崩壊の後の混同して再生した世界 二冊目

トロワ「まぁローレライが見つかるか見つからないかはさておいて言うなら、ダアトの求心力のメインだった預言を詠めないとなれば当然人々の心は離れていく。そこで為政者が人心を離れさせないようにするために何をすることが重要になるかと言えば、何らかの成果を上げることだ。外交でも内政でもどちらでも、めぼしい成果をな」

カトル「ですが話を聞いた限りではその二人が穏便な手段を使うことなど想像がつかないというより、真逆な手段を取る可能性の方が高かったでしょう。特にモースの場合は自分が失敗した際には他の関係無い罪までもを着せた上で適当な対象人物を殺していき、自分の身の安全だけを最優先に動いていたでしょうね。ただ人の口には戸は立てられませんから、そんなやり方をしていけば当然内外共に悪評が広がっていったでしょう。ですがモースが実権を手放すはずもなく、ヴァンもキムラスカとマルクトに頼れないとなればモースに協力するかいっそ反旗を翻し、ダアトの実権を得るかのどちらかでしょうが・・・どちらの結果でも、ダアトが恐怖政治を行うという未来には大差は無かったと思いますよ」

シンク「あぁ、確かにね。リグレット達が愛想つかして出ていった経緯を考えると、ヴァンが大人しく英雄ヅラして動いてたかってのは微妙だったろうし」

ルーク「何よりあの人とモースが組んだなら、もうひでぇことになるのは目に見えてただろうな。それこそキムラスカとマルクトが協力してダアトを攻めるなんて展開になったんだろうけど、リグレット達も俺が死んでた場合は嫌でもダアトにいなきゃ殺されかねない事態になってたから死に物狂いで戦って、今みたいにすんなりなんていってなかったんだろうな」

ローレライ『うむ・・・どうなっていたかは最早知るよしはないが、少なくともローレライ教団にダアトが意味を変えずに残っていく事は望ましくなかったと思っていた。そんな形で残るくらいならいっそ潰れてなくなり、人々が預言に教団を拠り所とするような事など無くなればいい・・・とまでな』

シンク「そして今となっちゃその二つは綺麗サッパリ無くなってしまった、と・・・」

ローレライ『うむ・・・関係無い者達が被害を被ったことに関しては申し訳無くこそは思うが、それでもあのままモースにヴァンが存在してその思想を次代にまで受け継ぐ者が現れたならと考えると、悲劇は更に加速して泥沼の争いが起きていたことも十分に有り得る・・・だからこそ我はそなたらに会いたかったのだ。そんな事になりかねなかったオールドラントを変えたそなたらをな』

ルーク「いやいやいや、別にそんな大層な事を言われるようなもんじゃねーよ。俺はそもそもシンクが行動してくれなきゃまず死んでたんだしよ」

シンク「その僕もその時は気まぐれというか、その時に思い立って行動しただけだからね。そんな風に言われるような事なんてないよ」

ローレライ『それでもだ・・・そなたら二人の行動が無ければオールドラント領は混迷のままに進み、救いようのない事になりかねん可能性は十分に有り得た上に我もまた先程言ったような事になりかねんかったからな・・・我は感謝しているぞ。そなたらの行動についてを』

ルーク「・・・ま、感謝すんのは別に構わねぇよ。俺らが勝手に動いただけだからな」

ローレライの頑なな礼の言葉に仕方無いといったよう締め括る。これ以上は押し問答になるのが目に見えたが為に。









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