崩壊の後の再生して混同した世界

優作「・・・銃で撃たれた事については聞いたが、正直そんな風に考えた上で感じていたとは・・・」

新一「父さん・・・」

優作「話を聞いていたが、正直私もお前がそこまで重症だとは思っていなかった・・・これもお前になまじ探偵としての能力があったこともそうだが、そちらが言っていたように色々と恵まれていた事が大きいのだろうな・・・」

新一「重症って・・・」

優作「あの組織を無事に潰してこうやって元の姿に戻れたお前だが、端から見ればお前の状況は彼の言うように恵まれていた物だ。あの組織により被害を受け殺されたであろう人達の命は数知れず、FBIを始めとした組織も相当に手を焼いていた・・・そんな組織を例え巻き込まれた事が発端とはいえ命を散らすことが無いばかりか、組織を潰す中心となって活躍をした・・・その事自体はあの組織が世界に残ることを考えれば良かったのだろうが、私はこうも考えるようになっていったのだ。新一にとっての過信にならないかとな」

新一「過信?」

優作「言うなら、お前が誰よりも正しく何でも解決出来るという自信だ・・・現にお前も彼らと話をしてどうにか心変わりをと願っていたのかもしれんが、その認識が甘いと今十分に思い知らされただろう」

新一「そ、それは・・・」

優作「否定したいといった所だろうが、ルーク君とシンク君の二人はともかくとして幽助君にヒム・・・君達は死にそうな目に合ったことは?」

幽助「死にそうな目は何度もあって、人間としちゃ一回死んだぞ。現に今俺妖怪として復活したし」

ヒム「俺も胸に風穴空けられてすげぇ高い所から落ちて頭を打って死にそうになったことはあったな。んで冷たくて暗い感覚が襲ってきたからこれが死ぬって事なのかって感じたな、あの時は」

優作「・・・予想以上の答えが返ってきたが新一、お前のやり方が通じてきたのはルーク君が言ったようにお前が恵まれた立場にいたからだ。そして幽助君の言葉から分かったこととして、お前は自分が死ぬことの危険性に関しての認識が甘すぎる。そう・・・何が有っても自分は死なないと、そう思っているようだ」

新一「っ・・・」

優作「今度は否定出来ないだろう・・・それこそが彼の言うように恵まれていた環境にいた証拠であり、認識不足の証拠でもある・・・確かにこんな世界になって外の現状を知って、どうにかならないかといった気持ちになることは分からないでもない。今までは自分達の問題だったから通用してきたかもしれないが、こうであるべきと定められた法律やルールが確立されていないこともあり言葉や捕縛だけでなんとかなる状況の方が少ない。それこそ戦争地帯に行って言葉だけで全てを解決しようとするようなものだ・・・それを自分の意志で尚も自分は死なないと無理に押し通すような事は、私には認められん。少なくとも今のお前ではただ無為に死ぬだけで、そんなことになって行方不明かもしくは死亡かの報告など私は受けたくはない・・・」

新一「父、さん・・・」

ルーク「・・・分かったんならさっさと自分の所に帰れ。お前がいるべき場所はここじゃない、お前の思うような正義や正しいことなんてのはここじゃ通用しないし・・・何より、お前じゃここにはいられない」

シンク「そうだね。死ぬことに恐怖がないってのはいいことかどうかはさておいても、自分の命を省みない奴は長生き出来ない・・・そんな奴はここにいてもすぐに死ぬだけさ」

優作「・・・新一、帰るぞ。そして一度、母さんも含めて話し合おう。今まではお前の自主性を尊重してきたが、今後は私達と暮らすことも含めてどうするかをな」

新一「・・・分かったよ、父さん・・・」

初めの時とは打って違って、優作の言葉に素直でいて力なく新一は頷く・・・自分の今までが全て否定された、そのショックから立ち直れてないといった様子で・・・









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