愛は免罪符たり得ない

「・・・恥ずかしがるのは別に構わん。だがお前らがそうしたことでこちらがはいそうしましょうで、何事もなくめでたしめでたし・・・で済ませるなんて思っているのか?ましてや国を挙げての一大イベントとしていた結婚式をあんな形で終わらせて、そんな事になるとお前達は本気で思っていたのか?」
「「っ・・・!」」
ピオニーはそんな二人に不穏さを滲ませるように問い掛けを投げると、二人もすぐにハッとしたように表情を緊迫させた。明らかにピオニーの話し方もあってそうなったとは到底そんなことないと思ったが為に。
「まぁまず最初に問題となったことは俺達も混乱はしてはいたが、それでも他国から来ていた来賓達にどういったように説明するかが問題となった。特にお前達も知っているウッドロウやエステリーゼを代表した面々に対してどうするべきかとな」
「「っ!」」
そんな反応を見ても知ったことではないとまず他国からの来賓について、それも知り合いである二人の名を出されてアッシュもナタリアも言葉を詰まらせ顔を青ざめさせるしかなかった。今それらを聞いてようやくその事に思い至ったというよう。






・・・他国からの来賓が来たことに関してだが、これは現在のルミナシアの情勢が落ち着いていることもあってその結婚式に関してがメインイベントではあるが、各国とのパイプラインを強くすることに関してもライマや他国は考えていた。こういったイベントが無ければ国と国の繋がりを深めるような交流のきっかけはあまり起こらない事もあるし、王族の結婚式に招くという陰謀を感じさせない物は歓迎されるからこそ来賓は各国から代表という形で訪れたのだ。

だがそこでいざ蓋を開けてみれば陰謀なんて物はなかったが、代わりに起こったことが何かと言えば花嫁が花婿の弟と最初からこうするつもりだったと言った宣言からの、一方的な愛の誓いの口付けを見せるという物であって・・・その後にライマの代表者達がこぞって二人を連れ出して結婚式を中止させるという、とてもサプライズのイベントだとか舌先三寸で誤魔化す事なんて出来ようもない最悪のトラブルが起きたと来賓は認知することになったのである。

その上で来賓達は結婚式が終わったからすぐに帰るなんて事はなく、元々ある程度滞在する予定でライマに来訪することを伝えていたことから空いた時間に来賓同士で話し合うことになるというか、積極的に話し合っていった・・・ここら辺に関してはライマは上層部がこぞって混乱していたのもあるが、他国からわざわざ来た来賓を部屋にすし詰めになど礼儀作法の面から出来なかったからでもあった。

だからそういった来賓達が各々の思惑で集まって話し合ったりするのだが、その中にはかつてルーク達と共にルミナシアを救った面子であったウッドロウやエステリーゼといった、他国のやんごとない立場の人間もいたのである・・・






「ただ流石に俺達も他国の来賓に何か迂闊に言える筈がないと思ったから、今名を挙げた二人と護衛の面々にお前達との繋がりがあったことから様々に話を聞かせてもらったんだが・・・エステリーゼがやらかした部分もあったというのを差し引いても、他の来賓達はお前達への評価は散々だという話ばかりだったそうだ」
「えっ・・・エステルがやらかしたって・・・?」
「・・・お前達はアドリビトムにいた時も密かに想いあうように密会していたそうだが、それらに関してはお前達に聞こえないようにする形で公然の秘密となっていたらしい。だからエステリーゼも当然その事を知りながらも一応は結婚していないのだからと口にはしていなかったんだが、来賓達がお前達の結婚式での行動についてをオブラートに包んだ表現ながらも話していた時にお前達を庇うように声を上げたらしいが・・・そこでそれらを口にしてしまったとのことだ。一応アドリビトムでの事はまだ結婚する前の事だし、ライマに帰れば二人もそんなことはしなくなるんじゃないかと思っていたけれど・・・といったようにと」
「「っ!?」」
だが更に追撃は続くとばかりにかつての仲間のやらかしも含めて二人にとって衝撃でしかないことが出てきて、唖然とする以外になかった。オブラートに包んだ表現という言い方で悪評だということが分かるのもそうだが、それ以上に二人からして注意を払っていた筈の行動がそういった事に疎いエステルにまでバレていたことと・・・それらが来賓達に広まっていたということに。









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