頂上同士の騒乱に図らず乱入せし焔

(・・・確かにあの朱髪の小僧の言う通りだな・・・そろそろ起死回生の一手を打てねェと、こっちが不利になるばかりだ・・・!!)
そんなルークとジンベエの会話を聞いていた白ひげは周りの人間達に気を遣い言葉にこそしないものの、自陣側が次第に不利になると感じていた。
(だがおれは赤犬に足止めされている・・・!!早くコイツを片付けねぇとな・・・!!)
しかし状況を好転させるにしても自分は赤犬と戦っている。一刻も早いエース救出の為、白ひげは赤犬との戦いを一層激化させる・・・









・・・だが相手をする海軍側も相当な物。白ひげ海賊団の精鋭達が総力を決しても、いたずらに時を費やしエース救出を出来ずにいた。しかし好転しない膠着した状況に焦るのは何も白ひげ側だけではなく、海軍も同様だった。
「・・・もういい!!こんな状況では締まらんが、このままではラチがあかん!!エースの処刑を今より実行しろ!!!」
「なっ!!?」
処刑台のエースの横にいたセンゴクはわかりやすく苛立ちながら、エースの処刑を宣言する。そのセンゴクの声に処刑台をルークが見ると、二人の海兵が刀を振りかぶろうとしてる姿があった。
「・・・クソッ!!!」
ふと周りを見れば白ひげ達は大将により抑えられており、処刑台の周りには誰も白ひげ陣営の人間の姿はない。その光景に改めて処刑台に向き直り、ルークは間に合うかもというもしかしてを思い一か八かの為走り出す。
「やれ!!!」
「・・・っ!!」
だがセンゴクの声に海兵達の刀は無情にも、振り下ろされる。その瞬間目を見開き絶望の光景を目撃することをルークは認めたくないと思いながらも、瞬時に覚悟していた・・・



「やめろォ~~~~~~~~~!!!!」
‘ゴオオオオオオ!!!ドンッ!!’



「えっ・・・!?」
だがそれはルフィの叫びとそれに伴われたビリビリくる圧迫感により、刀を振り下ろそうとしていた海兵が気を失い倒れた事でエースの首ははねられることはなかった。だがそんな叫びで海兵の気を失わせたルフィにルークも含め、驚愕の視線が向けられる。
「今の、ルフィがやったのか・・・!!?一体どんな・・・っと、いけねぇ!!まだエースを助けられた訳じゃないんだ!!俺も先に進まないと・・・!!」
・・・どんな能力なのかは興味がある、だが今はそれを追求している場合ではない。ルークはルフィの処刑台を目指す姿に首を振り、先に向かい走り出す。



(・・・この機を逃せば、また戦況はズルズルと長引くだけだろう・・・ならあの朱髪の小僧の言うよう、麦わらの小僧に賭けてやる・・・!!!)
そんなルフィを見て白ひげは並み居る海兵達を薙ぎ払いつつ、ルークの言葉とルフィの行動に賭ける事を決める。
「野郎共ォ~~~!!!麦わらのルフィを全力で援護しろォ!!!!」
そして白ひげの全力の叫びが、辺り一面に響き渡る・・・エースを救い出す為の最後の白ひげの賭けの采配の叫びが・・・









・・・エースを巡る長く続いた戦いに、ようやく白ひげ側の希望の光が見えた。白ひげ陣営の戦力の大部分がルフィを援護していく姿を見ながらもルークは戦いつつ、もしやと感じていた。



そしてイワンコフの頭の中から出て来たイナズマが処刑台までの道を作り、その道をルフィが駆け上がりガープを殴り倒して処刑台の上にたどり着いた時、ルークはいけると感じていた。だが・・・
(・・・黄猿!?)
処刑台の上にいるルフィを見ればエースの手錠の鍵を取り出した姿がある。だがそれを見て辺りを改めて瞬時に見渡して見れば、黄猿が一人処刑台の近くに移動してノーマークで立っている姿をルークは見つけてしまっていた。
(まずい・・・!!鍵でもルフィでもエースでも、どれか狙われたら・・・!!!)
「ウォォォォォ!!!」
そして指をルフィ達に向ける姿を目撃して、ルークは瞬時にルフィ達を守ろうと黄猿の指の先に飛び込む・・・
‘ピュン!!’
「・・・あれぇ~?」
その瞬間黄猿は指の先にいたルークごと、光で鍵を貫いたと確信していた。だが現実は鍵どころか、ルークすら貫けていない。その現実に、黄猿は首を傾げる・・・







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