愛は免罪符たり得ない

「・・・分かるか?お前らからしたらどういったように感じていたかは分からんが、少なくともルークはルークなりにお前らならちゃんとやってくれると考えていた。だがお前らはあんな形で俺達もだがルークのことも盛大に裏切る形を取ってしまった・・・その事によりルークはもうお前らとわだかまりなく顔を合わせることは出来ないしどう接していいか分からなくなったから、色々と話した結果として今言ったようにするとなったわけだ」
「っ!・・・ほ、本当にルークはそんなことを・・・!?」
「嘘などこの期に及んで言うか。まぁ俺達も後悔のないようにと本当にいいのか何度か念押しに聞いたが、もうルークは決意を固めているどころかライマからも出国している。今更お前らが会いたいだなんだと言ったところでもう会うことは許されん」
「「っ!?」」
そうしてルークがいかに感じていったのかを語るピオニーに罪悪感に押し潰されそうな顔でナタリアが声を漏らすが、続いたもういないとの返しにアッシュも驚きを盛大に浮かばせるが・・・ピオニーの顔は比例するように更に冷ややかどころか、無になっていた。
「・・・これに関してはお前らもそうだが、話の中に出したような奴らの追求だとか考え直せみたいな制止の声をルークに聞かせないための処置だ。そしてそうすることに関しては陛下が自分の責任としてルークをそうすることにしたと発表する事にして、お前らとの事の責任も併せて引き受けて公爵の引退も兼ねて退位するという手筈にする・・・そしてそうなることにより後を継いだ俺が王座に着くこととお前らが十年我慢するという体制にすることで、王族の血を引く者がいなくなるといったこともないから多少の反感はあれどもそれらを抑えていけば問題は解決ということになるという訳だ」
「っ・・・ど、どうしてなのですか叔父上・・・何故あの屑にそこまで・・・」



‘ゴッ’



「がっ!?」
「アッシュ!?」
・・・ピオニーはその顔と冷たい声でどういった経緯と算段でそうなったかを話してアッシュは信じ難いというようにインゴベルトへと何故と口にするが、そこでインゴベルトはアッシュへと近寄って思い切り顔面を殴り、いきなりの事にアッシュは耐えることも出来ず倒れ込みナタリアは悲鳴染みた声を上げた。
「・・・いきなり殴られて混乱しているだろう。だが一度は話の腰を折ってはならんと思ったから我慢はしたが、まだこの期に及んでルークの事を罵倒するように屑と呼んだことは看過出来ぬから殴らせてもらった。そなたらのやったことでルークが思い悩むと共に離れる事を選んだということもだが、ピオニーの言ったことを心にも留めず怒りを我慢出来なくなったら即座に爆発するといった、反省の様子もない姿にな」
「ぐっ・・・そ、それは・・・その・・・・・・!」
インゴベルトはそんな中で握り拳を顔の横に見せつつ何故殴ったかと告げるが、アッシュは地べたに這いつくばりながらも何か言い訳を探そうと必死に視線をさ迷わせていた。言いたいこと自体は分かるが、アッシュがアッシュな故に抱くルークに対しての怒りや罵倒を正当化する言葉を探そうとする形で。
「・・・それでも尚ルークについての怒りは収まらんというのはもうそなたがそういった気持ちを捨てられんだけで済ませるのが一番手っ取り早い結論だと言える。だがそこまで怒るというなら十年我慢することなく、今すぐこのライマから王位継承権を捨てると共に立ち去るが良い。それがそなたがルークの事を気に入らんというなら他の何を差し置いてでも、最もやるべきことだ」
「っ!?」
「ど、どういうことですかお父様!?そんな事がルークを気に入らないならやるべきことだなどとは!?」
そんな様子にインゴベルトは厳しい言葉を放っていくのだが、その言葉のある部分にたまらず二人は驚愕してしまった。ルークの事が気に入らないなら王位継承権を捨てることにライマを去るべきという部分に。









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