愛は免罪符たり得ない

「・・・今言った事に関しちゃあくまで俺がライマに残ったらのもしもだから、もうそんなことになりはしない。けど俺が残りたいからってのもそうだしまだアッシュ達との事をどうにかしたいだとか信じるなんて事をしても、アッシュ達が今言ったような事をしたら全部台無しなんてどころの話ですら無くなる・・・だから色々考えてそうなるくらいなら俺が出ていった方がいいって思ったんだよ。もうあいつらに俺がいるからみたいな言い訳を言わせるより、俺はもういねーんだからってした方が他の事も含めて色々といいんだろうってな・・・」
「「「「っ・・・」」」」
しかしあくまで今の話についてはもしもの場合・・・といったように念押しするルークだが、やはり選んだ事自体は辛いことだというように滲ませるその様子に一同はまた表情を沈痛な面持ちで歪ませるしかなかった。決して茶化す事の出来ないルークの本音に触れたことで。


















・・・それであまりにも空気が重くなったことをルーク自身も察してもう俺は休ませてくれと部屋に向かったのだが、他の面々は場に残った。



「・・・どうすれば正解だったんでしょうか・・・ルークがあぁいう風にならず、そしてアッシュもナタリアも問題を起こさずにいられた正解は・・・」
「・・・前提は間違いなくアッシュとナタリアが婚約することは確実に必要だっただろうし、王位継承権ってヤツもアッシュの方が上ってのが優先されるだろうな。だがそれであの二人の関係がアッシュが上だからで収まりを見せるなんて俺は考えられないし、何より現実はそんなもんじゃないからあぁなった・・・それだけだろ」
「ユーリ・・・」
「三人が三人誰も悪くないようにしてほしいみたいに慰めて欲しかったのかもしれねーが、この問題に関しちゃ完全にあの二人が悪い以外ないとしか俺は思わなかったよ」
場に重い空気が漂う中でエステルはうつ向きつつどうにかならなかったのかと漏らすが、ユーリがその声に答えつつも慰められる中身ではないと告げる。
「その意見に関しては僕も同意見だ・・・せめて不満なら不満と自分の親達に言うなどの兆候を見せていたなら話はまた違っただろうが、他の誰にも相談せず直前に二人だけでそう決めたという行動のどこにルークや他の者達に責任があると言うんだ?」
「そ、それは・・・」
「それでもどうにかと言いたいんだろうが、それならあの二人は二人の為にとルーク達がお膳立てした我慢すれば玉座につけるという処置を否定し、その上で自分達が悪かったからこうするというような処置を自ら課して、ルークを敵視もしないし自分達の上に据え直してほしい・・・そう決意と共に嘆願するくらいは最低しなければルークと対等とまではいかなくとも、話し合えるだけの立場にも立てんと僕は思うがな」
「そ、そこまで言うんですかリオンは・・・!?」
更にリオンが同意と共に口にしたアッシュとナタリアの責任の重さについての話に、エステルは戦慄しながらそこまでじゃないんじゃないかというように漏らす。
「・・・ならば聞くが、あの二人が先程のルークのように真剣でいて悲壮な覚悟を持ってルークの為にもと気持ちや態度を改める姿は想像出来るか?」
「っ!?」
「・・・お前にも想像出来ただろう。二人はそんなこと出来る筈もないとな」
だがすかさず返されたルーク程の事が二人に出来るか・・・それも同じだけの覚悟を持ってとの問いにエステルは愕然として顔を青ざめさせ、その様子にリオンは首を横に振った。エステルもそんなこと二人が出来るとは思わなったのだと感じながら。









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