因果の形を変えても救えぬ物もある

なら何が問題点として挙がるのかと言われれば色々あるが、最初は六神将にいたアリエッタの歩む道がいきなり違う物になることだ。アリエッタは元々はホド崩落の影響からその周辺にあったフェレス諸島という所で産まれたが、そこもホドの消滅に伴って無くなってしまい、幼かったアリエッタは辛くもライガに拾われる事でその命は救われて紆余曲折を経てヴァンの配下となるに至ったのであるが・・・ホドの崩落がないとなればアリエッタは無事にフェレス諸島でそのまま生きることになり、ライガと出会うことや神託の盾にも入らないということになるのはまず確実だ。

それで他の六神将に関しても不安な存在としてラルゴとディストの二人がいる・・・特にラルゴに関しては以前のヴァンと違うヴァンが例えラルゴを見付けてスカウトしようとしても、その性格だったり目的の違いがあって失敗する可能性は元のヴァンより高いと言わざるを得ないだろう。

その上でディストについてになるのだが・・・そもそもというかガイがどれだけヴァンもそうだが周りの信頼出来る存在に対し、自分がこんな存在であるとか最終的な目標はこうしたいと話すのかに関してをある程度は言わなければ、ディストを勧誘する理由もだがやってもらうことも分からないから何でそうするのかに、何をさせるのかという問題に発展することになることだろう。

よしんばそれらの問題をうまく出来てディストを勧誘出来たとしても、それでうまく行く保証があるとはとても限った物ではない。これはディストが忠誠を持ってヴァンに付き従うような性格をしていないこともあるが、仮にフォミクリー技術を使いルークやイオン達を造るに留めたいとさせたところで・・・それが絶対に上手く行くなんて保証がないどころか、失敗する可能性の方が高いという事にあった。

何せフォミクリー技術で生み出すレプリカは普通は何処かしら劣化した状態で出来るのが普通であって、完全同位体のレプリカであるルークを造れたのは本当の偶然による結果に過ぎなかったのだ。そう考えれば前と違う環境に人となった上でガイがやっぱり必要以上に犠牲やら何やらは抑えないといけないとでも考え、フォミクリー技術の研究の妨げになったならルークやイオン達がまともに産まれないなんて展開も無いとは言い切れないだろう。

だがある意味ではこれが一番の問題になりかねないこととして挙げられるのが・・・仮にルークが無事に造られたとして前になぞらいアッシュとの入れ替えをしようとしたとしても、ファブレの存在そのものが無い可能性については前述の通りであるのだが、そもそもホドやガルディオスが無事に存在しているのにわざわざバチカルまでガイが行き、使用人としてルークの近くにいてまた友情を育むなんて判断を誰が許すのかという話になることについてだ。

・・・まずこの事に関しては前提というか、元々のはガイかファブレに入り込んでいたのはホドやガルディオスを滅ぼされたことに対しての復讐の為であって、間違ってもルークと仲良くするためではない。というよりヴァンのやったことが明らかになるまでアッシュとルークが入れ替えられた物だとハッキリ気付くこともなく、『ルーク』は憎むべき敵の子だとずっと思っていたのだ。

しかしそういった事に関してはルークと交流していってガイの気持ちが変わったことで収まるようになっていったが、それもルークがアッシュと一人になって『ルーク』という一つの存在になったことでもう会えないとなった・・・のだが、だからといってまた同じようにするためになんて行動しようとしてもまず無理なのは確実だった。

ファブレの家自体が無くなる事も勿論であるがガルディオスが無事となったならその一族全員が健在である筈でガイの生存も知られているはずなのに、ある日そんな存在が突如行方不明になるなんてとても怪しいとしか言いようがない上、ガルディオス関係者もこぞって止めに入るのは当然だ。何しろ敵国の首都でいて王族の近辺にそんな理由で入り込もうなんてこと、普通に考えれば色々な意味では認めるはずが無いのは明白だ。

・・・これだけの問題点だけでも相当な物だが、実際にはまだ他にも細かかったり無視出来ない問題は他にある。だがその点を深く考えもせず前のようにどころか前以上の結果を生み出したいし、自分なら生み出せるとガイは思っていただろうとジェイドは考えたのであるが・・・そんなこと絶対に出来ないとも見たのである。本人にも言ったが公爵を殺すまでが精一杯だろうと。









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