因果の形を変えても救えぬ物もある

「・・・今はもうガルディオスとしてマルクトで活動しててバチカルにも滅多に行くようなことは無いから、不意に顔を合わせるような事さえなければ大丈夫だとは思いはする・・・でもあの顔を見て自分の気持ちを実感した後だと、あいつを殺したいって気持ちもそうだがホドでもしファブレを撃退して殺すことが出来てたらって考えてしまう・・・あぁして大貴族だってふんぞり返っていたあいつのように父上達と一緒にいれたのではとな・・・」
そんな中で実際にもう会うことは余程でないならないからとは言いつつも、ガイはもしも結果が逆だったならどうかというように漏らす。自分達はその時には公爵のような立ち位置に立っていたのではないかと・・・

















・・・そういったように考えを深めていくガイだが、時間が経って自然と眠気が来たことからもう床に就こうというようにベッドに入り込んで目を閉じた。バチカルに『ルーク』を送り届けてから盛大な歓迎を受けた後、マルクトに戻る為のケセドニア行きの船に乗って航海している真っ最中であることから、特に他にやることもないということで。



「・・・ん?こ、ここは?」
・・・そうして眠りに落ちたと思ったガイだが、そこは全てが白塗りといった何も無い空間であって戸惑いの声を漏らす中・・・ガイの視線の先から髪も白だが全身を白を基調に統一したコーデの服を着て、目元にタトゥーらしき紋様を浮かべた優男がにこやかな笑顔で近付いてきた。
「やぁ、僕は白蘭。よろしく」
「え・・・えと、これは夢だよな・・・?」
「そうそう、夢の中さ。まぁそこについてはともかく、早速だけど僕が君に会いに来たのはちょっと君にある物を見せに来たんだよ」
「ある物を見せる・・・?」
それでガイの前に来てそのままの笑顔で自己紹介をした白蘭に戸惑いつつ夢なのかと漏らすのだが、白蘭が構わず用向きを口にしたことに眉を寄せる。
「まぁ簡単に言うと、もしガルディオスがホド戦争で勝ったならにそうする為の過程やらなんやらについてだよ」
「っ!?」
だが続けられた言葉にガイはたまらず驚きに目を見開いた。いきなり言われたその中身は眠る前に少なからず考えていた事に通じるものであった事に。
「まぁいきなりこんなこと言われても信じられないかもしれないから、これを見てよ」
「・・・っ!?こ、これは・・・ち、父上・・・!?」
そんなガイに白蘭が横に手を振りそちらを見るようにと言うと、先程までの何も無い白い空間の中にいきなりとある場面・・・ガイに似た中年の貴族の服を身に着けた男性と、キムラスカ軍の軍服を身に着けて不服そうな顔をした男性がテーブル越しに話し合っている光景が出てきて、ガイはその男性の姿を見て父と驚愕しながら漏らした。久しぶりに見る父親の姿を見紛う筈がないという響きを存分に含ませながら。
「君の為にもこの場面がどんな場面なのかを簡単に言うと、これはホド戦争をこれで終結しますって終戦の為の責任者同士の会談の場面だよ。そしてこの場に君の父親がいてファブレ公爵じゃない人物が立っている理由は・・・」
「っ!父上達が公爵を殺した上で、ホドを守りきった結果からだって言うんだな・・・!」
「そういうこと♪」
「っ・・・!」
そして白蘭からの説明と何かを予測させる言葉を受けたガイはハッとしながら先を予測した声を口にし、楽しげな肯定が返って来た事にたまらず拳をグッと握り込んで目を輝かせた。こんな光景が有り得たのだというのと共に、そこでは公爵は負けて死んだという事実も加わったことに喜ばずにはいられないというよう。









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