頂上同士の騒乱に図らず乱入せし焔

「そんな、なんで・・・!!?」
その光景に心底自分の目を疑うルークだが、嘘ではない光景にその場で立ち止まり困惑する・・・






・・・困惑するルークだったが、白ひげの自身を刺したスクアードを許すという言葉と仲間の海賊達を逃す為に氷の壁を壊す行動を見て聞いたルークは次第に冷静さを取り戻しつつも、静かな怒りを海軍に向けて覚えていった。
「これが、正義なのかよ・・・!?こうやって仲間割れを誘って、仲間に剣を向けさせて・・・それを簡単に実行出来るなんて、それが正義なのかよ・・・!!?」
・・・悪を倒す為の必要悪、海賊という存在はそれだけで悪。この世界の仕組みを知らないルークはその憤りを言葉にして顔を怒らせながら、白ひげの元に走り出す。
「おれと共に来る者は命を捨ててついて来い!!!」
致命傷を負って尚地を揺るがすような大声を放ち、白ひげは氷の張った海へと飛び降りる。
「‘白ひげ’が・・・動いたァ~~~!!!」
「オヤッさんに続けェ~~~~!!!オヤジに道を開けろォー!!!」
そして降り立った白ひげに海軍と海賊がそれぞれに脅威と士気高揚の対極な様子を見せる。だがルークはそんな声も関係なく前に行く海賊達の中を逆流していき、白ひげの前に立つ。
「・・・なんだ、小僧」
「少しだけ止まってくれ・・・キュア!!!」
ルークが目の前に来た事で迫力ある目付きで睨みつける白ひげだが、それを脅威に感じずルークは止まるように言うとローレライの鍵の力を借り、無詠唱でキュアを唱える。白ひげの周りを青色の光が包み込む。
「!?何・・・傷が・・・!!?」
その光を訝しんでいた白ひげだったが、途端に自身の傷が塞がっていくのを見て白ひげは単純に驚く。
「おい、見ろよ・・・オヤジの傷が・・・!!?」
「‘白ひげ’の傷が・・・治った!!?」
その光景を見ていたのは敵も味方も同様で、両方共に驚いていく。
そして白ひげは傷が完璧に塞がったのを見ると、ルークの方を見る。
「・・・おい、小僧。どういう能力かは知らんが、何故俺を助けた?」
「何故?・・・あんたを助けたかったからだよ!!それじゃダメか!!?それだけじゃダメなら信じるものはてめェで決めろって言ったあんたの言葉の通り、あんたを助けたいって自分の気持ちを信じたからだ!!!」
「・・・!!・・・言ってくれるじゃねぇか・・・!!」
言外に助けはいらねぇと言っているような節介を嫌う声に、ルークは真っ向から白ひげの声を白ひげの言葉を用いつつ迷いなく切り返す。その答えに白ひげは目を見開き、やられたと言うような楽しげな笑みを浮かべる。そう言われたなら返す言葉はない、と。
「それよっか行くんだろ、エースを助けに!?」
「あぁ・・・行くぞ、エース・・・!!!」
そしてルークからエースの事を出され、白ひげは頷くと新たにエースを見据え先に進み出す・・・



「あの朱髪のおかげでオヤッさんは無事に回復したが、スクアードの奴は海軍にダマされてオヤッさんを刺したんだ・・・!!こんな間抜けな事はねェ!!・・・それは一体・・・どれ程辛ェ事だよ!!!許さねェぞ『海軍』~~~っ!!!」
・・・そんな光景を見て白ひげ海賊側の戦闘員達は奮い立ち、猛然と先へと進んでいく。
「台なしだ・・・!!!白ひげの傷が残るならまだやりようがあったものを、あの朱髪・・・これでは敵の士気をいたずらに上げさせただけだ!!!」
・・・センゴクは白ひげを回復させたルークを見、士気の上がり方が尋常ではない海賊達を見て悔しそうに歯噛みする。
「・・・すげェなあのおっさんにあいつ!!刺されたのに動けるし、あいつはそれを治した!!・・・・・・く!!とにかく今はエースだ!!!」
・・・ルフィは白ひげとルークを信じられないと見遣りながらも、今はエースだと処刑台の方へと走り出す。



・・・最初は一つの違和感に過ぎなかったルークの出現。だが今はもう違う。ルークの出現は本来歩むかもしれなかった道筋をどんどんと変化させる存在だと、皆は程度の違いはあれ感じていった。








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