意地と真意の乖離と、気付けば遅い結末

「その辺りは前にも聞いたが早めにライマの首脳陣がクロエとの婚約を破棄し、尚且つナタリアとの婚約に切り替えなかった不手際以外の何物でもないだろうな。アッシュなら能力もあり王族としての自覚もあるから大丈夫だとか、歳を重ねれば落ち着くだとかといった安穏とした予想を立てることでだ」
「あー・・・リオンの言う通りだろうなってのは今となっちゃ俺も感じてるわ。父上に叔父上達はアッシュならって風に思っちゃいたってのは実際一回聞いたけど、変にクロエとの婚約をアッシュの為にも見直そうかって伺いを立てるように言ったらそんな事はしないでいいって強く言って、今のようになってったって事を考えるとな・・・」
そんな中でリオンがインゴベルト達の見立ての甘さについてを言及するが、ルークはそれが間違いではないだろうと頭をかきながら話していく。自分もファブレ公爵達から話を聞いてそうだと思えた事を。
「・・・アッシュが王族としての責務を果たそうという気持ちについては分かります。けれどだからってクロエやルーク達に辛い想いをさせるように当たり散らしているのに、それでも婚約自体は止めないというのは責務だからと思っても違うと思います・・・」
「エステリーゼ様・・・」
そしてそんな答えにエステルは深く悲しげに言葉を口にしていき、フレンはただ痛ましげな表情を浮かばせるしか出来なかった。他国の歳の近い友人と会う機会は少ないながらもエステルは思っているのに、そんな友人の頑固でいて頑迷な様子を辛く思う様に。
「・・・その辺りに関してはルーク君とクロエ君についてはともかく、ナタリア君もアッシュ君同様婚約について本当ならアッシュ君と結ばれたいという気持ちがあるのに、それを口にしない事がアッシュ君がやり場のない気持ちを抱くようになってそれが爆発しているのではないかと思うよ」
「えっ・・・どういうことですか、ウッドロウ?」
しかしそこでウッドロウが表情を複雑そうにしながらも口にした推測についてに、声を上げたエステルだけでなく場の面々もどういうことかと視線を向ける。
「ナタリア君からしてみればインゴベルト陛下という敬愛する父でいて、国王陛下という立場にいる人物から決められた決定についてだから逆らうというようにする気にはなれないのだろう。だがその決定に逆らう気はなくともアッシュ君に対しての想いが高まっていったことで、ナタリア君からしたら想い合える事は良くとも報われない恋に悲痛な気持ちを抱く形になっているのだろうが・・・そんな風にナタリア君が決して婚約を破棄したいであるとかアッシュ君と本当は結ばれたいというような本音を口にしない事が、アッシュ君からしてみれば自分もそれを口にしてはいけないという気持ちに繋がっている上で、ナタリア君がそういうようになっている事に対して彼からすれば怒りを覚える事になった・・・ナタリア君と自分が結ばれることのない原因であるルーク君にもそうだが、更にその状況を後押しするよう自身に割り当てられた婚約者であるクロエ君に対してだ」
「「「「っ・・・!」」」」
そこからウッドロウが言葉にしていったナタリアとアッシュの苦悩と葛藤及び、アッシュが何故ルークとクロエがいかに怒るに至ったのか・・・との話に場にいた全員がたまらず息を呑んでしまった。その話の中身、特にアッシュの怒りについて否定出来ない要素しかないと感じてしまった為に。









.
6/26ページ
スキ