ヒロi…ヒーローの一日
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俺の一日はちょっと特殊だ
朝はいつもコックリの煩い声で起こされる
「霧雲いい加減起きてこい!つうか部屋の前の札外せ!」
以前コックリから貰った退魔の札が貼られてるから、部屋の前からしかコックリは話し掛けられない
ざまーみろだぜ
「朝ごはん食べないと身体に悪いんだぞ!早く起きろー」
以前は布団を剥がされて強制的に起こされていた
札を貼ってからは部屋の前で大声で煩くするって方法にしたみたいでとにかくウルサイ
布団を頭まで被って安眠妨害してくるコックリから逃げるが、段々と頭が冴えてきてようやっと起き上がった
起きたのにまだ煩いコックリをスルーして朝飯を食べて学校に向かった
中2になって難しくなった勉強をこなし、友達とワイワイしながら学校生活を送る
放課後、俺は部活に入っていなくてバイト三昧だ
たまに嫌だって思うこともあるけど、こひなの為だと思ったら兄ちゃん何でも出来るよ
いつも通り店長に決められたフリフリな衣装を着て働く
商品の補充に、レジ打ちに…あ、ガチャ切れてないかも確認しねぇとだな
店の外にあるガチャを見ると案の定売り切れとなっていた
補充するためにバックヤードに戻ってかごに入ったカプセルを両手で持つ
外に出ると、チェック柄の客らしき男に声を掛けられた
「き、キミ魔法少女戦士サユリちゃんだよね!?
可愛いなぁ
い、1枚でいいから写真撮らせてくれないかなぁ?」
「あーと、申し訳ありませんが写真はお断りしてるんで
店内をお楽しみください」
頭を下げて客の横を通ろうとすると、二の腕をガッシリ掴まれた
「ちょっとカメラに微笑んでくれるだけでいいんだよ!
ね?ほんのちょっとだから」
ね?じゃねーよ!
時折こーゆー奴いんだよな
いつもは店長にあしらって貰うんだけど、今日は風邪引いた人の代わりに7階のレジ手伝ってるはず…運悪っ
なんとか諦めてもらおうとするけど腕さえ離してもらえない
それどころか場所移動しよう。とか言い出して引っ張られた
さすがにヤバいと思い足を踏ん張って立ち止まり、手に持っていたカプセルを当てようかと思ったら腕を掴んでいた手が離れた
「おいおい、この子のナンパはいけないね~
おじさんの大切な子だから、手ェ出したら大変な目にあうぜ?」
「信楽!」
ナイス!と心の中で親指を立てる
「なんだねキミは!ぼ、ボクは客だぞ!店員さんが客の相手をするのは当たり前だろ!」
「そんなルール初めて聞いたな
ならおじさんの相手してくれないか?」
まさかの客の可笑しな言葉にノってきた信楽の足を踏んでおいた
「それに、お前さん"客"っつーけどちゃんと金持ってきてんのかよ?」
「は!?当たり前だろ!ちゃんとここに……っ!?」
客がカバンの中を漁るが目当ての物は出てこない
無い無い言いながら道端にも構わずカバンをひっくり返す始末だ
「金がねぇなら客でもなんでもねーなぁ
ATMでも金引き落としてから来やがれ」
信楽が勝ち誇ったように俺の肩に腕を回してどや顔した
ムカつくから振り落とそうとしたが、両手が塞がってるから無理だった
財布が見つからず客としての価値が無くなった男は地団駄を踏み去って行った
「大丈夫だったかい?」
「…おぅ」
別に一人でもなんとか出来たし。と口を尖らせると鼻で笑われた
「いいわ、いいわぁ…!
受けのピンチに駆け付ける攻め!
霧雲くんのツンツンを優しく受け止める攻めのオジサン!」
「店長…
いたなら助けてくださいよ…」
入り口で騒いでいたからすぐに店長の耳に入り駆け付けたものの、既に信楽がいたので物陰に隠れて覗いてたらしい
それでいいのか責任者
「そういや今日は信楽が当番だっけ…
まだ終わんないからその辺で待ってて」
以前決めた、週一で誰かが此処(バイト先)に来て監視が付く制度で今日は信楽なのを思い出す
「んー……この生足見続けるのもいいかもな」
「また足踏むぞ
………ん?」
ポンポンと投げてる革製の二折り財布を見て頭を傾げた
『信楽の財布ってそんなんだっけ?』
「まあな」
結構前だけどその時はがま口だったような…いやそれはコックリだったかな…?
まあどうでもいいやと考えるのを放棄して仕事に戻った
バイトが終わり、信楽と帰宅する
「ただいまー
こひなー!兄ちゃんが帰ったぞー!」
「お帰りなさいです」
ギューッとこひなに抱き着いて1日の疲れを癒す
だけどコックリに手を洗ってこいと叱られ渋々離した
自分の部屋を開けてベッドに鞄を投げて洗面所に行こうとすると、部屋の結界からバチっと破裂音がした
ベッドに投げたはずの鞄が廊下に落ち、結界で焼かれた狗神が出てきた
「し、しくじりました……」
「……今日1日中いたのか?」
「はい」
即答する狗神を窓から投げ捨てた
