奈落はいつも足元に

その後ティアの召集を受け、一同はユリアシティの市長室へと集まった。




「やれやれ、私達を呼び出すとは随分と偉くなったものですねぇ」
「本当ですよねぇ~、お坊ちゃんの癖に」
「まったく、一体何事なのですの!?」
「ルーク・・・何の用なんだ?俺達は早く上に行かなくてはいけないんだぞ」
ルークが市長室に入ってきたことに気付くや否や、一同はルークを言外に罵る言葉を放ってくる。しかし続いてオリジナルを担いで来たC.C.を見た一同は絶句した表情を見せる。
「さて・・・おまえたちを呼び出したのは他でもない。今からアクゼリュス行きの真相を話そうと思ったからだ」
しかしルークは一同の顔の変化に関する事なく、話をしようとする。
「待てよ、ルーク。何でアッシュがここにいるんだ?」
「襲って来たところをC.C.が撃退しただけだ。下らんことに時間を使う暇はない。話をするぞ」
ばっさりとガイの質問を切って捨てる。その言葉にはなんの感情も篭っておらず、ガイと他の五人はルークに対して言い知れない恐怖を感じていた。
「さぁ、市長。まずはあなたに一つ約束していただこう。これから私の質問には全てあなたの知りうること、感じていることには本当のことだけを話していただきたい。よろしいか?」



その言葉を放つルークの左眼に赤い鳥に見立てられた紋様が映し出される。



「はい、わかりました」
市長はその眼を見た瞬間、従順に従う体勢を見せる。ちゃんとギアスがかかったことを確認すると、ルークは精神の断頭台への秒読みへの質問を開始する。




「あなたはアクゼリュス崩落が預言に詠まれていたことはご存知か?」
「はい知っております」
ルークの質問と市長の解答に一同はざわつく。だがルークは周りに感心を寄せる事なく話を続ける。
「では、あなたの知っているアクゼリュス崩落からの預言の中身を話していただこうか」
「はい、『ND2018、ローレライの力を継ぐ若者、人々を引き連れ鉱山の街へ向かう。そこで若者は力を災いとし、キムラスカの武器となって街と共に消滅す。しかる後にルグニカの大地は戦乱に包まれマルクトは領土を失うだろう。結果キムラスカ・ランバルディアは栄えそれが未曾有の繁栄の第一歩となる。ND2019、キムラスカ・ランバルディアの陣営は、ルグニカ平野を北上するだろう。軍は近隣の村を蹂躙し、要塞の都市を囲む。やがて半月を要して、これを陥落したキムラスカ軍は玉座を最後の皇帝の血で汚し、高々と勝利の雄叫びをあげるだろう』・・・という物です」
「そんな・・・嘘ですわ!そんなこと!?」
市長から放たれた預言にナタリアが取り乱した様子を見せる。だがルークはそのままナタリアに声をかける事なく話を続ける。
「さぁ、市長。アクゼリュスは崩落しました。この事態、あなたはどのように思われますか?」
「預言通りに事は進んでおります。いいことだと私は思っています」
「御祖父様!?」
そこにティアの市長に対するどういう事だという響きの批難に近い声が市長室に響く。
下準備が出来たと確信したルークは、五人へと向かい合った。





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