頂上同士の騒乱に図らず乱入せし焔

(あぶねぇ・・・いきなりのタイミングだったからちょっとヒヤヒやしたけど、なんとか防げたぞ・・・!!!)
だが当の本人ルークもマグマの拳が自身を貫く事がなかったことに、内心は驚愕を抑えられていなかった。



・・・先程の黄猿のビーム。あれも今自身の体にまとっている超振動を持って無効化した物だ。超振動はあらゆる物質、大気すら破壊する事が出来る。黄猿のビームはルークも光だったために止める事は無理かと半ば思いつつ飛び出したのだが、超振動も言ってみれば光である。消滅はしなくとも、相殺することが出来た。ましてや光と違い実体の一応あるマグマを消滅させることなど、超振動からすれば可能な事であった。これも全て、ルークが超振動を扱えるからこその技である。

だがこの超振動の防御壁には問題点があった。



(けどこれもあまり長い時間は持ちそうにない・・・初めてこんな風に超振動をまとわせるけど、普通に超振動をぶっぱなすより集中しなきゃいけないから精神力が・・・!!)
更にルークは内心でこの超振動の扱いに対し、限界は早く訪れる可能性が高いと感じる。
・・・ただでさえ超振動は集中して精神力を使うのに、それを自分の身の回りから剥がさないように持続して使う・・・これはヴァンを倒してから大分の時間を色々な世界で戦い腕を上げてきたルークであっても、初めての試みと言う事を含めても相当にきついことであった。
(かといって弱音なんて吐けねぇ・・・ここで俺が退いたら、全部が無駄になっちまうんだから・・・!!!)
だがそもそも超振動の防御壁を思い付いたのはエースを助ける為に悪魔の実の能力者を倒せるよう自身で考えた苦肉の策。きついの一言でその試みを覆す事など到底ルーク自身許せる物ではなかった。



(自然形か・・・!!?いや、ピカピカの実は有り得ん・・・悪魔の実は同じ物は存在せん。ボルサリーノが食うちょる時点でそれは違う・・・なんじゃ、こいつのこの光は・・・!!?)
(この朱髪の小僧の光は振動、か・・・!!?ただ広範囲に地震を起こせる俺の振動とは違い、威力が一点に集中してやがる・・・質の違いを差し引いたら、1ヶ所に与えるダメージだけはこの朱髪の小僧の振動の方が優れてやがる・・・!!!)
一方赤犬と白ひげの二人は内心でルークの超振動の壁について、二人ならではの視点で驚愕を抑えながら超振動の光の考察をする。
「さぁ、オッサンは早く船に行ってくれ!!!コイツは俺が止める!!!」
「・・・あァ、しっかりやれ小僧!!!」
「・・・逃がすと思うちょるんか、白ひげ・・・!!?」
「行かせねェよ!!」
「マルコ、ジョズ!!!お前達はそいつらを足止めしておけ!!!俺が軍艦に着いたらその小僧と一緒に軍艦まで行けるように手を打つ!!!!」
「「わかった(よい)!!!」」
そう二人が考えている内にルークが行くよう言い白ひげは撤退していき、赤犬はそんな後ろ姿を追いかけようとする。だがルークがその前に立ち塞がり追撃を止め、白ひげは一度立ち止まりマルコとジョズの二人に黄猿と青キジの二人を足止めするよう命じ二人が威勢よく了承を返すと、白ひげは軍艦へと再び足を運んでいく・・・
「何度も何度もわしらの邪魔をしおって・・・!!!」
「それはてめェらが正義を名乗っときながら、全然正義らしいことをしてねェからだ!!!」
‘ブン、チッ!!’
(なんじゃとっ!!?わしの体に、傷が・・・!!?)
その姿に歯噛みをしてルークを赤犬は睨み付けるが、ルークは負けず盛大に怒りながら赤犬に斬りかかる。その攻撃は赤犬の腹部を掠めるにとどまったが、そこには自然系でマグマの体であるはずの赤犬にはつくはずのない傷が確かについていた。
(覇気とは違うはずじゃが・・・新種の覇気とでも言うと言うんか・・・!!?)
超振動の実態を知らない赤犬は傷を内心で愕然と見つつ、瞬時にルークをにらみ直す。
(・・・コイツを野に放せば海軍にとって、エースに麦わら以上の脅威になるやもしれん・・・ならばこそコイツを仕留めねばならん、何がなんでものゥ・・・!!!)
今更ながらに赤犬はルークの可能性という物を非常に危険な物だと感じていた、エースやルフィと同等もしくはそれ以上の脅威になり得ると。
・・・だからこそ倒す、海軍の為にも。そう思いながら赤犬は拳を再びマグマに変えつつ、ルークと激突する・・・










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