因果の形を変えても救えぬ物もある

「う〜ん、喜びが込み上げてきてるだろうところ悪いけど次はこっちを見て」
「っ!?」
だが白蘭が次をと言った瞬間、目の前の光景がいきなり変化したこともだがその光景にガイはたまらず目を見開いた・・・何故ならその光景はユリアシティにダアトの二つの場が並んでいるのだが、そこに共通して服装は違えど血を流しながら倒れ込んでいる者達の姿だったからだ。
「驚いちゃった?でもこの人達を片付けなきゃホド戦争の結末を覆す事なんて到底出来なかったんだよ?」
「ど・・・どうして・・・」
「この人達が預言の中身を知っていた預言保守派だからだよ。もっと言うならホドを崩落させるために戦争を仕掛けろって言った面々であって、要はアクゼリュスを落とすように指事を出したモースのような黒幕であると共に・・・そんな人物達がホドの崩落を多少攻めあぐねているから諦めようってなると思う?」
「っ!?」
「そう・・・そんな程度で諦めるなんて有り得る筈がないからホドの崩落を防ぐのやガルディオスの人達を生き残らせたいなら、最低でもこの人達を片付けないといけないってことさ。それも下手に取りこぼしもないよう、情けをかけず皆殺しって形でね」
「っ・・・!」
そんな姿に構わず笑顔を崩さないままにいかにこれが必要な事なのかを語っていく白蘭に、ガイは動揺しつつもそんなことはないと否定することが出来なかった。






・・・ガイが白蘭の言うことを否定出来なかったのは、実際に預言を達成するために自分も犠牲になることを望まれた事があったのを思い出したからだ。そしてその指事を出した大元であるモースに関して、その犠牲になれと言われた場面を乗り切った後で何回か会うことになったが、モースの最期となる場面までついぞという形で預言による犠牲は必要なことだという姿勢を崩すことは無かった。全く思い直す素振りなど見せることもなくだ。

そしてそんなモースのような存在がホド戦争の時にもいたと言うなら、大勢の人の命がかかっているんだから止めようなんて言う筈がないどころか、むしろ率先して預言の為に犠牲になってもらうということを嬉々と選択するのは間違いないとガイも感じたのだ。それこそ白蘭の言ったよう、多少の犠牲や予期していないアクシデントが発生したとしても、預言を達成する為ならといかなる手段を用いると共に諦めることなどする筈もないだろうと。






「言われて分かったようだね。とてもダアトやユリアシティの預言を知る人達は言って止まるような人達じゃないどころか、当時はそんな声を届かせるどころか声の届かない所からひっそりと裏から指事を出すだけだから、声なんて向けようもない存在だったってことは。まぁこの辺りでどうにか預言通りにしないようにとそういった人達を説得しにいったところで、体よく追い払われるか逆に始末にかかられるかになるのが関の山って所だったろうね」
「だろうが・・・だからこそホドの崩落やガルディオスを生き残らせたいなら、何か手を打たれる前にこの人達を始末するしか無かったってことか・・・」
「そういうことだけど、あくまでもこれはホドの崩落とガルディオスを生き残らせることに関しての最低の条件の一つにしか過ぎないんだよ」
「え・・・?」
そんな反応に白蘭が話を続けてガイは沈痛な面持ちに変わるが、あくまで最低限との言葉に不安げな表情になった。まだ何かあるのかと。









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