愛は免罪符たり得ない

「・・・そう固くなるなと本来なら言いたいが、そんな気軽に言える事じゃなかったとくらいはお前達も分かるだろう。現にあの後は軒並み揃って俺達は他国からの来賓に対しての対応もそうだが、お前らの行動に対してどうするのかと色々と協議を重ねたりだとかしてきた。そして今日ここに呼び出したのはそれらの決定についてを伝えるためだ」
「「っ・・・」」
そんな反応な仕方ないとばかりにピオニーは答えを待たずに話をしていくのだが、二人は決定との言葉に自然と体を固くしていた。いい予感を感じさせない話の流れもあって。
「まぁお前達も少しは感じているだろうが、決していい話題ではない。ただそれでもお前達にとっていい事をまず先に教えてやるが・・・今回のことでルークとナタリアの結婚は破談にした上で、アッシュとナタリアのお前達を結婚させることにした。だからお前達はもう夫婦ということになる」
「「・・・え?」」
だが続けられたピオニーからのいいことの中身についてに二人はたまらずキョトンとしたように声を漏らし、目を丸くした。いいこととは言われはしたが、まさか本当にあんなことをした二人の仲を認めるばかりか結婚なんてことにすると思っていなかったというよう。
「・・・信じられないといった様子だが、これに関してはやむを得ない処置といった意味合いを占めているからだ。現にあの結婚式の場にてお前らがルークをどかして誓いの口付けを交わしたこともそうだが、後でお前達に話を聞けばもう契りを交わしたどころか、子どもが出来てもおかしくはないというように言ったことが大きく作用したのもあってだ」
「「っ・・・!」」
ピオニーはまたその様子について指摘しつつ話を進めるが、雰囲気は変わらないままなのに話の中身を受けて二人はたまらず恥ずかしげに顔を赤くした。






・・・結婚式を中止にした後でインゴベルト達はアッシュとナタリアをどういうことだと問い詰めるような形で話をした。だがそこで出てきたのはナタリアがやはりアッシュとでなければ結婚したくないと言った上で、アッシュがナタリアに応えたとのことだが・・・そこで恥ずかしげに言いにくそうにしながらも自分達の想いを挫かせない為にもと、体を重ねたばかりか避妊の為の行為を取らなかったことからナタリアはアッシュの子どもを身籠っている可能性すらあると二人は話した。

その話にインゴベルト達は絶句せざるを得なくなった・・・あんな形で結婚式を台無しにされた事はこの時点で誤魔化しようのない事ではあったが、そこに輪をかけてとんでもない爆弾が投下されたのだ。結婚式をハナから台無しにする計画を立てていた上で、更には自分達が結ばれる為にと子どもが出来るように体を重ねていたということに。

・・・こんな爆弾も爆弾な事実を前にして、インゴベルト達は混迷に陥るしかなかった。これが百歩譲ってルークとナタリアがそういうことをしても、若気の至りであるといったように済ませることもだが、妊娠して出産してもそうした時期に関してはある程度誤魔化しはつくが、そんなことどうしようも出来ない事ばかりをしでかしてきたのだ。それも一番の障害となり得る事として、二人が自分達が結ばれる事を頑として譲らないという形でだ。

だからインゴベルト達は一端二人を退出させた上で自分達でどうするのかと話し合った結果として、二人を結ばせる事にしたのである。今当人達は自分達がやってきたことに恥ずかしそうにしているが・・・そんな気持ちはすぐに消え去るような事をすると決めた上でだ。









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