因果の形を変えても救えぬ物もある

「ですからそうなるくらいなら白蘭とやらの言ったような手段を取ることが私も最善だとは思いましたが・・・その白蘭とやらが何の為に貴方の元に現れたのか分かった気がします」
「え・・・何なんだ、その理由は・・・?」
だがここでジェイドが白蘭の行動の意味が分かったと口にしたことに、ガイは恐る恐るというように先を促す。



「簡単な事です。要は貴方ではホドやガルディオスを守り抜く事なんてまず出来なかったと告げる事ですよ」



「なっ・・・!?」
・・・だがジェイドが告げた答えにガイはたまらず絶句してしまった。お前ではどちらも守れないと告げる為だとの物だと聞かされ。
「これに関しては私も貴方の話を聞きながら自分の中でシミュレーションしてみました。本当に白蘭とやらの言うようにしなければホドやガルディオスを守れなかったのかだとか、他の道は無かったのかを。ですが当時の状況などを思い出しても、それくらいやる以外にキムラスカや預言の中身を知る者達を止める手段など思い付きませんでした」
「お、お前がそこまで言い切ってしまうのか・・・!?」
「今の話でも出しましたが、下手にこちらがやり過ぎないようにと手心を加えるような真似をしたら却って戦争の激化を招いていた上で、以降の関係の改善などまずまともには出来なかったでしょう。仮にその時に今の私や貴方がいたとしてもマルクトの上層部はピオニー陛下ならまだ話は聞いてくれるかもしれませんが、他の人達がそれらを受け入れてくれるとは到底思えませんし、キムラスカやモース達など尚更どころかむしろ目の敵とばかりにこちらを謀殺しにかかることも考えられます。レプリカの人々に爆弾を持たせて突っ込ませてきた時のようなことレベルの事をしてくる形でです」
「なっ・・・!?」
「一応今のは極端な例ではありますが、それでもその時に特にモースのような人物が何もしてこないなどということはまず有り得る物ではありません。そしてそうなればまた混迷の事態に陥ることは十分に有り得ますが・・・そうなるくらいなら私は白蘭の言ったような事をするのがいいと思った上で、そうすると選びます。ですがそういったことを聞いても、貴方がそういった選択を出来ないだろうことは今のその様子から明白です」
「っ!」
その上で自分は違うというよう決断出来る根拠とも言えるキムラスカ側の動きも併せてジェイドは述べるが、それでもガイは選べないだろうという声に盛大に声を詰まらせてしまった。実際その通りだというよう。
「まぁそもそもから言うなら白蘭の介入がないと仮定して貴方がその時に戻れたとしてもやれただろうことは、他の何よりもを優先して公爵を狙って殺すことくらいというか・・・そうしさえすれば戦争は終わりというかガルディオスやマルクトの勝ちだというようにしか思わず、それ以外の事はろくに考えてなかっただろうと私は感じました」
「そっ!それ、は・・・それは・・・」
「・・・否定したいけれど否定出来ないといった様子ですね。まぁそもそものこの話の発端は改めて貴方の中で公爵への気持ちだったり考えが燻ぶっている事からですから、ある程度は仕方無いというように見ることも出来なくはありませんが・・・この際です。もう少し突っ込んだ話をしましょうか」
「・・・え・・・?」
更にジェイドはそんなガイに公爵への復讐以外の考えは無かっただろうことを突き付けるのだが、そこで思い直したというよう突っ込んだ話と切り出したことに否定したそうにしていたガイは不安げな声を漏らす。









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