鬼1匹〜
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鬼9匹
##NAME1##と咲はナッポーの後を着いて行く
数十メートル程歩いた先には崖があった
そして目の前の崖から十数メートルの所にポッカリと開いた穴がある
「あれ?」
「うん!めちゃくちゃ大きいんだよ!」
「お宝はここにあるかな?
それとも熊とかでも住んでるのかな…」
##NAME1##は憶測でしかないが呟く
「熊!?ナッポー食べられちゃう!?」
「食べ、られちゃえ」
慌てるナッポーに咲は酷い事を言っていた
「取り敢えず中を見ない事には分からないしね」
##NAME1##は洞窟の方へ足を進める
咲とナッポーも慌てて##NAME1##を追う
##NAME1##は洞窟を端の方から覗き込み、腰にかけてある棒を掴む
「それ、なに?」
咲はなるべく声を小さくして##NAME1##に問い掛ける
「僕の愛刀だよ」
咲に笑い掛けて愛刀の柄を撫でる
咲は愛らしい##NAME1##を見ているだけだった
「ナッポー、咲…、行くよ!」
「あい!」
##NAME1##達は慎重に中に入っていった
中は真っ暗で全く明かりがない
所々天井から水が垂れて水溜まりになっている場所がある
「転ばないよーにね」
「う、うん」
洞窟の中は日が当たらず、奥に入れば入る程、気温が低くなっていくのがわかる
「寒いな…」
##NAME1##は開(はだ)けさせといた着流しを調える
「咲、寒くない?大丈夫?」
「寒く、ない」
「そぉ?無理しないでね」
##NAME1##は心配するが実際咲は寒くも何とも思っていない
咲は今までもっと寒い夜を自分の服一枚で幾月も過ごしていたのだ
そんなものに比べれば全く寒く感じないのだ
「ね、あれ、」
「明かりだ…」
奥の方、十数メートル先
帆のかな光りが見えた
明かりを使っているということは人間だ。逞はそう思いまた進み始めた
「ここは…」
##NAME1##はほんの少しだけ目を大きく開けた
##NAME1##達の目に広がる光景とは、炬燵(こたつ)にお碗に簡易釜戸に井戸に布団三式に…
兎に角一般庶民的な"人間"の暮らしを表現させたものだった
「まさかここで誰か暮らしてるとか?」
「熊が?」
ナッポーは未(いま)だに熊が住んでると信じているのか、馬鹿っぽいことを聞いてくる
「熊じゃなくて人間。それも今に誰か人が来そうな感じ」
##NAME1##はあと少しで沸騰しそうなヤカンを見る
「火、止めなくて大丈夫なのかな?」
「まぁ、このご時世にヤカンで火事は少ないからね。ヤカンの中のお湯が溢れても、お湯のせいで火も消えちゃうし」
世間をあまり知らない二人(1人と一匹)に教える##NAME1##
「じゃあ誰か住んでるって事?」
「多分ね」
「誰が…」
「兎に角此処を出よう。じゃないと僕達不法侵入だからね」
「あ・・・・・・」
一度出て行こうとした時
「あ」
「!!」
「…」
「あんれまぁ」
「だ、誰だ!!!」
この家(?)の持ち主と会ってしまった
「すみませんでした」
「いや、こちらこそこんな所に住んでるなんて思いませんからね」
##NAME1##は軽く頭を下げる
##NAME1##達は戻り、今は炬燵の中に一列に##NAME1##、咲、そして##NAME1##の膝に乗っているナッポー
反対側にはこの家の主の三人が座っている
1人は##NAME1##と同じくらいの年齢で茶髪で少し跳ねている髪に、一般的な大きさの茶色の目、顔はかなり整っており、かなりのイケメンだ。服装は普通に着流しだ
1人は12歳くらいの女の子。兄と同じく茶髪のはねっ毛の短髪で目が大きい黒目だ
最後の一人は5才くらいの女の子か男の子か分からないくらいの年齢の子だ。
茶髪のはねっ毛なのは同じく、短髪なのも皆似ている
「なるべく、この場所は誰にも言わないでいただきたい」
「構いませんが…
なんか遭(あ)ったのですか」
「まぁ…」
言うのに渋っているのか黙りこくってしまう男
##NAME1##は何となく事情が分かり自らも口を閉じた
しかし、##NAME1##の膝にはかなり厄介な者(物?)もいるもので、わからない事は嫌だそうで
「親が離婚でもしちゃった?
