしないようにしたくともずっと此方を見続けるので気になる。
頭を撫でられながらかっちゃんを見てニコッとしたら思い切り顔を背けられた。

ちょっとショック…。




<<さァさァ皆楽しく競えよレクリエーション！
それが終われば最終種目、進出４チーム総勢１６名からなるトーナメント形式！！
一対一のガチバトルだ！！>>

予想通り第３協議で１対１になった。

すると、尾白くんがサッと手を挙げて言った。

「あの…すいません。俺、辞退します。」

「尾白くん、なんで！？」

「せっかくプロに見てもらえる場なのに…。」

尾白くんは騎馬戦の記憶が曖昧で、気が付いたら終わっていたらしい。

「チャンスの場だってのは分かってる。それを不意にするのは愚かなことってのも…。
でもさ、みんなが力を出し合って争ってきた場なんだ。こんな…こんなわけわかんないままそこに並ぶなんて、俺にはできない。


あと…なんでキミらチアの格好してるんだ…。」

私以外、八百万さんたちが目を泳がせる。
私は笑って誤魔化した。

その後、尾白さんや他の人たちの辞退が認められ、Ｂ組の鉄哲くんと言う人たちのチームが選ばれた。