愛は免罪符たり得ない

「・・・何故そんなことをという気持ちに当然お前らもなるだろうから、理由を話させてもらうが・・・特にアッシュ。お前には念入りに聞いておいてもらいたいが、これから話す中身に関しては全てお前らが起こしたことが原因であって、話を聞いていけばいつものお前らの仲にお前の性格を考えればルークを嘲りたくなるかもしれん。だがお前がそんなことを態度に見せるようなことをすれば、先のやらかしの件を一切考えていないことになる。そこらへんを肝に命じて話を聞け」
「っ、わ、分かりました・・・」
そんな二人の反応にちゃんと説明する・・・とする前にアッシュへと静かだが強い注意の声と視線をピオニーが向けると、アッシュはたまらず頷くしかなかった。普段のアッシュならピオニーに対する多少の遠慮はあれどルークのことに後で知ったことかとばかりに言うだろうが、既に滅茶苦茶にやらかしていたことを突き付けられていることから下手な事は言えないと臆する形で。
「・・・まず何でそんな話になったのかと言えば、先に話した誰に責任があるのかという話の中でルークにも責任があるという話になったからだ。アッシュとの不仲もそうだが、ナタリアという婚約者の心を引き寄せる為の行動を取れなかったからこんなことが起きたんじゃないのかとな」
「そっ、それは違いますわ!ルークが原因などではありません!」
「ならばお前がルークではなくアッシュを選んだのは、ルークよりアッシュじゃなければ結婚したくないという以外に理由はあるのか?というよりルークと喜んでとまでは言わずとも、我慢してでも結婚しようという考えにならずあんな行動を取ったお前がそんな言葉を口にしていいと思うのか?」
「っ・・・そ、それは・・・」
そうして話を始めるピオニーから出てきたルークの責任という話にナタリアは慌てて弁護の言葉を口にするが、即座に返されたお前が言えることじゃないといった言葉に辛そうに視線をさ迷わせるしかなかった。事実、どうナタリアが庇おうが原因はナタリアとアッシュにあって、今更そんなこと言うならあんなことやるなとなる以外の言葉が出る筈ないとなるのが道理だった為に。
「続けるが、そういったルークに責任についてを話す中で陛下達はそれもまとめて自分達の責任というように・・・としようと動いてはいた。だがお前らとの関係をどうにか出来なかったのは事実だと強く言ってきた者達の勢いもあるが、その中でお前らにあんなことをされたルークがそのままの立ち位置に立っていいのかといった声も出てきたんだ。次期王座に就くと目されていたルークがあんなことをのうのうとされた事を考えると陛下達だけでなく、ルークも何らかの責任を取る立場にあるのではないかとな」
「そ、そんな・・・ルークがそんなことをしなければならないなんて・・・」
「アッシュには既に同じ様な事は言ったが、事の発端であるお前がそういったことを言える権利はない。特にルークと結婚するのを拒否する事の意味というかその後のことについてを考えなかったお前にはな」
「っ・・・そ、そのようなことになるなどと思っていなかったのです・・・わ、私はただやはりアッシュと結ばれたいと思って、そう出来たなら後で迷惑をおかけしたことは全て謝ればそれで済むと・・・」
「現実はそんなに甘くないし、ルークに至ってはお前らのせいでバカを見るなんてどころじゃなくなったんだがな」
「ぅっ・・・」
だがいかに何が起きたかについてを話していくピオニーの言葉に尚もナタリアは力無くも声を上げていくが、すぐにお前らのせいだといった旨の言葉達を返されて辛そうに俯くしかなかった。いかにルークの事で悲しもうが、そんなつもりがないと言おうがそうなる原因はナタリアとアッシュの二人からということには変わりはないということに。










.
10/22ページ
スキ