因果の形を変えても救えぬ物もある

「どうしてそんなことにと思うかもしれませんが、これはホド戦争を話に出たような形で完膚なきまでに勝利した上で預言の中身が明らかにされたならばこそ、ローレライ教団の存亡に関わると危惧するだろうことからですよ。ホドの方々の意気が高いと見たならば尚更にそれをどうにかしたいと思う人物達が出る形でです」
「っ・・・つまりその人達からしたら、ダアトやローレライ教団を守る為に行動するということなのか・・・」
「ですがやろうとすることは預言や教団の為に犠牲になれとマルクトに強いる行動であり、そんな行動により被害をもたらされたとなったら、もういよいよおしまいとなります・・・マルクトとしてはキムラスカにダアトは勿論そういった過激派の信者達も粛清対象になるというかせざるを得なくなり、どちらが勝つにせよ最終的にオールドラント全体の歴史で見ても類を見ない程の被害が出る結末は確実になるでしょうが・・・そういった展開を避けるためには預言の事を大々的に話すのは無しにすると共に、ホドで終戦締結にするのが収まりがいいということになるんですよ」
「・・・そこまでのことにさせないためには、もうそう判断するしかないってことか・・・」
しかしジェイドからどうしてそうなるのかもだがそうさせないためには、そもそも預言の事を話さずホドで終戦にさせるべき・・・というようにまとめた話を受けて、ガイも次第に納得していった。下手に戦火を広めたくないならそうするしかないと。






・・・今となってはもう預言を詠めなくなったのもあって、かつて程にローレライ教団を信望する信者の数は少ないが、三年より前はむしろローレライ教団や預言を信望しない方が有り得ないと言われるような世の中であったこともそうだが・・・その信者の中には今からしてみれば狂信とも呼べるような想いを持っている者が多かったのも当然という認識があった。事実その辺りに関してはジェイド達もそんな人物がいたことは実際に会っていたことでよく知っていた。

だからこそというかそこまでの事態になったならそんな人物達が動かない方が有り得なかったことだろう。ジェイドの話の中には出て来なかったが表向きはユリアシティについてはその時は人々に知られていなかったからまだしも、ダアトは教団の預言の事実を知る者達がこぞって皆殺しにされていたのだ・・・そんな事実や預言の中身をぶちまけたならばこそ、マルクトの仕業であるとその者達が思った上でどうにかしたいと考えるだろうことはある意味必然の流れと言えた。そんな狂信者達からすれば人の命が失われる事がどうこうなどより、預言がちゃんと詠まれた通りになることもそうだが教団が存続する方が重要だと。

ただそんな人物達ではあるが預言の中身を知っているユリアシティだとかダアトの後ろ盾や後押しを経て行動する者ではないということから、各々勝手に各地で動いていく事になるだろう上で・・・ダアトやローレライ教団の上層部からしても想定外というか穏便に済ませてほしいという気持ちを無視していくことだろう。

この辺りはもう預言の事実を知る者達が殺されてしまっている事から例えマルクトのせいであって、預言を覆そうとしているということを加味して考えても・・・いやむしろ、そういった影で動いてきた存在達の行動についてを知ったならばこそ穏健派といった面々は出来る限り、自分達がこれ以上マルクトと戦うだとかを尻拭いの形でやりたくないということからであった。そういった者達からすれば預言達成を是が非でも望んでいないのもあるし、むしろ自分達は事実を知る者達とは違うというように主張する形でだ。

だがそんな暴走した信者の行動によりダアトやローレライ教団もそういった面々と同類であると見られるようになり、最早切っても切れない関係とさせられてしまったことでもうその人物達を止める事を諦めていったのである。最初の内は是が非でも止めねばそんな人物達と紐付けられては困ると動いていたが、もう後になればなるほどそういった人物達のゲリラ活動によりダアトに伸びる手が遅くなる効果も少なからず見込めたが故に。









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