3話
夢小説設定
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道の角にある空き家を見上げると、窓に何かがちらついた。
赤い何かが動いて見えなくなる。
片方の耳と、青い魂(タマ)がついた尻尾が見えていた。
『ネコちゃんだ。』
それも生きている猫ではなく妖怪の猫。
私は気になり、空き家の敷地に足を入れる。玄関は開かなく、他の場所を探す事にした。
草が生い茂って歩き難いがかき分けて進む。窓を引くと嫌な音を鳴らしながら開いた。
中は結構綺麗だった。ちらかった様子もなく整理整頓されている。
というか生活感が溢れていた。
私はネコちゃんがいた2階を目指す事にして階段を上がる。
確か玄関側はこっちのはず。と思考しながら2階一番奥の部屋をそっと開ける。
扉の隙間から中を覗くと、赤いネコちゃんが見えた。
『ネコちゃんいた!』
バンッと扉を勢いよく開け部屋の中に入る。
「ニ゙ャッ!!?」
「え!?何々!?」
「うぃぃす──ッ!!!?」
扉を開けた時に何かに当たったらしく、白い固まりが部屋内をスーパーボールみたいに跳ね回る。
まさか何かに当たるとは思っていなかった…。
壁にぶつかり止まった白い固まりを慌てて拾いあげる。
『あの、ごめんなさい』
白い固まりは私の身長くらいあって大きかったがそこまで重たくはなかった。
ネコちゃんを見ると全体が赤く、顔と胸と四足の先だけが白い。耳は怪我したのか左耳に切れ目が入っている。首に鈴がついた首輪をしていて、お腹には腹巻きをしている。2本の尻尾の先は青い魂が付いている。
「何で人間がこんなとこにいるのニャ!?」
『ネコちゃんが見えたから来たの!』
「へぇ、妖怪が見えるんだ。今時妖怪が見える人間っていないと思ってたよ。」
『うん!霊視っていう個性で、妖怪も見えるよ。』
ネコちゃんの他に水色の妖怪もいた。その妖怪はお腹に星のマークで空いてて、足の部分が2という数字の形になっている。足がないのでずっと浮いている。
「妖怪が見える個性ニャン?」
『お母さんが人じゃないものが見れる個性だって言ってたよ。』
「それって幽霊も!?」
『うー?うん。多分見えるよ。』
ネコちゃんと水色の妖怪が凄いと言っているが、あまり人間と妖怪と幽霊の違いがわからない。人間だと思ったら幽霊だったり、妖怪だと思ったら人間だったりしたことは何度もある。超人社会の今、人間も妖怪も変わらない。なので皆一緒だということにした。
床が綺麗なので座ることにした。白い固まりは腕に抱いている。
『ネコちゃん達はどうしてここにいるの?遊んでるの?』
「うんと…、ここは俺達の思い出の場所なんだ…」
『思い出?』
水色の妖怪は少し沈黙したあと、口を開いた
「俺の名前はフゥ2。この赤いのがジバニャン。地縛霊のネコ。」
「赤いのって酷いニャン。」
「ジバニャンは黙ってて。
で、君が抱いている白いのがウィスパー。一応妖怪だよ。」
私は腕に抱いているものを見た。
よく見ると顔があった。口が大きく、目と目の間が黒い。
「俺が妖怪になる前は人間だったんだ。」
『人間だったの?』
「うん。どこにでもいるような、普通の人間。
でも、俺が小学生の5年の時、ウィスパーと会って妖怪ウォッチを貰ったんだ。」
"妖怪ウォッチ"
数時間前に聞いたばかりの言葉がまた出てきた。
「その妖怪ウォッチを使い俺は妖怪が見えるようになって、妖怪と友達になってったんだ。
ジバニャンとウィスパーとはこの家で何年も過ごした。
だからここは思い出の場所。
俺は妖怪になってここに戻って来たんだ。ジバニャンとウィスパーも引き連れてね。」
思い出。
私はまだ5年しか生きていないからピンと来なかったが、この場所が大切なんだと分かった。
『っ?』
腕の中のものがモゾモゾと動き出した。
「…はっ!私どうして寝ていたのでしょう?」
『あ、起きた。』
手を離すとウィスパーはふよふよと浮かび、私を見ると驚愕する。
「うぃすすすぅ~ッッッ!!?」
『ごめんね。私がドア開けたらぶつかっちゃったの。』
「いえいえいえ!お気になさらずに!
というか私が見えるでうぃすか!?」
「それさっきも聞いたニャン。」
「ウィスパーが気絶なんかするからでしょ。」
ジバニャンとフゥ2はウィスパーに冷たい目線を送る。
私はさっき二人に言った事をウィスパーにも説明した。