因果の形を変えても救えぬ物もある

「まぁそれも先程の話で自分からティア達に連絡をしようとすることはガイの性格を考えればまずないとは思いますが・・・先程は話が長くなると思ったから敢えて言いませんでしたが、そもそも私達が三年前にあぁして行動した上であのような関係になったことが預言の中身に沿っていたからだということもですが、そうじゃなかったらどうなっていたのかを欠片すらも考えていなかったのはやはり公爵を殺せればそれで終わりとしか考えてなかったんでしょうね」
そうして少し表情を引き締め直した上で、もしもについてをやはり深く考えてなかったのだろうとジェイドは漏らす。






・・・先程の話の中で出たが、アッシュとナタリアの事に関してをガイはろくに考えていなかった。なら他の面々がどうだったのかと考えていたのかについては、まず有り得ないだろうとしかジェイドは思わなかった。というより前提をそもそも考えてすらもいなかった・・・ホドが消滅せずガルディオスが生き残って完全勝利となるというなら、そもそもヴァンとティアの兄妹がユリアシティに行く理由もないし後に神託の盾に入ることにも繋がらず、そのまま主と従者の関係を続けていた可能性が高かっただろうことを。

そしてそうなっていたならかつて敵として向かい合った面々も散り散りになることもそうだが、アニスも同じような立場に立つこともないどころか戦う力すらもが無い状態で神託の盾の一人として、ガイと関わりようのない位置にいるのが普通になるだろう。何せヴァンが神託の盾として行動していたからアニスが特殊な立ち位置に立ててたのだから、それがないならアニスは同じような立場には立てないのだ。

だがアニス以上に問題と言うかそもそもの話として・・・ルークを始めとした面々が生まれない可能性は非常に高い事もそうだが、それで三年前のように人々が集まらないのは確定していることであってその事を考えてないということなのだ。それこそ公爵を殺せていればそれで全て丸く収まるどころか、今度はルークを含めて更にいい状況になるというように思うことでだ。






「そう考えるとガイが思うような理想の展開は公爵を殺せてホドが守れた上で、謡将が自分の思ったことや言う事を聞いて行動してくれて、ヴァン以下の六神将やルークも含めた私達と今のような形で交流出来ることが一番いい展開になるんでしょうけれど・・・そんなことになど絶対にならないでしょうね」
その上でガイが望みそうな展開についてを考えるが、すぐに断定する形で出来ないとジェイドは考えて言い切る。






・・・ガイが思うような世界が何かとジェイドから見れば、もう公爵への殺意が消えないし頭から離れない以上は公爵を殺した上で、ルークやヴァン達が生きていて共に平和を謳歌して仲良く暮らせる物だろうと感じた。だから言葉ではいくら飾りはしても心の底で願う理想としてはホドを守れてガルディオスを生き残らせて公爵を殺してホド戦争を無事に終わらせ、それで改めてヴァンに自分の指揮下で神託の盾に入ってもらってまた謡将の立ち位置に行ってもらった後・・・かつての六神将の面々を揃えてもらった上で、ルーク達を造ってもらって前以上に犠牲が少なくより良い世界になって欲しいのだろうと。

だがそんな理想は絵に描いた餅以下の物である事は、ジェイドの目から見たら明らか以外の何物でもなかった。まずそんなことうまく行くはずがないと。









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