崩壊の後の混同して再生した世界 二冊目

ジェイド「こちらの立場が預言保守派にとって望ましくない物だったのは貴殿方もご存知でしょう。そして貴殿方が起こした行動により、マルクトは直にそれに触れる機会を得た・・・意外に思うかもしれませんが、マルクト内での貴殿方の評価は悪いどころかむしろいいんですよ。キムラスカやダアトとなど比べるまでもなくね」

ルーク「そうなのか?」

シンク「まぁ分からないでもないね。マルクトからすれば自分達の滅びについてもそうだけど、ダアトとは縁切りをするべきだって気付かせたきっかけなんだしね。一応僕らは」

ジェイド「えぇ、そうです。そういった面もあって貴殿方の事を悪く言うのはマルクト内では本当に数える程もいないと思いますよ・・・とは言え国交断絶していた時間の長かったキムラスカもそうですが、特にダアトはそれを知るよしもなかったでしょうね」

ルーク「あぁ、確かにそんな状態だったっけ。マルクトは」

ジェイド「えぇ。ただキムラスカとはいつまでもいがみ合っていても預言の再現をされるような事態になっては仕方無いので、ダアトを共に攻めるという形で落ち着きましたが・・・今回持ち掛けられてきた貴殿方の排除の為の誘い出しに関しては完全にキムラスカ側・・・それも貴方の被験者及び、ナタリア様の個人的な意向が極めて強い私的な物です。こちらとしてもそんなものにやる気は出ませんし、狙いが見切られてるんなら尚更ですよ。そんなものを是が非でも命に代えて遂行するなんて馬鹿馬鹿しいにも程があります」

シンク「それは随分とまぁ・・・そんな風に思われてるとは、こういった声があるって予測してなかった事もあって意外と悪くないもんだね」

ルーク「まぁそれは同感だが・・・どうする?こう言ってくれてんのはありがたいけどよ。ここでこいつが単に出来ませんでしたで戻った所で、被験者が諦めるなんか到底思えねぇんだけどよ」

シンク「だね。むしろより酷い手を使いかねないよ、下手をすると。それこそ最悪、ギルドを敵に回しかねないような手を平気で使いかねないし」

ジェイド「・・・ギルドの活躍に関しては各世界に名が轟く程だとお聞きしてますが、そんな組織を敵に回すということは・・・」

シンク「良くて他の世界との交流の為の権利の剥奪で、悪ければその時のギルドにいたメンバー次第じゃ軍が一人残らず殲滅されて次のターゲットがオールドラント領になる・・・なんて展開は十分に考えられるね」

ジェイド「・・・そこまで、なのですか?」

ルーク「相手が悪けりゃ、の話だ。絶対って訳じゃねぇが引けばジョーカーどころか死神のカードだった・・・なんてことになる可能性はない訳じゃないし、そうでなくたって事態の解決にギルドが本腰入れりゃ本当にさっき言ったような事になるだろ。他の世界との繋がりの出来ない孤立ってヤツにな」

シンク「そうなればマルクトは違うなんて言い訳出来ないどころか、そこに兵がいるんならむしろ協力してるんじゃないかみたいに言われるのがオチだろ。でもこうやって和平もなっててあんたが来てることを考えると、知らぬ存ぜぬで協力しないも通じにくいだろうね」

ジェイド「・・・そう考えると気が重いですね・・・流石に今の話を聞いた後では貴殿方に無理強いさせる事の方がリスクが高いですが、だからと言ってこのまま帰れば今言ったような事態になりかねないと・・・」

ルーク「・・・なぁ、シンク。この依頼は受けねぇって言ったけど、受けるようにしねぇか?つってもただ受ける訳じゃなく、もう被験者様に手出しをさせないようにするって形でだ」

シンク「・・・そうだね、そうしようか。こっちの都合でギルドに迷惑や被害を被らせるのは僕としても望むところじゃないし、やるなら徹底的にやろう・・・ちなみに、あんたも協力してくれる?その代償はアッシュ達のわがままにもう振り回されないようになる、だ」

ジェイド「それなら引き受けましょう。マルクトのお偉方ならともかくキムラスカの人間となった彼のわがままに、これ以上付き合いたくも巻き込まれたくもありませんからね」

ルーク「よし、なら決まりだ」

ジェイドの即決に二人にも自然と笑みが浮かぶ。本当の意味でアッシュと決着を着けるために、動く条件としてジェイドが味方なのは悪くないことだと・・・









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