崩壊の後の混同して再生した世界 二冊目

ルーク「・・・思えば本当に随分と遠くまで来ちまったな、俺ら・・・実際の距離もそうだけど、昔の俺らじゃまず辿り着かないような精神状態によ」

シンク「まぁね・・・仕事には大抵荒事が付き物とは言え、こんなに心穏やかに今過ごせるなんてオールドラント領を出た頃には到底考えちゃいなかったよ。精々いいところくな働き口もなく死ぬか、どこかの合法と違法の間を軽々飛び越えるような仕事場に身を置いて、荒んだ生活でも送るのが関の山じゃないかって行き着く場所の事を考えてたくらいだしね」

ルーク「んなこと考えてたのかよ・・・まぁそれももう昔の事だし、別に構わねぇけどよ。今更そんなこと蒸し返してあーだこーだ言うほど俺はお前に対して感じてる恩義ってヤツは薄くねぇしよ」

シンク「・・・いざとなったら見捨てるつもりだったって言ってもかい?」

ルーク「それこそあーだこーだ言うほどの事じゃねーっての・・・俺が見捨てられたとしたならそれこそ俺が何も出来ないままの貴族のお坊ちゃんとしてずっとシンクを困らせてた時の場合だろ。でもそれは今となっちゃシンクの方が自分の生き死ににだったり立場を考えりゃ、その方が正しいもんだって今なら思えるぞ。つっても平和な世界の奴らからしたらわざわざ連れていくと決めたのはお前なんだから、お前が是が非でも守れって言いそうじゃあるけどそれでもこんな環境に身を投じてんだ・・・自分の身は自分で守るくらいのことはしなきゃシンクに見捨てられるってこともそうだけど、いずれ自分の身を守りきれなくなる形でシンクの手の及ばないどっかで死んでただろうしな・・・だから別にいざという時の事なんか気にしちゃいねーよ。もう過ぎた事でもあるしよ」

シンク「・・・本当、僕も自覚してるけどあんたの方が昔と比べて変わったよね。昔の僕だったなら今の言葉を受けてもお人好しのようなことを言ってるねと皮肉たっぷりに言ってただろうけど、今のあんたは本当にそう思って割り切ってる・・・昔のあんたが目の前にいたら、驚きを隠せないだろうね。あんたの変わり具合にさ」

ルーク「それこそお互い様だろ・・・むしろシンクの方が俺よっか驚くんじゃねーか?自分がこんな風になるなんてってな」

シンク「だろうね。と言うか下手をすると攻撃まで仕掛けてきそうかな・・・お前なんか僕じゃない!ヴァンが造った僕のレプリカだろう!ってさ」

ルーク「ははっ!本当に言いそうだな!」

シンク「ふふ・・・ねぇルーク、これからも僕と君は一緒にいれるかな?」

ルーク「何らしくないこと言ってんだよ・・・ま、何と無く気持ちは分からねぇでもねぇけどな・・・一緒にいようと思えばいつまででもいれっさ。別にもう俺らを縛るもんなんて何にもねぇし、何だったら俺ら二人でだけじゃなく他の奴らとも楽しんだっていいんだしよ」

シンク「クス・・・そうだね。そう思うとこの世界になったことを感謝しないとね。こんな世界になったことは間違いだったなんて思ってる人はごまんといるだろうけどさ」

ルーク「ま、それも含めてこの世界を楽しんでいこうぜ。俺らはまだまだ生きていくんだからよ、この世界で」

シンク「うん、そうだね・・・楽しんで生きよう、これからも一緒にね」

ルークに以前だったら考えられない程の晴れやかな笑みで答えるシンクに、ルークもまた晴れやかな笑みを浮かべる・・・これからの自分達の未来を楽しみに思う形で・・・









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