奈落はいつも足元に

「ジェイド、今の話を聞いてどう思った?」
1番この中では物分かりのいい人物に質問を繰り出す。
「・・・今の話が本当だと言うなら、私達は嵌められたという事になります」
「・・・旦那、どういうことだ?」
死霊使いと呼ばれるだけあって謀略にだけは理解が早い、そう思った瞬間ガイ以下五人は同じような怪訝な顔で質問したそうにしている。
「それは・・・「今から俺が話してやろう」」
とどめは自分で、精神を殺すためにルークはジェイドの言葉を遮りまた話し出した。
「キムラスカは最初から和平を結ぶ気なんてなかった。それが事実だ。今の預言を聞けば話はわかるだろう?預言の為にいけにえにされたんだ。俺達は」
「何を言ってるの!?ルーク!私は第七譜石を探しに行けとモース様に言われたのよ!?そんな地にいけにえにだなんて・・・」
またこの言葉にルークは辟易とする。アクゼリュス行きは第七譜石を探すためのついでに等しい発言をしている。
「・・・お前は馬鹿か。そもそもあの預言の途切れ方と今の預言を聞いておかしいと思わなかったのか」
「・・・おかしい?」
駄目だ、こいつ。ルークは懇切丁寧にここまで説明しなければいけないユリアの子孫に哀れさすら感じながら説明を続ける。
「大詠師は導師を除けば何番目に偉い?」
「・・・1番よ」
「そう、そして導師であるはずのイオンは預言を良しと素直にみることが出来ない人物として見られている。そんな人物がトップなら次の権力者に準ずる位置の人物に預言の達成という偉業を任せるだろう。お前も言ってただろう?モースは預言の実現だけを願っておられると」
「・・・だから何が言いたいの?」
ここまで理解が足りないのか、ならばもう直接言おうと断頭台へ誘う強烈な一言をルークは放った。



「つまり、モースも今の預言を知っていたんだよ」
「な・・・!?」
「ユリアシティの最高責任者がこの事実を知っていて、地上にいる最高責任者にその意図を告げずにアクゼリュスへ行かせろなんて言うと思うか?そんな事をしていたら一々時間がかかり、下手をすれば預言の通りにいかなくなる。ならある程度の方向を最初から伝えておけば手間も省ける。その通りだろう?市長」
「えぇ、その通りです」
「嘘・・・嘘よ!!だってモース様は・・・」
「それはお前をアクゼリュスに行かせてファブレ邸での狼藉を事実上の死罪で終わらせるためについた嘘だ。事実を知ればお前は逃げる可能性もあると践んだんだろうな、モースは」
「あれは謝罪してもう終わったこと・・・」
「なら聞くが、お前は自分の家に来た客がいきなり目の前で刺客に殺されかけたとしよう。お前は散々家を荒らされて、頭にきている。しかし相手は後片付けもせずに、ただお前には関係のないことだと言ってきただけで事を済ませようとしている。さぁ、お前は相手を許せるか?」
「それは・・・許せないわ・・・」
「お前とガイは知らないだろうが、実際に屋敷では易々と侵入を許した罪で白光騎士団に責任問題が発生した。大分兵士達には厳罰が発生したそうだ」
「そんな・・・」
今更自分のやったことに責任が生じた事を理解したのか、顔を青くさせてうつむく。
「そうなれば神託の盾所属であるお前を所属させているダアトにも人員管理体制の責任が当然出て来る。これはまた聞き話だが、キムラスカはダアトにこの問題で抗議の書簡を送る予定だったようだ。その時はたまたまモースが来ていて私が処分を言い渡すからという事で収まっていたそうだがな。だが、モースが下したのはアクゼリュス行きという死を実現させるしかない地獄だった」
「・・・っ!!」
もうここまで来れば絶句しかない、ティアは自分に突き付けられた事実をただ息を呑んで黙りこくってしまった。





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