頂上同士の騒乱に図らず乱入せし焔

「・・・口惜しいが、ここまでやられてしまってはもう白ひげの追撃の体勢を立て直しようもない。それに今から白ひげ達を追うとなればお前達が立ち塞がる訳だろう、赤髪・・・」
「あぁ、そうだ」
「流石にそこまでとなれば我々も海軍壊滅を覚悟せねばならん上に、その間に白ひげ達にはみすみす逃げられるのは目に見えている・・・サカズキ、わかるだろう。もうこの戦争には、我々は勝てんのだ・・・!!!」
「・・・くっ・・・っ!!」
センゴクがシャンクスに戦争を続けた場合の事を聞くとそのまま無念そうに海軍の勝つ可能性の薄さを説き、赤犬も無念そうに顔を歪めた後ルークを殺さんばかりに睨み付ける。
(なんで俺を睨むんだよ!!!)
その視線にルークは八つ当たりをやめろと思うが、実際に場の流れを大幅に変えたのはルークであるので赤犬が睨み付けるのは当然と言えるだろう。
「この戦争の敗戦・・・責任は私が取る・・・負傷者の手当てを急げ・・・!!戦争は・・・!!!終わりだァ!!!」
・・・そう赤犬の視線に心で文句を言っているとセンゴクの口からハッキリと海軍の負けを認める声が、辺りに響き渡った。
(よかった・・・ようやくこれで終わりか・・・!!!)
その宣言にようやくルークは安堵の気持ちを覚えていた。


















・・・そして、頂上戦争より2週間程が過ぎた。ここは‘偉大なる航路’の前半にある、とある島・・・
「すまねェな、赤髪・・・助けられちまった・・・」
「白ひげともあろうものがつまらねェ事を言うな。おれァあの戦争で黒ひげが何か企ててた事を止めたかっただけだ」
「フン・・・」
そこで白ひげとシャンクスは互いに対峙して、再会に口角を上げていた。互いのらしさに。
「・・・ルフィはどうした?一緒じゃないのか?」
「・・・あの後ルフィはマリンフォードから追いかけてきた七武海のボア・ハンコックにジンベエと一緒に女ヶ島に行った。体の方は心配ないが、自分の非力さを痛感して大分心が弱ってる・・・だから二人に任せておれ達は別れてきた。あのままおれがいてもなんの助けにもならないと思ったからな・・・」
「そうか・・・」
そこからシャンクスは白ひげ海賊団の人員達を眺めルフィを探すが、一歩前に出てきたエースからルフィがいない訳を説明され納得の声を出す。
「・・・マルコから聞いた。もう新世界には行かないんだってな、白ひげ・・・」
「・・・あぁ」
そしてシャンクスは本題と言わんばかりに表情を引き締め話を切り出し、白ひげも真剣に頷く。
「らしくねェが、おれァあの戦争で自身の限界ってヤツを感じた。ティーチの言った言葉からじゃねェが、寄る年波ってヤツをな。これからは息子達の活躍でも聞きながら適当にどっかで暮らしていくつもりだ」
「・・・本当にらしくないな、白ひげともあろうものが・・・」
「フン、そうさせたのはあの朱髪だ」
「あぁ、アイツか」
白ひげは自身のこれからを笑みながら話していきシャンクスはつられながららしくないと言うが、ルークの事が出てきてシャンクスは目を閉じ柔らかな思い出し笑みを浮かべる。
「本当は海軍と決着着けて、マリンフォードで死ぬつもりだったんだがな・・・あの朱髪がおれを生かす為に焚き付けやがった。生きる事が戦いだってな。それでこうやって生き延びちまったからな・・・さっき言った年波の事もあるからここらでオーズ達の分も少しでも生きる為に海賊をやめようと思ってな」
「ふっ・・・白ひげを動かす程の力がある、か」



「いきなり目の前から消えなけりゃ、おれの海賊団の一員に欲しがった所だな」







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