因果の形を変えても救えぬ物もある

「はっ!?・・・ゆ、夢・・・本当にあれは夢、だったのか・・・?」
・・・そうしてガイはパッと目を開け、ベッドから起き上がりながら自分の手を握り開きするのを見ながら夢なのかと確認するように声を漏らす。
「・・・あれは夢、なんだろうっていうの確かだと思う・・・でもあの白蘭っていうヤツが言っていたのは、本当のことっていうかそうなり得た未来なのか・・・?」
それでガイは今の夢で白蘭から話された事について有り得た事なのかと、信じられないという気持ちを滲ませながら漏らす・・・


















・・・それでガイは少し考えた後に部屋を出てジェイド達と共に時間を過ごし、ケセドニアへと辿り着いた後でダアト行きの船に乗るティアとアニスの二人と別れた上で、ジェイドと二人でマルクト領を経由してグランコクマに行く航路を取る船に乗るのだが・・・そこでジェイドに話したいことがあると白蘭との夢の事についてを話した。






「・・・成程。中々に不思議な体験をしたものですが、今更な事として何故ティア達がいた時にこの話をしなかったのですか?」
「・・・流石に今もまだ俺が公爵に対して殺意があるなんて気持ちを明かしたら、特にティアに関してはルークの事もあるから複雑な気持ちを抱かせる事になるのはどうかって思ったんだ。だから二人がいる場で話すのはって思ったから・・・」
「だから私にだけ話そうと思ったというわけですか・・・」
・・・そうしてグランコクマを目指す航路を取る船の上でジェイドにあったことを話し終え、何故二人に話さなかったのかについてを複雑ながらも気を遣おうと思った旨をガイから聞いたジェイドはそっと眼鏡に指を当てた。
「・・・まぁあの二人に話をしてもホド戦争を体験していませんでしたし、気持ち的にそこまでするとかそこまでになるなんてみたいな考えになるでしょうから、聞かせなくて正解だったと私も思いましたよ。正直な所として私はホド戦争で勝つ事を考えるならそれくらいはしなければならないと思った上で、それだけの被害は承知するべきだと思いました」
「っ、ジェイドはそう思うのか・・・」
「言ったでしょう。それくらいはしなければならないと・・・話の中で出て来ましたが、預言の中身を知っていた者達は預言を達成させる為に手を選ぶような方々ではなかったのは事実です。その上でホドを守ってガルディオスの人達を生き残らせたいというなら、マルクト側としては手段云々についてなりふり構うような事をしていたなら確実にその二つを守り抜く事なんて出来なかったのは明白です。仮に一時はキムラスカ軍と神託の盾を撃退したとしても預言の事実を知る者達が二の矢三の矢と手を打ってきたでしょう」
「二の矢三の矢って・・・」
「考えられるのは話にも出ていましたが預言を詠まないようにするだとかキムラスカとダアトが表向きにも同盟を結ぶこともそうですが、それでも攻めあぐねれば最終的には預言の中身をぶちまけてくることも有り得たと思いますよ」
「なっ・・・!?」
「勿論これは最終的な手段であり事実を知る者達からしても諸刃の剣となり得る手段ではあります。ですがホドをあの年で落とさなければ預言のようにならないんだとなりふり構わずぶちまけ、そうすることが正しいことなんだと疑念を持つ者達の意見を押し潰して賛同する者達の意見だけを取り入れて、是が非でもホドを崩落させるのはオールドラントの為にもなるんだ・・・というように押し出してくる可能性は決して否定出来なかったでしょう。ですがそうなれば後はもう取り返しのつかない事態になったでしょうね。ホド戦争の結果がどういうようになったとしてもマルクトはもうキムラスカとローレライ教団を信じるようなことなどせず、両者も両者で預言の中身もあってもうマルクトと仲を良くする意味なんてないと不和のままで済ませようとしたでしょうから」
「っ・・・!」
だが手をどけて自身の考えを話していくジェイドに、次第にガイはその中身を受けて顔色を悪くしていくしかなかった。下手な手段を用いていたならかつて以上に三者の関係が悪くなるという具体的な予想だった為に。









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