崩壊の後の再生して混同した世界

シンク「・・・しかし、そこまでの状況になってるのにモースやヴァンをその地位から引きずり下ろせなんて声はないのかい?まぁ裏じゃ確実にそれは言われてるだろうから、表向きの話でさ」

ラルゴ「・・・その声に関しては正直な所、上がっていることは否定出来ん。特にモースはその地位を降りる気はないのかと、言葉は丁寧でこそあったが何度も言われていた。だが預言を達成することを目的としてきて大詠師の地位に登り詰めたモースが、それらを簡単に捨て去るとお前は思うか?シンク」

シンク「思わないよ。あいつがそんな諦めも見極めもいいはずがない。けど一応預言実行を任せる人物を選任する立場にいるのはユリアシティの住民のはずななに、あいつらも何も口出ししないのかい?今のダアトの惨状にモースの横暴をユリアシティが黙って許してるのはおかしいと思うんだけど」

ラルゴ「その事に関しては今のダアトに意見出来るだけの余裕がユリアシティに全くないからだ・・・知っているだろうが、外殻大地が空に浮かんでいない以上ユリアシティもまたオールドラント領内に普通に存在はしている。しかしこんな世界になった上に預言の事実にお前達の行動・・・更にユリアロードを通ってではなく船で向かう以外にユリアシティに行く方法がない事から、ダアトに関わる事が難しいのだ。位置としてダアトに近い位置にユリアシティはない事もある上、進んでユリアシティの者達に関わろうとする勢力はダアト以外に無いに等しい。キムラスカもマルクトもダアトに関わることを良しとしてないからな」

シンク「成程・・・それでダアトがユリアシティに物資とか人員とか含めて船を動かさないとどうしようもないから、ユリアシティは強く出られないってことか」

ルーク「ん~・・・でもそれってユリアシティにいる奴らがユリアシティを出てダアトにいきゃ解決する事じゃねぇのか?食料とか船の事とかあるから強く出れないって言う風に聞こえるけど、そうすりゃ借りを作ってばっかりじゃなくなるだろうしよ」

ラルゴ「・・・その考えはお前達が故郷を捨てる事が出来たからこその物だ。だがユリアシティの人間達は大半が長年そこで暮らしてきたこともあるが、世界の為に預言を実行してきた自負・・・言い換えれば誇りというものを持っている。厄介なことにな」

シンク「要は・・・ユリアシティから動きたくないって住民が意地を張ったんだね。どれだけお金がかかって今の状況が悪いかも分からずに」

ラルゴ「そういうことだ・・・ユリアシティがダアトの領有地と言うこともあるから易々と領土を放棄出来んと言うのもあるが、大半の住民は残ると選択した。だがそんな状況では立場上易々と見捨てることが出来ないのを差し引いたとして庇護を受けることは出来ても、守られる立場である以上は発言権が薄くなるのは避けられん・・・というわけだ」

ルーク「んで、それが続いたからモースを引きずり下ろせないほどユリアシティの発言力が弱くなったってことだろうけど・・・そう言うってことは、ユリアシティ側もモースには困り果ててるって事か」

ラルゴ「それも当たりだ・・・今のダアトの立場が良くない以上、ユリアシティ側としてもモースには何とか穏便に事を進めてほしいと願っているらしい。現在のユリアシティからすれば預言の達成より国交の回復の方が重要だからな、立場を良くすれば各地を回る船の中継点として独自に利益を望める為にな。だが効果はまるでない」

シンク「まぁキムラスカはともかくマルクトに対する態度に気持ちをあいつがそうそう簡単に変えるわけないしね。けどそんな周りが見えてないことをモースが続けてるんなら、ローレライ教団にダアトから信頼もだけど人もいなくなっていくだけだろうから、さっさとその立場から無理にでも引きずり下ろすくらいはしないと手遅れになるだろうね・・・最も、ヴァンがそれをやってもモースと方向性が違うだけで同じような結果になりそうだけどね。今なら分かるけどあいつは政治を行えるような器じゃない。上の立場に立ったとしたならいずれ自分の思うような展開にならないことに我慢出来なくなって恐怖政治にでも突入するのがオチだよ」

リグレット「・・・っ!」

ルーク「・・・また何か言いたそうにしてるけど、否定出来ない様子を見ると予感はするみたいだな。あの人なら恐怖政治を行いそうだって」

シンクの言葉をただ辛そうに歯を噛み締めるリグレットに、ルークは同情めいた視線を向ける。最早呪縛とすら言えるようなヴァンへの忠誠を振り切れてない様子に。












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