因果の形を変えても救えぬ物もある

「訳が分からないって表情だね。でもガルディオスが侵攻してくるキムラスカ軍とそれをギリギリ味方をしてないというようでいて、結果援護といったような事をする神託の盾をどうにかするには下手に逃げられないようにというのもそうだけど・・・公爵か神託の盾の責任者のどちらかを倒すなんてことをしたら却って逆効果になりかねないから、わざと撤退した街の各地にバラ撒いてた火薬を一斉に爆発させて両軍共に消し飛ばすくらいしか有効な手段はなかったから、こういう風になったのさ」
「なっ、なんでそんなことに・・・!?」
「もっとも大きな問題が何かと言うと、キムラスカ軍と神託の盾がハッキリとした同盟を組むといった事態を避けるためだよ。まぁ一応というか表向きは体裁として神託の盾は仲裁しに来たみたいな立ち位置で来たと言っても、結果としてその神託の盾の行動がなければホドは守れた可能性もあったみたいに君も聞いただろう?その言葉のニュアンスからして一応キムラスカ軍と神託の盾は表向きには同盟はしていなかった上で、どっちの軍も下の立場の兵はそういうもんだってくらいには思ってただろうけど・・・裏の繋がりがあった公爵に神託の盾の責任者からすれば綿密なやり取りをせず、阿吽の呼吸でやったことなんだよ。だからこそどちらかがそういった事から死んだとなったら、もうこの際だって事で敵討ちって名目で表向きにも同盟しようって言い出すのは明確なんだよ」
「っ!・・・そうなったらホドにガルディオスを守る事が出来たのかは・・・」
「可能性は相当に低かっただろうね。むしろそういった大義名分を掲げられるような事になれば特に事実を知らない神託の盾からしたら、戦争の仲裁を名目としていたのもだけど・・・元々の戦争に至った理由はガルディオスの非からというのも相まって、余計に士気が上がる事になって止めるのが厄介になっていただろう。まぁそもそもとして自分達の行動は何のためと言うか、キムラスカ軍の利になる事ばかりというのは下の位置にいる神託の盾も感じてただろうから、同盟ってなるのはむしろ当然だってなっただろうね」
「っ・・・だからそうなるくらいならいっそ公爵やその責任者も含めて、一気に兵士もろとも始末しないとどうしようもないから街ごと爆発させたってことか・・・」
「そういうことだよ。まぁ街ごと爆破なんて住民の事を考えてないとかっていう意見もあるかもしれないけど、大陸を丸々と消されるよりはと考えたら再興はいずれ出来るからその為には必要なことと認識しなきゃならないのは仕方ないけどね」
「っ・・・」
そんな光景を見せた白蘭がいかにこうする以外になかったのかの理屈を話していき、ガイも次第にその中身に重く納得せざるを得なくなっていった。確かにホドやガルディオスを守る為にはそれくらいしかやりようがなかったのは分かるが、そこまでやらなければならないというか被害があまりにも出過ぎていることに。






・・・ただここでガイは考えていないことだったが、マクガヴァンが神託の盾の行動に憤っていたのはキムラスカ軍に寄った行動だけでなく、ダアトのローレライ教団に所属しているということを盾にしたような行動を繰り返していたことにもあった。

これは単純な話として一応仲裁に来たという名目で神託の盾を派兵したローレライ教団に対し、敵国ではないということもあるがマルクトとしては敵対したくないという気持ちもあったのを、神託の盾が利用したのである。下手にローレライ教団と完全に敵対関係になったなら、他の教団員もそうだが何より預言を詠む預言士の撤退を招きかねないという危惧の気持ちをだ。

今となってはもう預言を詠まないのはどうしようもないという状態なのも相まって当然の事になるのだが、まだ二十年近く前の頃は預言が詠まれなくなる環境というものなどオールドラントの人間からしてみれば考えられない物だったのだ。

だから一応は敵対関係ではないことからホドに来た神託の盾との積極的な交戦は避けたいというようにマルクト軍は思っていたが、そういった気持ちを見越して神託の盾はマルクト軍にちょっかいをかけていく形で決して直接対決をせず・・・かといって兵力を割いて放って置かさないようにさせる行動を取っていたのだ。実際にキムラスカ軍に集中しようと神託の盾の方から兵を引いたら、瞬く間に兵を引いた場を神託の盾に陣地を占領された上で場を返さないと居座ったことで、マルクト軍としては領地を狭められた事で苦しい思いをしたのだ。

そして他にも色々やられたのもあるが、だからマルクト軍はキムラスカ軍だけでなく表向きは共闘していない神託の盾も警戒しなくてはならなくなり、キムラスカ軍だけなら守れた可能性もあったのを邪魔されたことでマクガヴァンは憤ったのである。あまりにもキムラスカに利する行動を取っていると、預言の中身を知らないからこそそのあまりにもな利敵行為に対して。








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