頂上同士の騒乱に図らず乱入せし焔

「・・・おやァ~?いきなりお疲れのようだけど、どうしたのかなァ~?」
‘ピュンッ!’
「うぐァッ!!!」
そのルークを見て黄猿は様子をいぶかしみつつも指からビームを肩に放ち、超振動の防御壁を失ったルークの肩はビームに貫通され激痛に声を上げる。
「ん~、原理は分からないけどどうやらお前の能力は時間制限付きだったようだねェ~」
傷がついたルークの姿に黄猿はゆっくり近づいていき時間制限の事を口にする。そしてルークの前に立つと、光を帯びた足を振り上げる。
「けどこれでおしまいだよ、いい加減お前の悪あがきもね」
「そうだな、ここで終わらせてやる!!!!」
「何・・・っ!!?」
・・・その刹那に黄猿の蹴りでルークの命は奪われる、誰もがそう思っていた。だが唐突に生き返ったようルークは黄猿の懐に瞬時に飛び込み、両手をかざす。



「はあぁぁぁっ!!!くらえ、レイディアント・ハウルゥゥゥゥゥゥッ!!!!」
‘キュィィィンッ!’
「うっ!!!ぐあぁぁぁぁぁぁっ!!!」



・・・驚きに黄猿の動きが止まった、ルークにはその一瞬で十分だった。すかさず両手に超振動を集中させ自身の奥義であるレイディアント・ハウルを黄猿のどてっ腹にぶちかまし、その体に確かなダメージを刻ませ滅多にない苦悶の声を上げさせる。
‘・・・ダンッ!’
「・・・・・・」
「・・・・・・う、嘘だろ!!?黄猿さんが、黄猿さんが倒れたっていうのか!!?」
そして数秒もしてレイディアント・ハウルが収まりを見せ黄猿は地面に倒れこみ、起き上がらない黄猿に海兵は信じられなさそうにその事実に絶叫する。
(ハァッ、ハァッ・・・賭けは成功だな。流石に収束した超振動をまともに受けりゃ、光の体でも効き目はあるか・・・ただビームは効いたな、あれ受けた時はマジで痛かったけど・・・その後目論見通り近づいて来たから、なんとか黄猿を倒せた・・・!!!)
そんな倒れこんだ黄猿を上から見て苦悶の様子で気絶したのを確認し、ルークは自身の限界を身に染みて理解しつつも黄猿に勝ったと確信した。
・・・ルークの取った戦法、それはわざと隙を作って誘い込み最大の技で勝負を決めるという物。至って単純な物であり世界を幾多飛んだ先でこの戦法を取った者を何人もルークは見てきたが、これは危険と隣り合わせの戦法。一歩間違えてそのまま隙を突かれて倒れた者もルークは何人も見てきた。故にもしかしたら黄猿が遠距離攻撃で近付かず攻撃してくるかもしれないという危険もあったのだが・・・ルークは賭けに勝ったのだ。黄猿が自身に近づいて確実なとどめを刺してくるという賭けに。
「・・・キュア」
‘パアァァァッ’
(けどもう限界だ・・・グミを食わねぇとホントにすっからかん、ってやべっ・・・!!)
だが元々精神力が限界に来てパッと思い付いた苦肉の策、自身のケガをキュアで治した分で精神力が完全に尽きたとわかったルークはグミを食べようとするが目の前から・・・
「・・・ようもやってくれたのう、まさかボルサリーノがやられるとは思うちょらんかった・・・!!!」
赤犬が敵意をぎらつかせた目でやってきたことに、ルークはグミを食べることも忘れ急いで黒ひげを探す。すると少し離れた所に地面を分断するようマグマが黒ひげ達を分かつよう煮えたぎっており、当の黒ひげ達はニヤニヤとルーク達を見ている。
(優先順位が変わったってのか、黄猿を倒した事で!!?そりゃねェぞおい!!!つーかだからって黒ひげ達を無視してんじゃねェよ!!!)
ターゲットが変わった。その上で横槍を入れられないよう黒ひげ達を分断した。赤犬が取った行動にルークは心の中で焦って絶叫しながらも、立ち向かおうとする。
「じゃが今度こそお前を殺しちゃる・・・!!!正しく生きれんゴミに、生きる価値などない・・・!!!」
「くっ・・・あっ!!!」
(まずい!!!グミを食う時間が、ない!!!!)
だが赤犬の拳がマグマに再び変わり自身に振り上げられた時、ルークの体は硬直した。超振動の防御壁の展開どころか譜術すら使えない程精神力を使いきり、グミを食う時間すらない事・・・つまり打つ手がないということに。



‘ドン!!’



「・・・え?」
・・・瞬間、ルークは本気で死が来ると覚悟を決めていた。だが唐突に目の前に現れた男が刀でマグマの拳を受け止めるというルークにとって有り得ない事をしでかした事に、呆然とした声を上げる以外に出来なかった。



「‘赤髪のシャンクス’だァ!!!」






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