崩壊の後の混同して再生した世界 二冊目

・・・鬼灯と会っていろいろ話をした後に別れた二人はその日の夜、自分達の泊まる部屋の中で顔を付き合わせていた。






ルーク「俺達があの世の奴らの裁きのモデルケースの1つになる、ねぇ・・・いいことなのか悪いことなのか・・・」

シンク「少なくとも悪いことじゃないんじゃない?要は私達は悪いことしていたら後で裁きますよって言ってるだけであって、生きてるうちにぶち殺しに来るなんて極論をぶちまけたわけじゃないんだしさ」

ルーク「まぁそうなんだろうけど・・・善悪の判断基準って時が進んだらどうなるって話になるだろ。この世界は色々混ざってるんだしよ」

シンク「その辺りは個人の良識の平均を取るんじゃないかな。それに加えてどういう仕事をしていたかだとか、人殺しの理由がどうとかね・・・特に人殺しに関しちゃこんな世界になったからどうするか決めあぐねてるんだろ。じゃないと僕らはもう文句なしの地獄確定だろうしさ」

ルーク「あ~・・・確かにな・・・生きるためや依頼の達成の為になんて言ったって、俺らが種族の違いを差し引いたって人の命を何人も奪ってるって事実には変わりはないんだしな・・・」

シンク「そうだよ。いくら言ったって僕らは人殺しをしたことは事実だ・・・それを否定することは出来ないし、依頼ならこれからも人を殺すことだってあるだろう。このギルドに所属する限り、そして僕らが肉体的にか精神的にか死なない限りはね・・・」

ルーク「肉体的にか精神的にか、か・・・ははっ、ファブレにいた頃とは比べ物にならねぇな。こんなことを考えるようになるなんてな・・・ファブレにいたなら俺はそれこそ何も考えず、犯罪者だ犯罪者だって騒ぎ立ててたんだろうな。どういった奴に事情があるのかなんて考えもせずな」

シンク「僕も似たような物だったろうさ。自分の立場だけで物を見て誰がどういった事情があるかなんて考えず、人間なんてこんなもんだって見下したまんま生きてたんだろうね・・・」

ルーク「そう思うと、俺らって本当に変わったんだな・・・多分あの人達からしたらふざけるなって変化なんだろうけど、俺らからしたら本当にいい変化だ」

シンク「あぁ、そいつについちゃ誰に否定されようがそうだと思うさ。あいつらからしたら変わらず黙って死んでくれた方がいいとか思われてたんだろうけれど、それであいつらに限らず殺しに来るってんなら僕は遠慮なく相手をしてやるさ。そこに躊躇いなんてないし、あの世だこの世だなんて関係無いよ」

ルーク「・・・まぁな。俺も迷うつもりはねぇよ。折角生きる楽しさってヤツを謳歌してるんだからな・・・ただまぁ、だからって好き勝手に人の迷惑なんか何も考えず生きるなんて生き方もする気はねぇけどな。そんなことしたらあの人らとかここに来てこうなりたくねぇって思ってた奴らと同じような事をすることになるだろうしな」

シンク「だね。それに折角鬼灯があんな風に言ってくれたんだし、より気を引き締めて生きていこうよ。僕らは僕らなりにね」

ルーク「あぁ!」

・・・二人顔を見合わせ、笑顔を浮かべる。その表情はかつてオールドラント領を出た時とは比べるまでもなく晴れやかで、心からの物だった・・・









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