崩壊の後の混同して再生した世界 二冊目

ルーク「ま、ビネガーって奴の事はさておいてだ・・・元々敵で今は関わる理由もない奴らと一緒にいるんだから、あえて離れる理由もないんだろ。そして生きる理由もないみたいに言ってるけど、死ぬ理由もないんだろ」

魔王「死ぬ理由もない、か・・・」

シンク「生きてる奴は死にたくないとか生きるって気持ちを抱えるのが普通ってもんさ。理由がなけりゃね・・・その点、あんたはまだ完全に生きる理由に気持ちってヤツを失っちゃいないんだろ。どこかにそれがあるってのをまだ見付けてないだけでさ」

魔王「見付けてないだけ、か・・・私にもあるのか、そのような考えが・・・」

ルーク「まぁお前の中にどう言った気持ちや考えがあるのかは付き合いの短い俺らには分からねぇけどな」

魔王「・・・お前達もそうなのか?生きる理由があるというのか?」

ルーク「そりゃな。まぁ生きていく理由が無くても生きてればいいことがあるだとか何があっても生きろって言う奴はごまんといるけど、力もそうだし中身のない奴の言葉は何一つ響いちゃこなかったけどな」

シンク「まぁそう言った奴の大抵は自分がそう言った領域だとかに立ったことがない奴がほとんどなんだけどね。命をかけて戦うどころか擦り傷一つついて血が流れる事にすら免疫なく育てられてきて、自分が平和に生きられてるんだから他の人も一滴も血を流すことなく生きれるなんて考えれるくらいの平和ボケに固まったくらいのね」

魔王「・・・血の一滴も流れん世界か。戯れ言だな。そして血すら流したことがない者の言葉など、確かに何も響かん・・・命などふとしたきっかけで失われる。それが小さき存在であればこそ、尚更にだ」

シンク「・・・ちなみに、その小さな存在ってのに自分は入っているのかい?」

魔王「・・・力を得て、ラヴォスを倒せると思っていた。我が前に立つ者など、全て刈り取れると思っていた・・・だが結局私はクロノ達に敗れ、ラヴォスにも倒された・・・最終的にはラヴォスを倒すことは出来はしたが、私一人でラヴォスを倒せたかと言われれば・・・口にこそしたくはないが、無理だったと言わざるを得んだろう・・・」

シンク「・・・あんたがそうまで言うってことは、自分も小さな存在だって嫌なほどに理解しているって事か」

ルーク「そもそもを言えばこんな馬鹿げた世界を平気で作れる奴らに比べりゃ、そりゃ俺らなんてちっぽけもちっぽけな存在なんだろうよ。こうなった理由も馬鹿げてるようなもんだし、本当なら声を聞くことすら叶わない天上の存在のそのまた更に上とかそんな領域で語れないくらいによ」

魔王「・・・そうだ、私達はちっぽけな存在に過ぎん・・・だからこそ私は抗ってきたのだ、ラヴォスを殺すためにと・・・」

シンク「・・・そして今に至るって所か」

ルーク「・・・ま、焦る必要はねぇって。生きる意味を見つけるのなんて後になってからでも出来るし、もしそんなもん見付けられなくたって少なくとも俺は別に構わねぇって思うしよ」

シンク「僕もそう思ってるよ。まぁそれで死にたいから死ぬって考えたって、僕らの目の前で死ぬのは止めてよね。自殺幇助をするようにしてほしいからこんな話をした訳じゃないし、それを看取るようにしろなんて言われても一層困るだけだからね」

魔王「・・・フッ、そんなつもりはないから安心しておけ」

ルーク「・・・皮肉っぽい笑みでも笑うんだな、あんた」

魔王「・・・笑う、か・・・それも随分と久しぶりな気がするな・・・」

シンク「ま、とりあえず今日の所はギルドに戻ろうか。色々考えるにしてもそろそろ落ち着いた場所に行った方がいいだろうしさ」

魔王「・・・そうだな、そうするか」

シンクの言葉にそっと魔王も頷き返し、三人は場を後にしていく。特に魔王だとか一般人だとかといったことなど気にすることもなく、ただギルドのメンバー同士として・・・










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