因果の形を変えても救えぬ物もある

「そ、そんな・・・何で・・・!?」
「あぁ、死因が分からないことでどういうことなのかって思ったんだね。だったら答えは簡単さ・・・夫人は公爵がもう戦死以外有り得ないっていうような報告を受けたことでマルクトやガルディオスに対して憤ったまではいいんだけど、元々の体の弱さもあってその怒りに体が付いていけずに日々衰弱していくようになって、最期は血を吐いて憤死って形になったのさ。マルクトやガルディオスに対する恨み節を残してね」
「っ!?」
ガイはそのまま動揺しつつ訳が分からないと漏らすが、平然としながら返してきた白蘭の答えに驚愕して目を大きく見開いた。
「あ、君夫人がそんな恨み言吐くだとか恨みを抱くこと自体有り得ないとか思ってる?そんな訳ないじゃん・・・まぁ預言の事実を知らされていなかったっていう部分を加味しても、家族を殺されて恨みを僅かも持たないなんて君からしてみれば有り得る事だと思うのかい?同じように戦争で家族を失った君からしてさ」
「っ!!」
だが続いた投げ掛けの言葉にガイは瞬時に息を呑むと共に、顔色を青くした・・・シュザンヌが人に対して負の念を抱くような人物ではないと思っていたのも相まる形になる上で、自分と同じ立場に立ったなら相手方・・・つまりガルディオスを恨むのは当然だということに思い至り。
「まぁそんな風に公爵に夫人が揃っていなくなったこともあって、インゴベルト陛下が戦争を止めるってなったんだよ。もうキムラスカの王族は陛下に『ルーク』にナタリアっていう自分以外が次代のキムラスカを担える二人だけしかいないし、ファブレももう当時二歳程度の『ルーク』が主になるなんて出来ないしどうするのかって風なことから、陛下の元で暮らすって事にせざるを得ず・・・ファブレは取り潰しになったって寸法さ」
「っ!・・・ファブレ、が取り潰し・・・!?」
「そう。今言ったように主もいないしその子どももまともに指揮なんか取れる筈もない年齢で、尚且つその『ルーク』も一応は次代のキムラスカ王として婿入りしないといけない立場に表向きは就くことになる・・・まぁアクゼリュス関連の預言についてをこんな状態で無理矢理にでも進めるかどうかは微妙なとこじゃあるけど、どっちにしても最低ファブレを再興させるには『ルーク』の子どもが二人以上産まれなかったら、どう足掻いてもファブレは再興出来ないって寸法になるわけさ。今の君からしてみれば本望と言えるような形でね♪」
「そ・・・それは・・・そ、そんな・・・」
しかしそんな反応についてを触れず話を進めて最終的にファブレが取り潰しになることについてを楽しげに白蘭は言葉にするのだが、ガイはその中身を受けても決して喜ぶような様子なんて浮かばせる事は出来ずに口ごもるしかなかった。そんな姿に白蘭は一層笑みを深めた・・・それまでの間もほとんど張り付けたように笑ませていた顔を更にだ。
「ま、その辺の事に関しては起きたら君のお仲間さんに聞いてみたらいいよ。もうそろそろ目覚める時間だし、僕も言いたいことは言い終わったしね」
「ま、待っ・・・!」
そうして白蘭は手を振りさよならを告げるように背を向けて歩き出し、ガイはその背に手を伸ばすのだが・・・手が届く前に唐突にその世界に眩い光が広がってガイはたまらず目を閉じてしまった。









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