愛は免罪符たり得ない

「・・・だから俺がその後釜に就くということになったというわけだ。とは言え責任を取るためとはいえそこまでしなくともというように擁護した貴族もいたが、二人の意志が固かったことに加えてお前達二人への罰についても話し合った結果として俺が王位に就くようにするのが妥当だとな」
「わっ、私達二人への罰・・・!?」
ピオニーはそんな中で改めて自分が王位に就くことについてを話すのだが、ナタリアは予想もしていなかったというようにビクリと体を盛大に揺らしながら罰との言葉に反応した。
「・・・今までの話もあってもうお前らも嫌でもこの問題はお前らが結ばれてはいおしまい、なんて事で終わらんことは理解しただろう。現に親達が責任を取るというようには言いはしたが、だからお前らは罰も何も無しで済ませる・・・なんて事で許されるわけはない。現にさっき言った条件とは罰を受けてもらうことであって、それを受けたくないというならこちらもお前らの結婚など認めん・・・いや、どうしてもそれでも結ばれたいというなら二人共に王族であることを捨てて二度とそうだと名乗らず、ライマに帰ってこないくらいするというなら後は勝手にどうぞと言わせてもらうがな」
「「っ!?」」
だがピオニーはそんな様子に気遣うことなく罰を与える姿勢は変えないこともだが、それを受けたくないけど結婚はしたいならの場合を口にし・・・二人は絶句してしまった。ハッキリとは言葉にされてはいないが、今度また同じような事を起こせば今から言われるだろう罰以上のこと・・・それこそライマの王族ではなくなり二度とライマに戻るなというように追い出されかねないと感じ。
「・・・まぁお前達が否定を返すかどうかは置いておいてお前達に課す罰の細かい条件に関しては後々に回すとして、まず罰が何なのかと言えば俺が王位に就いてから俺に何もなければ最低十年という期間、俺の指揮の元で仕事をするのみに留めることだ。勿論最低と言ったことから分かるだろうが、こちらの意に沿わんような態度が見受けられればそれ以上の延期も有り得るという形でな」
「「っ!?」」
「なんでそこまで、みたいに考えているのが丸分かりな反応だな。だがお前らがそんな簡単に信用出来ないということもだが、俺という本来なら王になる立場じゃない奴が王になるのは色々な理由があってなんだよ。本家筋にいない俺に白羽の立った理由はな」
そんな中でピオニーがどういった罰なのかについてを話して二人が予想外だというように驚愕して目を見開くが、自分が駆り出されるのも含めての理由があるからと告げる。






・・・ピオニーは確かに王族の血を引いている存在ではあるのだが、それは今から何代も前の王の弟という身分の人物の子孫という立場であって、インゴベルト達のようにその王直々の子孫という立場にはいない。だから王族というようにはちゃんと見られてはいるが、何かあった時の為のスペアといったようライマの貴族達からは公然の秘密に認識されていた。言うなれば緊急措置の時にのみ駆り出される存在であると。

だが今回起こされたことは言ってしまえばその緊急の時であって、緊急措置を取るためにピオニーは表舞台に立って王という立場に立つことになったのである。実際の所としてピオニーからすれば本意ではない部分はかなり多いのだが、自分が出なければ収まりがつかないことがあることもそうであるし、何よりある存在に関してを助けたいという気持ちがあったからこそだ。










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