崩壊の後の再生して混同した世界

シンク「あんたが高潔っていうか、強く自分らしさに誇りを持って聖闘士として生きてるってのは見てて分かるさ・・・けど全員が全員、そんな気持ちを持てるような人間ばかりじゃない。むしろ人ってのは誰かと自分を比べて、自分が下じゃないことを喜ぶような生き物さ」

アルバフィカ「下じゃないことを、喜ぶ?」

シンク「人ってのは不思議な生き物さ・・・人は人らしくっていう平凡なのを望むくせして、力とか立場って物を得ると自分だけは選ばれた人間とか周りの人間とは違うって思い込む・・・言い訳を得ても同じさ。相手は罪人だ、こんな能力人間らしくない、生まれ方が違うから人間じゃない・・・そんな平凡とは違うものを異端として下に見て優越感に浸るばかりか、自分に特別な物があれば尚一層その気持ちは強くなる。まるで免罪符を得たかのごとくね」

アルバフィカ「・・・それが、デフテロスを攻撃した者達の心理状態だというのか・・・」

マニゴルド「・・・シンクの言葉は少なからず的を得てると思うぜ。と言うか、実体験からきてるだろ」

ココ「僕もそう思ったよ・・・君達の生まれに受けた扱い。それは僕達にも通じる所があるからね」

アルバフィカ「っ・・・!」

ココの言葉にたまらずアルバフィカは息を呑む・・・マニゴルドを除き、四人が経験したことは対等な人と接するような物ではない行動ばかり。それを分かってしまった為に。

シンク「ま、昔の僕だったならそんな人間じゃないのがいても善人ぶるなとか言ったんだろうけど・・・そういった人としてありふれた中で、何か特別な物を持ってる自分より下だったり異端な奴らを見つけてはいい気になる奴らは探さなくても普通にいるよ。現にギルドの僕らもレプリカって立場を除いても、戦えるってだけでいい目で見られない事なんかザラだしね」

アルバフィカ「・・・そうなのか、ルーク?」

ルーク「まぁな・・・けどアルバフィカはデフテロスって人の事をそんな風にする気はないんだろ?」

アルバフィカ「それは、当たり前だ!・・・隠れ住んでいたあいつの事を知らなかった私にも責はあるのだろうが、あいつはアスプロスの弟で私達の仲間だ!例え凶星の存在だとしても、そのような暴力を振るわれる姿を黙って見過ごす訳にはいかん!」

マニゴルド「お~、熱くなっちゃってアルバちゃん・・・まぁそれをデフテロスがそのまんま受けるとは思えないけどな。あいつとは何度か話した程度で推測混じりじゃあるが、あいつすげぇ我慢づえぇ上に頑固だぜ?実力的に聖衣がありゃアスプロス並につえぇ筈なのに、今まで一度も反撃しなかったってんだぞ。表向きハッキリしたことは言ってねぇがアスプロスの立場を悪くしねぇようにって考えもあったんだろうし、黄金の俺らが庇いだてすると自分も含めて余計に立場が悪くなるとでも思うんじゃねぇか?」

アルバフィカ「っ、それは・・・」

ルーク「・・・この際、ギルドに参加してもらった方が良さそうな気がしてきたな。そのデフテロスって人・・・聖闘士としてのルールがどんなもんなのかは良くは知らないから抜けれるかどうか分からないけど、今までの事も含めて環境的に居にくいだろうとは思うし」

ココ「そうだね。何なら美食屋になってもらいたい所だ」

マニゴルド「ルークはともかく完全にココは私情じゃねーか・・・まぁでも、今の聖域に居づらそうってのはデフテロスの立場からすりゃわかんねぇ話じゃねぇし、本人が居たくないってんなら無理強いするわけにもいかねぇよな」

アルバフィカ「・・・そうだな。私としてはデフテロスにもう少しまともな生活を聖域で送ってもらいたかったが、それで本人が苦しむのは私の本意ではない・・・すまないがルークとシンク、休暇中に悪いがこの後時間があるなら聖域に来てくれないか?デフテロスと話をしてもらいたい」

シンク「それはいいけど、いいの?ココを無視するのもだけど、聖域なんて場所にホイホイ案内するなんて言って」

アルバフィカ「ココにはどうなったか後でそちらから連絡してほしい。依頼料は払う。それと確かに他者を招くのはどうかとは思うが・・・そちらの話をアテナや教皇を始めとした皆にもしてもらいたいからな。そこは私が口添えするし、同行もするから大丈夫だ」

ルーク「・・・まぁ休暇中だし旅行気分で行かせてもらうけど、シンクは行くか?」

シンク「行くよ。別に取り立てて急がなきゃならない用はないしね」

マニゴルド「おぉ・・・いつになくやる気だな、アルバちゃん。ま、そんだけデフテロスの事を考えてるって証拠か」

アルバフィカの言葉に二人が了承する様子を見て、マニゴルドは軽く笑う。今までのアルバフィカと違うその様子に。










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