まあ、ナッポーの親なんて、ナッポーを生んですぐどっか行っちゃったけど」
「ナッポー…」
##NAME1##は心の中で「馬鹿!!」と叫んだがナッポーには届かない
「ふふっ 顔面真正面を叩かれてしまいましたか」
男は苦笑した
「すみません、うちの子が」
「ナッポー、##NAME1##から生まれてないよ?」
「当たり前でしょ。子供産めない身体なんだから」
「それ、誤解、受ける」
##NAME1##組の方で漫才みたいなモノが始まる
それをとめたのはこの家の主だ
「…犬さんがおっしゃる通りです。まあありきたりなんですけどね」
「…」
そっと、一番下の子が一番上の男の着物を掴む
「嫌んことはおっしゃらなくていいんですよ?」
「いえ、言わせてください」
男の人は隣にいた小さな子の頭を撫でた
「その前に、私は倭(ヤマト)と申します。
こっちは長女の征(ユキ)。そしてこっちが次女の翼(ヨク)です」
12歳くらいの女の子・征と、5歳くらいの女の子・翼は頭を下げる
「私達の両親は翼を産んですぐに死んでしまいました。
父は幕府の上官をしていてとても優秀な力・能(チカラ)を持っていました。
しかし父は死んでしまい、幕府は一時期落ち込みました。
その時、ある一人の男が父の役柄の後継者に選ばれました。
それから妙な噂が流れ出しました」
「妙な噂?」
##NAME1##は首を傾げた
「はい。」
倭は眉を歪ませ、息を吐く
「その噂というのが、父の後継者になったものが襲われたという事です。
そして、その方を襲ったのが
―――私 」
「!」
##NAME1##は目を見開く
「それは…」
「私がやるはずありません!
私は父の後継者の座など、狙った事もありません!!」
倭は必死に##NAME1##に訴え掛ける
「わかっています。しかし噂というものは次々に尾がつくもの。
人の噂は75日とはいいますが、それでは貴方の命だけではない。そこのお二方まで危険な目に合わせてしまう。
だからこのような所で暮らしているんですね?」
「はい。
あと、もう1つ、噂があります。」
「?」
「これは極秘ですが、父の後継者となった方が、実は元農民で、父の秘書を幕府から盗んだらしいです」
「秘書とは?」
「それは私にもわかりません
しかし多分ですが、人々の職業・収入、戦争などのことでしょう。父は色々な処の責任官でもありましたから」
「確かに、誰かへ渡ってしまえば危ないですね…」
##NAME1##は顔を歪ませる
今回の襲われた噂は嘘だとはわかる。
秘書を奪い、秘書を書いた本人の息子の倭さんに渡らないよう嘘の噂を流したのだろう。
「##NAME1##、また?」
「いい?」
「仕方ないなぁ」
##NAME1##とナッポーにしか伝わらない会話をする二人。
それでも二人にはしっかりと伝わっている
「倭さん。
私達が力を貸しましょう」
「!」
「しかし、僕だけがやっても意味がない。
貴方が面と向き合わなければなりませんよ」
当の本人が逃げれば、##NAME1##達は力を貸さない。そう言っているのだ
大切なのは力じゃない
勇気だ
勇気がなければ、立ち向かわなければ、何事にも勝てはしない
「……助けてくれますか?」
「ええ」
倭の目の光りが変わった
「お願いします!私達を元の生活に戻してください!」
倭は炬燵から出、頭を下げた
「……咲、僕の我が儘聞いてくれる?」
咲は無言で頷く
「フフッ ありがとう。
倭さん、僕なんかの力でよければ、なんなりとコキ使ってください」
「そ、そんなっコキだなんてっ!」
倭は慌てるように手を横に振る
「あ、ほら、征も翼も頭下げて」
倭は二人の姉妹の頭を押す
「「よろしくお願いします」」
可愛らしい声だった
鬼9匹終わり
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