崩壊の後の再生して混同した世界

・・・ルークが滅多にない心からの怒りを爆発させてぶつけた相手はギルドから立ち去っていった、大きな衝撃により壮大な気落ちを生じさせる形で。






ルーク「あ~っ、くそっ・・・色々言いはしたけど、やっぱ気分わりぃわ・・・親が言いたいことは大分肩代わりしてくれはしたけど、どうもな・・・」

幽助「ま、あの親もあれはあれで反省はしてるんじゃねぇか?頭は新一以上にいいみたいで後悔してるようだしよ」

シンク「後悔も何も、親として子どもを保護をしていなかったっていうか放任に近いような事をしてた親が言うことじゃないと思うんだけどね。ルークが言ったように色々困難はあってもその過程で色々手にして、それで全部うまくいったなんてのは本当に色々恵まれてただけさ。それこそ途中で死んでたなんて事になりかねなかったのに、出来るだけ近くにいなかった・・・なんて事をした親がね」

ヒム「辛辣なもんだな。別に俺はハドラー様に産み出されはしたけどそんな風に過保護にされてねぇぞ。つーかそんなあぁしろこうしろだなんてハドラー様から言われた方が嫌だわ」

シンク「それはあんたがそういう存在だからだよ。人間ってのはある程度育ててくれる親みたいな存在がいなきゃ生きる術も知識も得ることは出来ないけど、中途半端にそれが出来るし子ども自身に意欲があるなら後は任せるって放置ってのは大抵ろくな結果を産み出しはしないさ。あの新一って奴は正義感に倫理観は備わってたからまだしもとしても、それすら備わってなかったら育児放棄って見られても十二分に有り得ただろうしね」

幽助「それも含めて恵まれてたんだろうな。あいつのあの感じだと悪い奴は寄るような事が無くて、周りには気心が知れたいい奴ばかりが集まるって感じでよ・・・まぁ俺の場合は人間の時のオヤジはオヤジとしちゃお袋と離婚しちまってロクに会ってねぇから大していいオヤジとも思っちゃいねぇし、妖怪のオヤジも散々テメェの言いたいことを言ってくたばっちまったからな」

ルーク「・・・父親が二人で種族が違うって、普通に聞いて有り得ねぇ事だけどな。それも意味として間違ってないのがまた何とも言えねぇし・・・」

幽助「俺の場合は事実だから別に構わねぇよ。それに俺はオヤジ含めて自分の事が恵まれてたとも思っちゃいねぇしよ・・・ガキの頃から裏の奴らと普通に揉め事もあって、不良達と毎日喧嘩ばっかしてたことを考えるとあいつとは相当に違う環境にいたしな」

シンク「と言うかあんたもあんたで相当だね。むしろ今の性格によく収まってると思うよ」

幽助「そっかぁ?別に俺、善人のつもりなんかねぇしな。ここにいんのもちゃんと働きゃ屋台やるより飯が食えて金がもらえるっつー理由だし」

シンク「別にいいでしょ、そんな理由でも。一番タチが悪いのは自分の事が正しいんだに、だから他人にもそうさせるべきだ・・・なんて風に盲目に考える奴だと僕は思うし」

ヒム「あの新一って奴はその最も足る物ってヤツか?」

シンク「最も足るとまでは言わないにしても、あいつは悪人を嫌っているのにその悪人がいないと存在証明が出来ないっていう矛盾を抱えてること・・・それを理解出来てない所が尚のこと厄介なんだよ」

幽助「は?なんだそりゃ?」

シンク「あいつ自分で自分の事探偵って言ってたろ・・・まぁあれだけの話であいつの全部を聞いたって訳じゃないのはあんたらも分かるだろうけど、あいつの探偵としての能力が高くて色々事件やらなんやらを解決したのも話から分かるだろ?それで自分のやって来たことについて自信を持ってたけど、僕から見たらあいつは探偵として事件に出逢って解決することに楽しみを見出だしてるように思うんだよ。犯人の間違いを糺してるし、過ちを誤魔化そうとして施したトリックを見破るのは探偵の仕事だって正義感からやってるみたいに振る舞う中・・・これが探偵の仕事だっていう充実感、もっと言うなら楽しみを感じてるのが心の中で正義感より大きなウェイトを占めている事に気付いてないのさ」

幽助「あぁ、なんつーか手段が目的になってるって感じなのか。事件を解決したいって気持ちは確かにあるけど、それ以上に事件が起きりゃ楽しいって心が弾んで嬉々としてるし、なんなら難しい事件であるほど燃えるって気持ちになる・・・それで事件を解決したら楽しいとかじゃなくて、もう終わったって気持ちの切り替えとか正義感とかが来るからあいつはそれに気付いてないと」

シンク「そういうことさ」

幽助の言葉とシンクの肯定にヒムはほぅ、と感心したように幽助を見て頷く。勉強には関心の全くない幽助だが、物事の本質を率直に捉える事の出来る幽助らしい言葉に。










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